らしどれみ本

PR

×

プロフィール

らしどレミふぁ

らしどレミふぁ

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2026.02.26
XML
カテゴリ: 発達障がい

『「発達障害」の解剖図鑑 「体質」と「気質」から症状と対策がわかる!』は、「発達障害(神経発達症群)」を“病名”ではなく、60個の具体的な「症状」に分解して理解しようとする実用的な入門書です。

本の基本コンセプト

本書の最大の特徴は、「発達障害=病名」ではなく、「体質」と「気質」という二つの軸から細かい“症状”としてとらえ直す視点にあります。

発達特性を「この診断名に当てはまるかどうか」ではなく、「どんな感じ方・捉え方のクセがあり、どんな場面で困りごとになるか」に分解することで、自分や家族、支援対象の人の“生きづらさの正体”をピンポイントで見つけやすくする構成です。

ASDやADHD、HSPなどの気質はしばしば共存し、「病名」ベースでは自分にぴったり当てはまらないことが多いという前提から出発している点も特徴的です。

そのため、「自分はどの診断名か」を知ることより、「自分の体質・気質の組み合わせがどんな傾向を作っているか」を理解することを重視しています。

構成:60の症状で“解剖”する

本書は大きく「体質」「気質」「適応不全と支援」という三つのパートで構成され、それぞれが細かい症状単位に分かれています。

第1章:疲れやすい16の体質

自律神経の乱れ、光や音への過敏さ、乗り物酔いしやすさ、喉の渇きに気づきにくい、においに敏感、食べ過ぎ・食べられなさなど、身体レベルの“しんどさの種”が16項目に整理されています。

例えば「眼体質(眩しい光でめまいがする)」「個人空間体質(人との距離が近いと疲れる)」「ホルモン体質(ホルモン変動で不調が強まる)」など、日常の体調不良として見逃されがちなポイントが具体的な見出しとして挙がっています。

第2章:ストレスを感じやすい30の気質

不注意・衝動・こだわり・自閉・無頓着・敏感といった“心のクセ”が、ADHD気質やHSP気質と結びつけられながら30項目に分けられています。

「整理整頓が苦手」「落とし物や忘れ物が多い」「予定管理ができない」「遅刻しがち」「お金の管理が苦手」といったADHD的な不注意気質から、「変化が苦手」「共同作業が苦手」「相手の気持ちがわからない」「曖昧な表現がわからない」「冗談や皮肉が通じない」といった自閉的なこだわり・コミュニケーションの特性まで、生活場面を想像しやすいラベルが並びます。

またHSPに関連する「共感力が高すぎる」「影響されやすい」「傷つきを極端に恐れる」「感情の起伏が激しい」「他人との境界が曖昧」といった敏感気質も取り上げられ、単なる診断書では拾いきれない“感受性のしんどさ”にも光を当てています。

第3章:過剰適応などによる14の適応不全と支援

体質・気質が背景にあることで、学校、職場、家庭でどういった「不適応」「生きづらさ」が現れやすいのかを14パターンで整理し、その支援のヒントを示すパートです。

ここでは、「頑張りすぎて燃え尽きる」「自責感が強く自己肯定感が下がる」「ひきこもりや逃避に走る」といった二次的な困りごとにも触れ、「特性そのもの」ではなく「環境とのミスマッチ」に注目する視点が示されています。

各項目は、症状の特徴、背景となる体質・気質、困りやすい状況、そして具体的な対処法や周囲のかかわり方がセットで紹介されており、「読み物」というより“症状別ハンドブック”に近い構成です。

「マイルール」と1コマ漫画で伝える工夫

本書のもう一つの大きな特徴が、「当事者のマイルール」とそれを描いた1コマ漫画の掲載です。

発達特性を持つ人は、日々の生活を乗り切るために独自の工夫や“変わった習慣”を身につけていることが多く、それを「おかしな癖」ではなく「自己防衛のための合理的なルール」として位置付け直している点が印象的です。

例えば、「忘れ物を減らすために、必ず玄関にカゴを置いてそこに全部集約する」「人混みがつらいので、通勤時間をずらす」など、一見“こだわり”に見える行動の裏にある感覚過敏や不注意のしんどさが、短いエピソードとイラストで視覚的に示されます。

これによって、当事者自身には「自分だけの変な癖」だと思われがちな行動が、「同じような特性を持つ人が共通して使っている、自己調整のスキル」として肯定的に理解しやすくなっています。

1コマ漫画という形式は、専門用語が多くなりがちな発達障害の説明をやわらげ、家族や支援者が「あるある」と笑いながら読めるようにする装置としても機能しています。

著者と対象読者

著者の三田晃史氏は、精神科専門医・児童精神科医としての臨床経験に加え、厚生労働省や内閣府、国立病院機構本部などで政策にも関わってきた経歴を持つ医師です。

医療・行政・現場支援をまたいだ視点から、「診断名」をめぐる制度的な枠組みと、「実際に困っている人が感じている細やかな生きづらさ」のギャップを埋めようとしている姿勢が、構成全体に反映されています。

想定読者は、発達障害・グレーゾーンの当事者や家族、教育・福祉・医療の支援者、そして「診断はないが生きづらさを感じている大人」まで幅広く設定されています。

A5判・160ページという扱いやすいボリュームで、気になる症状だけを辞書のように引いて読むことも、最初から通読して全体像をつかむこともできる作りです。

この本で得られるもの

この本を通して得られるのは、「発達障害をめぐる最新の診断名の変化の知識」よりもむしろ、「人の違いの多くは体質や気質の違いであり、それ自体は“個性”である」という捉え直しです。

「病名を探す」のではなく、「自分にどんな体質・気質があり、それがどんな状況で困りごとになるのか」「どういうマイルールや周囲の配慮があれば楽に生きられるのか」を具体的に考えるためのガイドとして機能します。

発達障害やグレーゾーンについて、「診断がついている・いない」にかかわらず、より細やかに理解し、自分や身近な人のしんどさを言語化したい人にとって有用な一冊といえる内容です。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026.02.26 08:44:56
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: