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2026.03.10
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カテゴリ: 発達障がい

はじめに:なぜ「極端」であることは「才能」なのか

高山恵子さんは、自身もADHDの当事者であり、長年アメリカや日本で発達障害の支援に携わってきた第一人者です。本書のタイトルにある「極端」という言葉は、けっしてネガティブな意味ではありません。

多くの人が「平均的であること」を目指す中で、特定の分野で突出した能力を持ち、一方で日常的な事柄に著しい困難を抱える。この**「凸凹(デコボコ)」の差が激しいことこそが、イノベーションを起こす源泉である**というのが高山さんの首一貫したメッセージです。

本書は、生きづらさを抱える当事者やその保護者に向けて、「苦手の克服」に費やす時間を最小限にし、「得意の爆発」にエネルギーを注ぐための具体的な戦略を提示しています。

1. 「苦手の克服」という呪縛を解く

日本の教育現場や職場では、どうしても「できないことを人並みにできるようにする」努力が美徳とされがちです。しかし、高山さんはこれを**「非常に効率の悪い投資」**だと断言します。

エネルギーの枯渇: 苦手なことを無理にやろうとすると、通常の何倍ものエネルギーを消費し、自己肯定感が削り取られてしまいます。

二次障害のリスク: 「なぜみんなができることができないのか」という自責の念が、うつ病や不登校などの二次的な問題を引き起こします。

本書では、まず「できない自分」を許し、それを「脳の配線の違い」として客観的に受け入れるプロセス(自己受容)からスタートします。

2. 自分の「特性」を才能に変換する視点

高山さんは、発達障害の特性を「症状」ではなく「ラベルの貼り替え」によって才能として定義し直します。

ADHD(注意欠如・多動症)のラベル貼り替え

「気が散りやすい」 → 「多方面にアンテナが立っている、情報収集能力が高い」

「衝動的」 → 「決断が早い、リスクを恐れない行動力」

「飽きっぽい」 → 「好奇心旺盛で、新しい領域に物怖じしない」

ASD(自閉スペクトラム症)のラベル貼り替え

「こだわりが強い」 → 「一つのことを極める専門性、高い集中力」

「空気が読めない」 → 「客観的・論理的な判断ができる、同調圧力に屈しない」

このように、視点を変えることで「困った特性」は「社会で武器になる強み」へと姿を変えます。本書では、具体的なエピソードを通じて、この変換作業のトレーニング方法が示されています。

3. 「才能」を見つけ出す3つのステップ

自分の中に眠る才能をどう見つけるか。高山さんは以下のステップを推奨しています。

① 「時間を忘れて没頭できること」を探す

努力と感じずに、何時間でも続けてしまうこと。それがたとえ「ゲーム」や「特定の調べ物」であっても、その背後にある「集中力」や「分析力」こそが才能の正体です。

② 周囲からの「フィードバック」に耳を傾ける

自分では当たり前にやっていることが、他人から「すごいね」「そんなことまで気づくの?」と言われる瞬間。そこに自分では気づけない凸(強み)が隠れています。

③ 「不便」や「怒り」をヒントにする

「なぜこのシステムはこんなに使いにくいのか!」という怒りは、物事の非効率を見抜く力や、改善案を出すクリエイティビティの裏返しです。

4. 社会で生き抜くための「ライフハック」と「環境設計」

才能があっても、日常の「苦手」でつまずいては能力を発揮できません。高山さんは、非常に現実的で即効性のある解決策を提案しています。

ツールを使い倒す(外注化と自動化)

忘れ物が多いならスマートフォンのリマインダーを。

片付けが苦手なら「見せる収納」ではなく「隠す収納」や代行サービスを。

自分で頑張るのではなく、**「文明の利器に自分の弱点を補ってもらう」**という考え方です。

「カミングアウト」と「ヘルプシーキング」

自分の特性を周囲にどう伝えるか。高山さんは「できないこと」を伝えるだけでなく、「こうしてくれれば、私はこれだけのパフォーマンスが出せます」という交換条件としての情報開示を勧めています。助けを求めること(ヘルプシーキング)は、プロフェッショナルとしての責任感であるという考え方です。

5. 家族・支援者へのメッセージ:信じることの力

高山さんは、周囲の人間が「評価者」ではなく「伴走者」になることを求めます。

才能が開花するかどうかは、**「その特性を面白がってくれる人が身近にいるか」**にかかっています。短所を指摘し続けるのではなく、本人が「これでいいんだ」と思える安全基地を作ること。その安心感があって初めて、極端な才能は社会へと向かうエネルギーに変わります。

結びに代えて:凸凹のままで生きていく勇気

本書の最後で語られるのは、「普通」という枠に自分を押し込めることの無意味さです。

高山恵子さんの温かくも力強い言葉は、読者にこう語りかけます。

「あなたの極端さは、あなたがあなたであるための大切なパーツ。それを削って丸くなる必要はありません。」

この本は、単なる発達障害の解説書ではありません。自分の個性を愛し、それをどうやって社会に役立てるかという、**全人類に共通する「幸福な生き方の指南書」**と言えるでしょう。







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最終更新日  2026.03.10 08:56:10
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