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LD(学習障害)のある子を理解して育てる本は、教育・発達支援の第一人者である竹田契一が監修した、学習障害(LD)のある子どもを正しく理解し、適切に支援していくための実践的な入門書である。本書は2018年に学研から刊行され、保護者や教師、支援者といった「子どもに関わるすべての大人」を主な対象としている。
本書の最大の特徴は、「わかりやすさ」と「具体性」にある。LDという言葉は広く知られるようになったものの、その実態は誤解されやすい。LDは知的発達の遅れとは異なり、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習領域に困難を抱える状態である。しかし外見からは分かりにくく、「努力不足」「怠けている」と誤解されがちである。本書は、そうした誤解を丁寧に解きほぐし、LDの基本的な理解から出発する構成になっている。
序盤では、LDの定義や特徴、原因について、図やイラストを多用しながら解説している。専門的な知識をかみ砕いて説明しているため、初めてこの分野に触れる読者でも理解しやすい。特に、脳の働きとの関係や、視覚・聴覚情報の処理の違いなどが具体例とともに紹介されており、「なぜできないのか」という疑問に対して納得感のある説明がなされている。
続いて本書は、「子どもがどのように困っているか」という視点を重視する。たとえば、文字を読むことが苦手な子どもは、単に読解力が低いのではなく、文字の形を認識すること自体に困難を抱えている場合がある。また、計算が苦手な子どもは、数字の概念理解や手順の記憶に課題があることも多い。このように、表面的な「できない」という結果ではなく、その背後にある認知の特性に目を向けることの重要性が繰り返し強調されている。
本書の中核となるのは、具体的な支援方法の提示である。家庭や学校で実践できる工夫が数多く紹介されており、すぐに活用できる内容となっている。たとえば、読むことが苦手な子には、文字を大きくしたり、行間を広くした教材を使う、音読と視覚情報を組み合わせるなどの方法が提案されている。また、書くことが苦手な場合には、キーボード入力の活用や、書く量を調整するなど、負担を軽減する工夫が示されている。こうした支援は「できることを増やす」だけでなく、「できないことによるストレスを減らす」ことにもつながる。
さらに本書は、年齢や発達段階に応じた支援の在り方にも触れている。幼児期、小学校期、中学校期といった各段階で、どのような困難が現れやすく、どのように対応すべきかが整理されている点は実用的である。実際のケースをもとにした解説も多く、読者は自分の身近な子どもの姿と重ね合わせながら理解を深めることができる。
学校や専門機関との連携についても重要なテーマとして扱われている。LDのある子どもを支えるためには、家庭だけでなく、学校や医療・福祉機関との協力が不可欠である。本書では、特別支援教育の制度や、相談先の選び方、教師とのコミュニケーションの取り方など、現実的な視点からのアドバイスが示されている。
また、LDは単独で存在するとは限らず、ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)などと併存することも多い。本書ではその点にも触れ、複合的な特性を持つ子どもへの理解を深める内容となっている。これにより、「一つのラベルで子どもを決めつけない」という姿勢が強調されている。
本書を通して一貫しているメッセージは、「子どもを変えるのではなく、環境や関わり方を変える」という考え方である。できないことを無理に克服させるのではなく、その子の特性に合わせた支援を行うことで、子どもは自信を持ち、自ら学ぶ力を育てていく。この視点は、現代のインクルーシブ教育の理念とも深く通じるものである。
総じて本書は、LDに関する基礎知識から具体的な対応策までをバランスよく網羅した実用書であり、初学者にも経験者にも有益な内容となっている。イラストや図解を多用した構成により読みやすく、「まずは理解したい」「すぐに役立つ方法を知りたい」というニーズに応える一冊である。子どもの困りごとに寄り添い、その可能性を引き出すための手がかりを与えてくれる本として、多くの読者にとって価値あるガイドとなるだろう。
LD(学習障害)のある子を理解して育てる本 [ 竹田契一 ]
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