オバかの耳はロバの耳 

2015/12/02
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上からの続き

■6.「こんなもの、載せられるか!」

 社論に沿わない記事がいかに排除されるか、永栄氏はご自分の経験も書いている。

 1980年代前半、永栄氏が大蔵省を担当した時は、消費税論議の真っ最中だった。消費税導入を説く経済学者や経済研究機関のレポートが相次いで発表されており、永栄氏はそれらの提言を短い記事にまとめた。

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 その晩、君和田正夫デスク(のち編集担当専務、テレビ朝日社長)に、「うちは消費税反対なんで、ボツにしたぜ」と言われた。社論に合わない見解は、消費税のような国民的論議が必要な事柄でも載せないと知り、やはりそうなのか、と思った。・・・

「おかしいですね」と言おうかと一瞬思ったが、不肖に言う必要のないボツを告げる君和田さんの済まなそうな表情に接し、「わざわざどうも」と不肖は答えた。[1,p191]
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 2003(平成15)年3月、アメリカがイギリスなどの有志連合とともに、イラクを空爆したおり、朝日の社説は「空爆已(や)むなし」だった。朝日の従来の論調からは理解しがたい社論で、どういう事情でこうなったかは判らないが、当然、朝日の読者には「戦争は避けるべきだ」と考える人も少なくなく、そんな意見が読者から「声」欄に寄せられ、採用された。


「声」欄は、不肖が当時属していたオピニオン編集部の管轄だった。「声」欄のゲラを読んだその日の当番局次長がオピニオン編集部に怒鳴り込んできたらしい。局次長は「こんなもの、載せられ
るか!」と怒り、ただちに差し替えられたという。

不肖はその場に居合わせなかったが、出先から戻って騒ぎを聞き、「読者の意見なのだから、このまま載せると突っぱねればよかった」と言った。入社同期の同僚が「いや、社長も論説も、上が全部、駄目だと言ったらしいんだ」と声を潜めた。[1,p192]
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 この時は、永栄氏の同僚はみな空爆に反対で、一人の若い女性記者などは「空爆已むなし」の社説に抗議して、会社を去ったという。こうして、その時々の社論に盲従する人ばかりが朝日に残り、出世することになる。


■7.「どんな些細なことでも、自分の目で見、耳で聞く」

 永栄氏が富山支局の新米記者になって、最初に担当したのは警察担当だった。ある日の未明、車が交差点脇の電信柱にぶつかり、折れた電信柱が民家の屋根に倒れかかったという事故が警察の当直簿に記録されていて、それを3百字ほどの原稿にしてデスクに提出した。

 デスクは「朝早うから、ご苦労さんやったな。ところで交差点だけどな、四差路かいな、三差路かいな」と聞いた。「四差路だと思いますけど、もう一度、調べてきます」と答えると、デスク曰く「調べてくる? 現場に行ったんと違うかいな。それからな、『思います』はあかん。あんたがどう思おうが、四差路は四差路やし、三差路は三差路や」。

 交通課に聞いて戻ると、「電信柱はどのへんで折れたんかいな」「屋根瓦のほかに被害ないやろな」「前にも同じような被害に遭ったということはないやろな」と聞かれ、そのたびに交通課に聞きに行って、職員一同に大笑いされた。

 それらを書き込むと、最初の原稿の3倍くらいになったが、デスクが修正した原稿には、追加情報は何も残っていなかった。

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■8.報道機関か、プロパガンダ機関か

 こうした事実報道の基本を叩き込まれた事もあってか、永栄氏が特ダネをものにして社内表彰を受けたのも、大阪本社管区内では他の誰よりも多かったかも知れないという。しかし、先輩たちには、何度もこう言われた。「永ちゃんは書けるのに、ほんま、惜しいわ。ウチと方向が違うからなあ」

 しかし、「方向が違う」というだけの問題ではない。林彪の行方を探求しようとると怒鳴り込んだり、数人切れば刃こぼれしてしまう日本刀で100人斬りをさせたり、と朝日の主流派は「特定の方向」ありきで、それに向けて事実を隠したり、捏造までしているのである。

 朝日新聞社の中にも、永栄氏やそのデスクのように丹念に事実を調べる所から出発する本物の報道記者は少なくないはずだ。しかし、そういう真実の報道をしようとする人が「方向が違う」記事を書くと没にしたり、左遷してしまうのが朝日の体質のようだ。



 朝日新聞社は、自由民主主義社会に必要な報道機関と言うよりは、北朝鮮や中国にこそふさわしいプロパガンダ機関のようだ。
(文責:伊勢雅臣)





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Last updated  2015/12/02 11:50:20 PM
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