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2006年09月11日
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カテゴリ: 闇ヨリイデシ蝶
稚児姓は盆を鳳の枕元に置きながら言った。

「ここは、橘朝臣(たちばなのあそん)斎雅様のお屋敷で御座います。」
「橘朝臣斎雅…!?」

鳳は目を見開いた。
(帝に仕える護衛長ではないか…!!)
正しく言えば、京を守る右近衛府の隊長である。
その名前は鳳が里で帝の周辺を調べた際に鳳の“敵”として上がった名前だった。
(敵の屋敷にあっさり入り込めた訳か……)
鳳はそっと目を伏せる。


「あ、あの。ご加減が悪くなりましたか?」
「いえ、大丈夫。有難う。それより、君の名前は?」「僕は、千の寿に丸と書いて千寿丸(ちずる)と申します。」

千寿丸は稚児結いにしたさらさらな黒髪を揺らしてにっこり笑った。目のくりく
りした彼は本当に可愛い。「千寿丸…お願いがあるのですけど、良い?」

「はい、何でしょうか?」鳳は自分の長い髪を手に取って言った。
「あのね、橘朝臣様にお屋敷に入れて下さったお礼を申し上げたいのだけれど、こんな姿ではみっともないので髪位は結びたいから紐を頂ける?」
「分かりました。取って来ますね。」

もう一度にっこり笑うと千寿丸は部屋を出ていく。
(ごめんなさいね…千寿丸)
眦をきりりと上げ、心の中で千寿丸に謝る。
(しかたがない…これが私の選んだ道なのだから)










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最終更新日  2006年09月11日 07時56分55秒
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