おすすめ温泉宿

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2008.04.11
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カテゴリ: 温泉
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】

『紅と緋』

初夏という季節の命を色にたとえるならば緑であろうか。早春から仲春にかけて、日々、微妙に移ろいゆく今ごろの季節の命を、色にたとえるならば何といったらいいのだろう。紅(くれない)か緋(ひ)か。

紅や緋は、木の芽や草の芽の中にある。沈丁花(じんちょうげ)や桃のつぼみの紅、紅梅の紅、白梅のつぼみを包む紅、モミジやカツラやアカシデの芽のあざやかな緋、カイドウやバラの芽の緋、山桜の葉の、あのにおいたつ紅、福寿草の茎を染める紅。そこここに春の命をつかさどる紅や緋が流れていて、それはやがて、さくらの花にとけこんで虚空(こくう)に散る…

佐藤春夫の詩「四月一日日記」に「山人は初音(はつね)をつたへ/里人(さとびと)は蛙(かわず)を聞きし/その翌の卯月朔日(うづき・さくじつ=四月一日)/つばめ来ぬ花ぐもりして」。東京の桜はまだ先になる。


【掲載年月日】1984/4/1





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Last updated  2008.04.12 00:16:29


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