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多忙のため病院の中庭に下りたのは久しぶりのこと。自動ドアーを出ると、にこにこ顔のKさんの眼と会った。「あのね!蛙が出て来たんだよ、それも啓蟄の日ぴったりに!」Kさんはこぼれそうな笑顔で話かけてくる。
「今年は暖冬だったから心配してたけど、啓蟄の日ぴったりだったんだよ!それも五組!」、「えー、すごーい!」と私。「ほら!あそこにいるだろう、今までのは卵を産んで帰ったけど、これは後から来たんだ!」指さした辺りの池を覗くと、ひきがえるが置いたように動かなかった。「死んじゃったの?」「あれは交尾をしているんだよ、2日間は抱きっぱなし、離れないんだよ!」そう言いながらKさんは蛙を池の縁に掬い上げて、上(雄)の蛙の背中を擦った。グァグァと鳴くが離れない。ままま、まあ!(○_○)(@_@;)
池一面、藻のように増えた金魚草の所々に長い「なまこ」のような物が乗っていた。「あれが卵だよ、産み終わって帰るときは、あそこの排水口の高くなったところで一休みして、手を伸ばして上に登るんだ。自分の穴に戻る時は、穴を確認してから後ろ向きになって入るんだ、こうやってね!自分の家に帰るようなもんだね。穴から時々顔を出して、蚊や虫を食べていると思うよ、きっと。」と、Kさん。う~ん。参った。「中庭博士」と呼ぶ以外の言葉は決して見つからない。

恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく 加藤楸邨