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静かな朝だった。窓をあけて思わず「わあ!雪だ!」と心が弾む。
温暖化のせいもあって東京では年々雪を見る機会が少なくなった「多分すぐ消えてしまうだろう」ぐらいの思いでタカをくくっていた。
ところが雪予報は見事に的中。雪国の方には本当に悪いのだけれど、これだけ予報が的中してくれるとうれしい。「雪は天からの手紙」だとエッセイに書かれた人がいるが、そんな気がして、子供ならずもついついはしゃぎたくなってしまう私は、やはり可笑しいのかもしれないけれど。
「冬季以外は気温が水の融点より高いため落下の途中で融解して液体の水となり、地上では雨となる。地上の温度が水の凝固点である0度になると雪が溶けず結晶のまま地上に到達し雪となる。しかし、空気が十分乾燥していれば気化熱の影響から0度以上でも雪のまま地上に到達することもある。だいたい地上の温度が3度以下であれば雨が雪に変わる」と、正確に広辞苑で調べた。
前のことになるが、電車の中で小さな子供が「ねえ!雨ってどうして降るの、雪は降らないの?」と質問攻めで、母親を困らせているのを見たことがあるから正確に知って置かねばと思った次第。子供って思いがけないときに思いがけないことを聞いてくるから困る。
さて早速外へ飛び出し、白銀の絨毯に真新しい靴跡を付けて回った。「二の字二の字の下駄の跡…」なあんちゃって。小雪、大雪、深雪、粉雪、細雪、新雪、雪の声、今朝の雪、雪の夜などと、思い付くままに雪の傍題季語を口ずさんでみる。俳句など出来ようはずはないのだけれど…。そうこうしている内に、近所の子供達が三々五々集まってくる。自分達が子供の頃は思う存分子供達だけで遊んだものだけれど、今の子供は必ず親の監視下で遊ぶ。そういう時代になってしまった。
1時間後に公園に戻ってみると、思い思いの雪だるまが3個出来上がっていた。雪国の方には本当に悪いのだけれど、今日の日曜日は子供達にとってはきっとうれしい日だったに違いない。そして私にとっても。
小さく握れり粉雪慣いの塩むすび 古沢太穂
雪掻く音さくさくとまた葱切る音 古沢太穂
海にも降り良寛母の墓粉雪 古沢太穂
子も手うつ冬夜北ぐにの魚とる歌 古沢太穂
雪かばい少年がもつ籠に鳩 古沢太穂
妻病むや夜寒の子らと塩買いに 古沢太穂
雪夜子にかぶすマフラー裏につぎ 古沢太穂
吹雪く日ぐれは車窓へ寄り寝行商婦 古沢太穂
「古沢太穂句集」より懐かしい先生の句を拾った。
