Wound Moon

December 6, 2007
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カテゴリ: お題。
おめでとう・・!!!的なノリで

テンション高いままお題小説の方へ。

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02:穏やかな風が

「嫌だ・・・っ」

たくさん 叫んだ

届かなかった

嫌だ、嘘だ。
ねぇ神様、もしもこの世界にソレが存在するなら


そして返して下さい。

湊の命をどうか、返して下さい。


分からない

叶わないと知っていたのに
どうしてここまで必死だったのかが。



少し前
私が湊と出会った時の話だ。


優しい風が、小枝を揺らす
穏やかな風が、私の横を通り抜けて行く。


ふと、木の傍から一つの影が現れた。

『あれ、何してるの?』


口元に笑みを浮かべ、私に話し掛けてきた。

『・・別に、散歩・・・・・?』
『へぇ、名前何て言うの?』

・・・・・。

『人に名前を聞く時はまず自分から名乗るのが礼儀だと思います』

『・・・・・・名字は』
『良いじゃん名前だけで』

私は返す言葉も無く、
その場に座り込んだ。

良くこう喋り続けられるものだと
ある意味関心したりもした。

『何だよ、俺が名乗ったのに何も教えてくれない訳?』

あぁ、もう。

『・・・・、西原円。』
『へぇ、円ちゃんかぁ』
『気安く名前で呼ばないで』
『良いじゃん、これから仲良くしようぜ』

『・・・・・・。』


仲間は、要らなかった

どうせもう直ぐ自分の存在が消えるものだと知ってたから。


そう、私は病気だった。
病名は・・・何だっけ、忘れた。
でもどうせ命に関わるものらしい。

命を落とす同じ理由なのだから
憶えていようが何だろうが・・・同じだ。


湊も、私と同じ病院に入院していた。
出会いは病院の庭。
気晴らしに散歩をしていた時、偶然に。

そう 出会いは偶然 だった。


死ぬ、と知っていた
だから希望も何も捨てた、筈だった。

だけど――――

『おめでとう御座います』

手術に成功した私は、
様態も良くなり、退院する事になった。

無理は禁物だと言われたけれど
兎に角退院する事になったのだ。


これで、湊とも・・お別れ。

会って少ししか経っていないが、
一緒に居るうちに気付いた。

私は湊の事が好きになっていた。


『・・湊!!!!』

コンコン、とノックして、
湊の部屋へと入っていく。

そこで目にした光景は、
苦しそうに、魘されながら湊がベットに横になっていた。



本当は 憧れだった

小さい頃から体が弱く、
入院してた私

そこでたまにお見舞いに来る子達。

羨ましかった

自由に遊んで買い物行って・・
それから学校行ってたくさん思い出作って。

羨ましかった

いつか私も行けるかなと
いつか生きた心地を味わう事が出来るかなと


もう見慣れた白い天井を
眺めながら思い出したりした。

だから、退院出来る事は本当に嬉しかった。

・・・のに、意味無いよ。


湊がこんなにも苦しんでいるのに
私は笑いながら友達と過ごすのかと思うと。

無駄だ。
ずるいよ。

色々な感情が頭の中で廻る



そして私は退院し――――

その約1ヵ月後、湊は届かない場所へと行ってしまった。


最初は実感が湧かなかった
涙も出て来なかった

だけど頭が真っ白になって
何も、考えられなくて

ただただ華に埋もれて眠る湊を
見つめていた、だけだった。


出会った日も
湊が逝ってしまった日も

全部全部、同じ様な天気だったよね

心の中は荒れているのに
穏やかな風が、私の横を通り・・過ぎて行く。





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最終更新日  December 6, 2007 05:26:35 PM
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