駄目人間は箱の中

駄目人間は箱の中

夏の匂い

風薫る 十歳の君と僕
木造の床の上で
寝転んで金魚鉢を見つめてた
しなやかな錦色

鳥小屋の裏にもプールのしぶき
跳ね上げる腕の群れに
立ち止まり手を振って破れ目から
裸足でそっとくぐる

いつしか思い出は焦がれゆく
わずかな切れ端が胸を刺す

はりついた前髪をはらう指の
灼け跡も白く剥がれ
縁側で西瓜を頬張りながら
軽い鈴の音を聞いた

いつしか思い出は焦がれゆく
残った切れ端も砕くように

黄昏る 二十歳の君と僕
祭りのあとの侘しい
駅からの道にも橋の下にも
芳しい夏の匂いを
芳しい夏の匂いを


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