トリオソナタといえば、室内楽では2つの旋律楽器と通奏低音の、3つの楽器類から構成され、加えてチェロなどで低音部を補強するのが一般的です。しかしバッハは6つのトリオソナタ・シリーズ゙で旋律楽器1本と鍵盤楽器での演奏を指示しました。たとえばこの曲も「フルートとオブリガート(旋律を担当する)チェンバロのためのソナタ」と呼んでもいいかもしれません。そもそもこのトリオソナタは、パイプオルガン用の‘三声部’ソナタのことなので、まぎらわしいのです。フルートではなくリコーダーを使用したこちらの録音は、ピリオド楽器の華奢な音色で瀟洒な絡みを聴かせる名演。高音部の、めくるめく16分音符…ここの連符による8小節は魂が震えます。