
(女官と宝船 藤島武二)
近代洋画には関心のないほうなのですが、この5年前の、どこかで手に入れたチラシは今でも手元にあります。結局、この展覧会には行かなかったのですが、なんと魅惑的な一枚でしょうか・・・そうです、女官などというものは、それこそ雛人形の世界でしかありませんでした。それを、こんなささいなA4サイズから宮中の片鱗を見てしまったような、なんとも微妙な不可思議さが漂う、別世界の雅やかさにグイと惹きつけられてしまった衝撃を、その捨てられないチラシから今でも思い起こすことができます。なぜ宝船を持っているのか、世間で着るには絶対おかしい、あまりにもあでやかすぎる緋色の着物を着た女官は、これからどこへ行くのか・・・。女官という、謎と羨望を沸々と湧き起こさせるような描写、これこそ、宮内庁から依頼を受けたあの藤島武二の傑作ではないでしょうか。