松尾大生の独り言

松尾大生の独り言

2012.01.18
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あなたとの思い出なんか、消しゴムで消えてしまえばいいのに、なぜかいつも、夢に現れてくる不思議な燃える瞳よ。

赤錆色の空は夕暮れの影を街に、さあっと注いでいく。

あなたは、長身の背中を丸めて、思い出の中を、いまのこの瞬間にも、たった一人で歩いていくのだ。

街の風があなたの瞳の中に砂埃とともに、過ぎていく。風に吹かれた新聞紙が、あなたの瞳の中を、走っていく。

暮れなずむ街を、あなたは、震えながら歩く。街の景色の中を凛々とあるく。

地下鉄からの風が、灯りはじめたネオンの光をあなたの中に映し出す。

不安や焦燥、愛おしい人の名前も、赤や青の光の帯をひきながら、あなたの中でゆらゆらと旋回しているのかもしれない。

「気がついた時には、もう、あなたを愛していました」

「そう」



「どんなに思っても、あなたは帰らない」

あの日、あの時の輝く姿は思い出の中にしか帰らない。

誰かに愛情をあげたり、誰かから愛情をもらったり、そんな空しい日々が砂のように崩れていく。

どうせかなわないと分かっている癖に、あなたは今夜も街に出て、ただ、そばにいてくれるだけの人を探しつづける……。

冷たい夜の闇の中、誰かが擦ったマッチの光が蝶のように瞬いて、あなたもまた、とりどりの模様の蝶になるのだ。

蝶はネオンの中を、いまも駆け巡っている。助けをさがして、転々するだけの、哀しく切ない生命体として。

この破れ屋に迷い込んでくれたなら、闇の中で、また小さくマッチを擦ろう。そうして二人だけの光が消えぬうちに、あのニューヨークのリハビリテーション施設の患者の歌を読むのだ。


大きなことをしようとして

強さを与えてほしいと願ったのに

謙虚さを学ぶようにと

弱さをさずかった





健康を求めたのに

尊いことができるように

病弱を与えられた



幸福になろうとして

富を求めたのに



貧しさをさずかった



人々の賞賛を得ようとして

力を求めたのに

傲慢にならないようにと

弱さをさずかった



人生を楽しもうと

あらゆるものを求めたのに

あるがままを感謝できるようにと

いのちをさずかった



求めたものは一つとして与えられなかったが

こころの中の尽くせぬ願いはすべて叶えられた

本当の自分自身の意にそぐわぬものであったのに

あなたはあらゆる人の中で、もっとも豊かに励まされた




いまも、愛おしい燃える瞳よ







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Last updated  2012.01.18 10:57:57


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