パスポート
【パスポート】パスポートの期限が切れたので殿橋横の総合庁舎まで更新に行ってきた。
ついでにそこで証明写真を撮ったのだが、いつものサワヤカな顔はどこへやら酷い顔に撮れている。
どうして免許証の写真やパスポートの写真ってこうも見苦しく写ってしまうのだろう。
まるで恐喝とか詐欺容疑の犯人が留置場で撮らされたような顔付きではないか。
遅ればせながら新パスポートはＩＣチップ付きである。１０年物なので１万６千円。
国家機密なのでどこの国で取ればいくらで取得できるかは内緒であるが、
ミャンマーでヤミ両替をした後に同国の日本大使館で申請すれば、日本円に換算して
たったの２００円で取れるなんて裏技はココでは伏せておくことにする。
２００円？安い！と思ってわざわざそこまで取りに行く人はいないと思うが、
ミャンマーに旅行する機会のある人は滞在中アタックしてほしい。成功を折る。
もちろん一応本物なので発行地の記載が違うだけでちゃんと使える。
さて、パスポートであるがアジアで某ルート（蛇頭だと公表するとヤバいので内緒）に売れば
３０万円前後の値が付くことも大っぴらには言えない秘密である。
昔、タイのバンコクにあるロイヤルゲストハウスという２００円程の宿が俺の常宿だった。
共同シャワールームにはヘロインを吸った後のアルミ箔が落ちていることが多いという、
まあ旅行雑誌「るるぶ」には載ってないようなその宿は現在は残念ながら無くなってしまった。
ある日、そこのロビーでクロちゃんという日本人がぼんやり座っていた。
俺が商品の仕入れをして宿に帰って来てもまだ座っていた。やることがなさそうなのだ。
話を聞くとパスポートや財布などの貴重品を全て盗まれたのだという。
日本大使館でパスポート再発行待ちでお金もないクロちゃんは日本からの送金待ち状態だった。
俺はクロちゃんを元気づけようと誘い出した。ただし、夜の歓楽街ではない。
実は何を隠そう、俺は国内海外問わずそういういかがわしい所に行ったことがないのだ。
現地で売春婦を買うという男性のように割り切った遊びができないのである。
共に夜を明かした売春婦が朝になったらうっすらとヒゲが生えていたなんて話を聞いても、
病気に感染した話を聞いてもザマミロと思っているぐらいだ。
話がそれた。俺がクロちゃんを誘ったのはバンコクでも有名な「死体博物館」である。
宿から１０分歩いて運河のボートに１０円ぐらいで乗って対岸に行く。
するとシリラート病院内に死体博物館がある。病院なのでもちろん入場無料だ。
俺は別にエグいモノ好きではないが一度見てみたいと思っていたのだった。
館内には本物の死体の顔を縦まっぷたつに割ったものや奇形児のホルマリン漬けなど、
これでもかというぐらいの標本がぎっしりと並んでいて見る者の心を萎えさせた。
２人で見物して帰って来た後、クロちゃんを食事に誘ったがさすがにあんなモノ見た後だからか
「いや、いいです...」という暗い返事が返ってきた。以前より更に寡黙になったようである。
泥沼で溺れている人に紙で出来た救命浮輪を投げてしまったようで
俺は少々反省しているということをこの場を借りてクロちゃんに謝罪しておこう。（笑）
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