放浪の達人ブログ

日焼け



俺の顔はどちらかというと彫りが深い方である。
かといって沖縄の人のようにパッチリした大きな目でもないし
ギリシャ顔のように端正な彫りの深さというわけでもない。
まあ俗に言う東南アジア顔といった感じだ。
随分昔にバンコクの通りを歩いていたら現地のおっさんが俺を見て
何か言いながらいきなり握手を求めてきた。
それを契機に付近を歩いていた大学生やらも集まって来た。
わけも分からずにいると「あなた香港のシンガーでしょ?」と
ギターを弾くゼスチャーをしている。はは~ん、人違いってわけか。
「違うよ、俺は日本人旅行者だ」と答えると今まで集まっていた集団は
急にサーッと離れて行ったのである。
ポツンと取り残された俺はなぜか虚しい気分になった。

数年前にスリランカに行った時、現地の友人家族と食堂に行った。
その時も知らない人からスマホで写真を撮られた。
同じ日にホテルか何かの横の路地裏でタバコを吸っていたら
警備員さんが俺の写真をスマホで撮っている。
そして親指を立てて笑いながら俺に近寄って来て写真を見せてくれた。
何の変哲もないボケ~ッとタバコを吸っている俺の写真を
「今日から待ち受け画面にするよ」と言ったのだった。
ありゃまたしても人違いだな。(笑)
その後スーパーで買い物をしてても写真を撮られたんだが
スリランカには俺と似た有名人がいるんだろうなあ。

数年前から俺は中古車の写真を撮るカメラマンの仕事をしていて
一日中屋外を歩き回っているので随分と日焼けしている。
スリランカに行った時はかなり黒く日焼けした顔だった。
ある時独りで電車に乗ってスリランカ南部の海沿いの町に出掛けた。
降りた駅はヒッピーやサーファーが集まるヒッカドゥアという場所だ。
電車を降りた欧米人達に「ホテル?タクシー?」と客引きが群がる。
うわあ、これも観光地での洗礼だよなあ、どうやって振り払おう?と思ってたら
手ぶらでビーチサンダルの俺は日本人観光客とは見られなかったらしく
一人の客引きすら寄って来なかったのであった。
ホッとした反面、この時もなぜか虚しい気持ちになった。

それからである。俺はカメラマンの仕事の際に日焼け止めを塗るようになった。
男のくせに日焼け止めなんて、と思っていたのだが
いよいよ日本人に見られなくなった危機感というと大袈裟だが
肌の日焼け具合いもそこそこの範囲内がええんではないか、と思ったのである。
しかしカメラマンの仕事はやっぱりどうしても日焼けしてしまう。
それ以降も岡崎に住んでるスリランカ人とイチゴ狩りに行った時も
イチゴ農家の人に「兄ちゃん、日本語うまいな、日本は長いのか?」と言われたり
スリランカ人の女の子ピアちゃんとお祭りに行き、ピアちゃんの会社の同僚に
バッタリ出会った時に「ピアちゃんのお兄さん?」と言われたり、
国際交流会でスリランカ人のブースにいて日本人に話しかけられた時に
「あらら、日本の人でしたか」と言われたりでちょっとショックなのである。

あまりに日焼けしているというのはどうも考えものだ。
友人と久し振りに会っても「山ばかり登って遊び暮らしてるだろ」と言われたり
「なんかチャラチャラしてる」なんて言われたりロクなことはない。
というわけでこの夏も日焼け対策はバッチリやろうと思っている。

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