やっと おくりびと を見てきた。
みなさん言われているように本木君の(モックンってもう呼ぶのも失礼に思った)所作が茶道の作法のように美しく、吸い込まれた。
いつかは誰でも訪れる死。死を厳粛に受け止めつつ、むやみに死を恐れることなく日常的な死の中で淡々と生きていく社長は、山崎さん。素晴らしかった。
余さんもこういう抱えている人、相変わらずお上手。
広末さんは口元としゃべり方が苦手で、あまり見たことは無いのだけど、可愛かった。あんな新妻だったらと男の人は思うのかな。あまりに皆さん素晴らしい演技なので、哀しいときも嬉しいときもいつも笑っているように見える彼女の表情は、考え抜かれた演技なのか ただそういう表情の人なのか気になってしまったけれど。
随所にユーモアが散りばめられていて笑いもあり、観ていてとても優しい気持ちになった。
両親を看取っているので、もうその時々の感情がよみがえり、「他人事」として眺めることは難しく、またもや号泣。
母のときも あんな風に 綺麗にしてもらって って叔母たちが泣いていた。母の愛用の口紅を死に化粧に使ったなあと、もう声がこぼれるくらい泣いてしまった。
父も病院の慰安室から自宅に搬送するために業者の車に乗る間、主治医の先生と看護婦さんがずっと頭を下げて外で見送って下さった。どこまでも人である事 を向き合って下さった。業者の方の死者に示す敬意もとても嬉しかった。今でも私はあの病院で良かったと思う。
そうそう、あんなに観客の年齢層の高い映画は初めてだ。きっと皆さん私よりずっと色々な別れを経験してこられたんだろう。
私なんて おねいさん の域。おじいちゃんおばあちゃんが沢山いて、色々あったけど長生きできて幸せな兄弟ご夫婦総出って感じだった。それも満席で!
そんなひとりひとりの観客の思いが暗闇の空間を覆い尽くしているようで、一人だけど一人じゃない温かい感覚。それは映画そのものの雰囲気かな。
でも 妻やおさな馴染みの納棺師への職業差別にはちょっと違和感を感じた。あそこまで今の時代思うだろうか。話しの持ってき方で仕方ないのだろうけど。
峰岸徹さんが出られた瞬間 隣で一人で見ていた年配の女性が『ああ徹ちゃん!』と小さくつぶやいた声が耳に残った。おくりに来られたのだろうか。ご冥福をお祈りします。