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今週は、下記の 3 冊
1 . 『プラハの墓地』 ウンベルト・エーコ〈著〉・評者・ 末國善己(文芸評論家)
この本は、 ユダヤ人が社会を裏側から動かしている という 荒唐無稽な陰謀論 が、歴史の中に紛れ込み、 事実として広まるメカニズム に迫っており、しかも ユダヤ人への憎悪と偏見が根強い当時のヨーロッパ では、 陰謀論の嘘に気付くのが難しかった ことを示しているという。
現代の日本 でも、 太平洋戦争はコミンテルンの工作で引き起こされた ので、 日本に責任はないとする陰謀論 が語られ、 特定の人種、国籍、宗教を排斥するヘイトスピーチの嵐 が吹き荒れており、本書は、 いつの時代も跋扈するこのような陰謀 と、どのように向き合うべきかを問い掛けているのであると 評者 は言う。
2 . 『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』 ジリアン・テット〈著〉・評者 加藤出(東短リサーチチーフエコノミスト)
サイロ とは、 牧場で見かける牧草や穀物の貯蔵庫 のこと。
組織が大きくなると、 専門化した部署同士の交流 が乏しくなり、 サイロのような孤立した部署が多数できやすくなる 。
それは 問題を多々発生させてきた として、 典型例として、真っ先にソニーが紹介されている 。
同社は デジタル音楽プレーヤーの開発に必要な人材、技術、関連組織 を全て持っていたが アップルに大敗 し、 サイロ化 により、「 かつては創造力にあふれていたソニーの技術者たちは、際限のない縄張り争いに巻き込まれ、協力する意思や能力を失ってしまった 」という。
3. 『君がいる場所、そこがソニーだ』立石泰則〈著〉(ビジネス書コーナー)・評者・ 梶山寿子(ジャーナリスト)
ここでも ソニー問題 をとりあげている。
『さよなら! 僕らのソニー』 で、 著者 が ソニーの凋落を描いてから5年 たつが、 直近の業績は回復 しても、 胸ときめくような製品を次々に生み出した、ソニーの輝きは戻らない。
しかし、 今のソニーが失ったものを探すため、著者は同社を去った“異端たち”を訪ね 、そこに ソニーの魂が生きている のを見出す。
登場するのは Suicaなどに使われる非接触ICカード技術を開発した日下部進(クアドラック) 、 高画質技術を生んだ近藤哲二郎(アイキューブド研究所) 、 指静脈認証事業の先駆、天貝佐登史(モフィリア) など。
大物OB が中心で新味に欠けるが、 巨大企業では成し得なかったことに挑戦する姿 はやはり示唆に富み、 組織より個人の時代 と言われる今、彼らから学べることは少なくないという。
彼らのように 創業者・井深大と盛田昭夫の志を受け継ぐ人間
を ソニーの魂
とするのなら、 その精神を次世代に継承
し、 新たなる“僕らのソニー”の礎とすることも急務
だと感じたと 評者
は言う。
俺は、 アベノミクスの3本目の矢
はそこから生まれるのだが、と思うがね。