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私 : 著者 は、 49年生まれのアルジェリアの作家 で、 本作でアカデミーフランセーズ小説賞のグランプリ取得。
ファシズム から 宗教的な過激思想 、そして ポピュリズム へ。
時代と共に 焦点 は移ろうが、 通底するのは、国民の恐怖心と従順のサイクルを、為政者は求め続けるという永遠の真実。
この物語の舞台は 宗教国家 とされているが、 主題は人間の「自由」と「権力」の対立 である。
政府が歴史を定義づけ 、 心の中まで監視する統治のありよう は、 真実よりフェイクが力を持つ現代を戯画化 したかのようだ。
A 氏 : 身近な例 では「 共謀罪」に象徴 されるね。
「
戦争とは平和」「自由とは隷従」「無知は力」という名句を生んだ英作家ジョージ・オーウェル作『一九八四年』の恐れ
は 今も変わらず、ひたひたと近づいているというべきだろう
と 評者
は言う。
本書の時は『一九八四年』から100年後 で、 核戦争による「大聖戦」後に樹立された国家の暮らしの中 で、 本書の主人公の公務員アティは管理社会に疑問を抱き始める 。
私 : 信仰を強制し、公開処刑を科す恐怖政治 は、 「イスラム国」(IS) を思わせるが、その点で直接的な風刺も若干あるが、 大半は幻想的な心象描写が続く という。
『一九八四年』とくらべ、陰鬱で色彩もなく、西欧文化の空想とは異なる、アラブ世界の窒息感が漂う という。
内戦の流血を経て今なお抑圧が続くアルジェリア在住の著者 は、 もとはエリート官僚 だった。
長い思索の末に アティが踏み出す真実探しの旅 は、 著者自らの心の軌跡 なのだろう。
「 人は自分がどこにいるのかを探ろうとすればするほど道に迷ってしまう」「反抗によってしか、存在することも、おのれを知ることもできない 」
A 氏: 評者 は、 国難をあおり、「安定」を連呼する政治家の言葉にこそ、 オーウェルの『一九八四年』のように、 ユートピア (理想郷)」とは逆の社会の 「 ディストピア」の響きがある という。
私 : 今日 は 総選挙の当日だが、それにあわせての評者の皮肉 かね。
現在でも「自由」と「隷従」の境 はどこにあるのか。
今日の選挙結果 をみて、 われわれも 「自由」と「権力」の対立の視点から 「無知」を拒む心の旅路に出かけねばなるまい ということか。