りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

2009.02.17
XML
カテゴリ: 読書

(この記事は一部ネタばれあり)



この作品は、チームバチスタシリーズのその後を描いている。
しかも、中学生が読んでもおかしくない内容になっている。

舞台は近未来の2020年頃の東城大学医学部付属病院。
バチスタスキャンダルで揺れた病院では、かつての登場人物が出世している。
外科の垣谷や田口までもが教授になっている。

主人公は中学1年生の曽根崎薫。
彼の父親はゲーム理論の権威で、現在アメリカ在住。
両親の離婚(別居?)で薫は生活の面倒を見る女性の協力もあって生活。

その薫が潜在能力試験で全国一位になった。
というのもこの試験問題を作ったのは薫の父親。
問題作成時に薫は父親を手伝っている。
一位になるのも当然だ。
薫は父親の言葉を思い出す。

何事も勝ちすぎるのはよくない。

この試験結果を受け、、本来劣等性の薫は文部科学省に目をつけられる。
(問題作成者の父親はこの飛び級に反対しないのか?)

薫は中学生ながら東城大学医学部の解剖学教室で勉強することになる。
もちろん中学も通いながら週二日だけ大学へ。
大学でレティノブラストーマ( 網膜芽細胞腫 )の研究をする薫。
思わぬ大発見を彼は目の当たりにするのだが・・・

薫は数学や英語がまるで駄目。
科学雑誌「Nature」を「ナツレ」と読んでしまうくらい。
彼が英語で論文を書くなど無理に決まっている。
この小説が荒唐無稽であることは確か。
それを抜きにしてもこの作品は面白い。

物語の基本設定が理解できていないと、この作品は面白くない。
薫の母親である曽根崎理恵は「ジーン・ワルツ」に登場。
薫の先輩でスーパー高校生の佐々木アツシ。
そして看護師の如月翔子は「ナイチンゲールの沈黙」にも出てきた。
残念なことに「将軍」こと速水が心血を注いだ救急病棟は閉鎖になった。
(「 ジェネラル・ルージュの凱旋 」)



医学雑誌「マグニフィスント メディカル・アイ」を覚えられない薫。
「マグニチュードスンスン マジカル・アイ」と言っていたのは笑えた。
その間違えを聞いた佐々木アツシがすぐ理解できるのはすごい。
彼には別の才能があるのかも。

「大学は象牙の塔」というのは今も昔も変わりない。
そして2020年の未来でもそれは同じようだ。

論文の捏造という点でも今とそう変わらない。
2005年に発覚したES細胞論文の捏造事件は記憶に新しい。
ファン・ウソク (黄禹錫)教授は韓国医学会にとって「希望の星」だった。
ノーベル賞も夢ではないと噂されていたくらいだ。

そして、同様のことは日本でも起きている。
各大学で論文捏造事件が話題になったことがあった。

セミナー「科学者の論文捏造事件の背景とその防止策」

また、偉い人が人格者であるとは限らない。
教授の中には保身のため、部下を生贄にする人がいる。
山崎豊子の「 白い巨塔 」でもそうだった。

この作品に出てくる藤田教授のように出世欲の塊も存在する。
そこには「患者の命を救うため医師になった」という理想論が見つからない。

それでもいつの日か、レティノを治癒することができるだろう。
佐々木アツシのような研究者がいる限り。

現実に大学での 飛び級 は具体化している。
千葉大学では高校を卒業していなくとも入学が可能だ。
名城大学、成城大学、昭和女子大学でも実施している。
ただ、現実には中学生が大学医学部で研究することは無理だ。
ある程度の基礎学力が認められない限り。

薫の父親による、ありがたい言葉が記憶に残る。

世界は呪文と魔法陣からできている
扉を開けたときには、勝負がついている
エラーは気づいた瞬間に直すのが、最速で最良だ
悪意と無能は区別がつかないし、つける必要もない
世の中で一番大変なのは、ゴールの見えない我慢だ
道は自分の目の前に広がっている


***********************
関連記事

「医学のたまご」海堂尊

「医学のたまご」海堂尊

読書感想『医学のたまご』

医学のたまご。

***********************

バナーにクリック願います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
その場合リンクは必要とはしません。
意見があればメッセージでどうぞ。
ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。
今のところメッセージは全て読んでいます。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.09.12 19:27:21


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

バックナンバー

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: