りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

2009.02.24
XML
カテゴリ: 読書




この本は、4つのやや長い短編集。
Amazonでも評価は高かったので気になっていた本だ。
「生と死」「ゆるすもの、ゆるされるもの」「親と子」がテーマになっている。
そして、それぞれ40歳前後の主人公が何かを「卒業」する。

「まゆみのマーチ」

よくできた兄の幸司と、歌うことが好きな妹のまゆみ。
この兄妹が、母親の死に臨みながら回想する。
まゆみは授業中でもかまわずに歌い出す。
このため、先生からマスクを着用するように言われる。
だが、放課後になるとマスクの下は真っ赤に腫れる。
そして楽しみにしていた学校に行けなくなる。
母親はそんなまゆみのため、「まゆみのマーチ」を歌いつつ学校へ向かう。
最初は家の前。だんだんと時間をかけて学校へ向かう親子。
実は、幸司の息子も進学校に合格しながら登校できずにいた。

幸司に批判されつつ、我慢強い母親の存在感をじわじわと感じる。
人間は実に弱くて、他人が「些細なこと」と感じたことで進めなくなる。
それを、以前のように戻すのは大変な努力だ。

この母親のようにできる人は少ない。
社会問題となっているうつ病もそうだ。
理解されていないから「がんばれ」と言ってしまう。

「あおげば尊し」

冷たいほどに厳しかった教師の父。
そのため、同窓会や結婚式に呼ばれることもない。
その父の死を前に、やはり小学校教師になった息子。

死ぬことに興味を持つ子どもはいる。
映画「スタンドバイミー」でもそうだった。
梨木香歩「 夏の庭 」も死がテーマになっている。
小学6年生が「死ぬ瞬間を見たい」と思ったところから始まる。

人の死は、どこかで教育に取り入れる必要がある。
もちろん主人公のように自分の父親を見せるというのは賛否が分かれるだろう。
介護、そして在宅治療はこれからも重要な問題だ。

「卒業」

26歳で自殺した大学時代の友人。
中学生になった友人の娘が父の思い出を訊きに来る。
中学生でいじめられている彼女もまた、自殺未遂したと話す。
最初は手首を切った。
その後は2階から飛び降りる。
彼女は「死ぬDNA」と言う。

重松は自殺にこだわっている。
舞姫通信 」でも重松は自殺について書いた。
ビルからの飛び降り自殺という点。
「人は死ねる」という内容も同じ。

今後も彼はこのテーマで作品を発表するだろう。
暗くて嫌なこと。でも毎年3万人が自殺する日本。
避けては通れないテーマだ。

「追伸」

6歳の時に母親をガンで亡くした男。
父親は再婚したが、新しい母親になじめない息子。

母親が残したノートには涙が出る。
その日のまえに 」でもそうだが、重松はこの手の話が上手い。
読者泣かせの作家だ。

再婚相手を「お母さん」と呼べるかどうか。
ハルさんも、それを息子に求めてはいけないんじゃないか。
「お母さん」と呼べる子もいれば、呼べない子もいる。

保険の外交員をしていたハルさん。
「その日のまえに」の「ヒア・カムズ・ザ・サン」に出ていた母親を思い出す。



重松作品を何冊か読んだ人はわかるだろう。
「流星ワゴン」も「卒業」と大きく関係している。

「卒業」は、重松作品の集大成という側面を持っている。
「その日のまえに」ほどではないが、作家としたの実力を感じる。

前にも記事にしたが、人は必ず死ぬ。
養老孟司が「死の壁」で書いたとおり。

***********************
関連記事

『卒業』 重松清 新潮社 (トラキチ)

卒業(重松清)

重松清 「卒業」(その1) その2 その3

↑「卒業」に関する詳しい記事。参考にさせていただいた。
当たり前のことだが、多くの人がこの本を手にしているということがわかる。


バナーにクリック願います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
その場合リンクは必要とはしません。
意見があればメッセージでどうぞ。
ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。
今のところメッセージは全て読んでいます。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.02.27 20:36:28


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

バックナンバー

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: