ワルディーの京都案内

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2021/05/31
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テーマ: 京都。(6436)
カテゴリ: 若冲と応挙
【2021年5月31日(月)】

 5月も最終日。今月はついに有償でのお仕事の日が一日もありませんでした。会に入ってすぐの月は別にして初めてです。コロナのときも、事務所に出たので、何らかの務めがあったのですが、それも4月には無くなり、他のガイドもなかったので、ついにゼロとなりました。しかし、来月は両足院がある予定なので、ゼロは今月限りとなるでしょう。

 昨日、6月1日の準備を終えたので、今日は、久しぶりにプライベートの時間をとるいことができ、庭のアベリア、マンサク、グリーングローバルのトリミングをすることができました。


「奇想の画家 若冲と応挙」第17回 「動植綵絵」の技巧と遊び心(続き)です。


◆第2章 伊藤若冲(続き)

2-11 「動植綵絵」の技巧と遊び心(続き)

 前回は、 「動植綵絵」 の 裏彩色 などの技巧と、遊び心とも映る描画について述べました。もう少し、遊び心的な描画について触れてみたいと思います。

 「動植綵絵」では、1枚の絵の中に多くの動植物が描かれているものが多いのですが、それらが皆同じような色や形をしているように見えながら、よく見るとどれか1つだけが他と違うというところを、多く見出すことができます。「仲間はずれ」がいるのです。     

「秋塘群雀図(しゅうとうぐんじゃくず)」

「蓮池遊魚図(れんちゆうぎょず)」 (図B)には、10匹の魚が描かれていますが、全部アユのように見えます。しかし、よく見ると、一番下の魚だけ、ヒレの形や胴の模様が違っています。オイカワという魚のようです。蓮の花が水中で咲くというのはあり得ないので、不思議な空間に迷い込んだような錯覚に襲われる絵でもあります。





「群鶏図」 (図C)には、色彩鮮やかに、多くの鶏が描かれています。どの羽がどの鶏のものなのか、よく判りません。だまし絵のような不思議な印象を受けます。そして、鶏の顔はすべて横向きのように見えますが、これもよく見ると、中央やや下の鶏だけが前を向いていることが分かります。

 前回も紹介した 「紅葉小禽図」 (図D)をもう一度示します。非常に多くのモミジ葉のうち、中央下右の1枚だけが、枝から離れているのが分かります。




 このように「仲間はずれ」が多くあるのが、単なる偶然なのか、意図的なものなのかはよく分かりません。「仲間はずれ」は若冲自身が、自らの孤高な姿を表したのだという学者もいます。

 他にも遊び心的な部分を紹介します。これは「別冊太陽 若冲百図」という美術書に紹介されていた内容で、私も驚いたのですが、 「若冲の絵には、多くの相似形が隠されている。」 というのです。図E-1に 「梅花小禽図」 を示します。この中に、相似形が隠されているというのですが、分かりますか? 答えを図E-2に示します。

「梅花皓月図」 (図F-1)です。どこに相似形があるか探してみてください。正解は図F-2です。






 図E-2は 「梅花小禽図」 の相似形隠し絵を示しています。右図矢印の鳥部分の拡大が左図です。この鳥の外形が、右図の黄色の枝ぶりに拡大されています。また目や枝を掴む足の位置には、木の節や、花の固まりがあります。





 図F-2は図6 「梅花皓月図」 の相似形隠し絵を示しています。こうしてみると、一目瞭然ですね。それでは元の図F-1を見てください。不思議なもので、今度は否応なしに相似形が目に飛び込んできます。




「牡丹小禽図」 を示します。2羽の鳥がいますが、右側の鳥は不自然なくらい頭を右に向けています。何を見ているのでしょう。その視線の先に虻(あぶ)が一匹飛んでいるのが発見できます。他に昆虫が描かれているか探してみると、絵の中の昆虫はこの虻一匹だけということが分かります。「ウォーリーを探せ」という絵本が一時期流行りましたが、これは若冲版「ウォーリーを探せ」のようでもあります。鳥の首の曲げ方と視線がヒントになっています。




 若冲の動植綵絵は、多くの動物や植物が描かれていても、その奥行き感は、あまり意識せずに描かれているように思います。奥にあるものも、手前にあるものも、ほぼ同じ大きさで描かれており、奥のものをぼかして描くというテクニックも使われていません。絵が平面的です。だからこそインパクトがあるのですが。それが、図H 「貝甲図(ばいこうず)」 に限っては、奥に行くに従って、貝類が小さく描かれていて、奥行き感が感じられます。「こういう描き方もできるんだぞ。」というところを示したかったのかもしれません。ですが、奥の貝類も手抜きはなく、決して細密さを失っていません。こういったところや、回りに比べると異様に大きくかつ俯瞰的ではなく平面図的に描かれ、手前の宙に浮かんでいるようにも見える左上隅の茶色の二枚貝、左下のお化けのような大きな貝、生き物のようにくるくると巻いた波など、若冲の面目躍如というところが多く発見できる絵です。

 本来は「動植綵絵」の細密な絵の描写のことも述べたいところですが、このような文書あるいはパソコンでの表示となると、どうしても絵が小さく、解像度も低くなり、十分に表現しきれません。そのあたりは多く刊行されている美術書に譲りたいと思います。あるいは実際に美術館に足を運んでいただいてご覧いただきたいと思います。


● 前回はこちら ● 次回はこちら


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最終更新日  2021/06/04 03:50:09 PM
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