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先日、雑誌を読んでいたら、新刊本の案内が目に留まった。
題名は 【コーヒーの鬼がゆく】 (吉祥寺「もか」遺聞) 中央公論社
思わず、目が釘付けになった。
「もか?ひよっとして、あの井の頭公園入り口にあった、コーヒー専門喫茶店???」
18歳の夏、初めてのデートで待ち合わせした、あの喫茶店。
静かな店内に漂うコーヒーの香り、コーヒーというより珈琲の文字が似合う喫茶店「もか」
もしそうだとしたら、「遺聞」ということは、あの店も、オーナーも???(--;
是非読みたい!と思い、即、取り寄せをお願いし、早速読んで、、、胸ずきゅ~~ん!
ぁあああああ~~人生は摩訶不思議!
あの時偶然に異国の地で出逢った、あの時の会話が昨日のことのように蘇えり・・・
思わず、、、本を落としそうになってしまった私。
あれは今からウン十年前の夏。
18歳の私はバイト先で一緒だった、自称「シンガーソングライター」もどき?の同い年の
男性から生まれて初めて正式?にデートのお誘いを受け、受諾。
約束の場所が、あの喫茶店「もか」だった。
初めてのデート。暑い日だった。
「井の頭公園入り口の坂道の途中に美味しいコーヒーの店があって・・・」
「君を是非、そこに連れて行きたいんだ」
「次の休みの日、僕とデートしてくれませんか?」
普段はおちゃらけている彼が、超真面目な顔で言うので、思わず頷いてしまった。
で、当日、その店に入って注文の際、私はとんでもない間違い?をした。
とても喉が渇いていたので、「レモンスカッシュ」を注文したところ・・・
「申し訳ございませんが、当店はコーヒー専門なので・・・」
知らなかったわ~~!(当時の私はコーヒーはあまり好きでなかったし><;)
で、仕方なく、アイスコーヒーを注文。(アイスなら、ガムシロを入れて甘くして飲める^^)
後で知ったのだが、その店は「自家焙煎」で有名な店。
アイスコーヒーも作り置きではなく、注文後、ドリップするのだから、時間がかかる!
なので、待っている間にグラスの水を飲み干した私に、彼はポツリと一言。
「あのぉ~、これから美味しいコーヒーを飲むんだからさ~~」
「もう少し待てないかな?」
ゴメンネ!ゴメンネ~~!!!(栃木訛りの漫才風でお願いします^^;)
というわけで、待つことしばし・・・
アイスコーヒーが運ばれてきて、飲んでみたら・・・
ぁあああ~!深~~い味わい!!!
まだブラックで飲むにはお子ちゃまの私(18歳)だったので、少しだけガムシロを入れたけ
ども、それでもコーヒーの深い味わいを感じたのだからネ~~♪
感動している私を見て、彼も嬉しそうな夏の午後でした。
そして、数年後、私が花の都パリ!にいた時のこと・・・
当時バイトしていた和食店は、ホテルの中にあるので日本人旅行者も多かった。
ある日のランチタイムに一人で食事している日本人男性がいた。(40歳前後?)
一人で旅行中の人は珍しいので(当時はほとんどが団体旅行だった)思わず聞いたところ
「そうなんです。個人で来ているんですよ。」
『観光でいらしているのですか?』
「仕事というのか、まっ、仕事みたいなもんですね」
そんな何気ない会話の中で、その人は東京の人で、私も東京だという話しから・・・
「私は東京でも都内でなくて田舎の方なんですよ」
「だから、学生時代は新宿よりも吉祥寺に出ることが多くて・・・」
『えっ?吉祥寺ご存知なんですか?^^』
「はい。バイト先も吉祥寺でしたし・・・」
「デートも吉祥寺でした。^^」
「吉祥寺には知る人ぞ知る、コーヒーの美味しい店があるんですよ♪」
「井の頭公園に続く坂道の途中にある、喫茶店【もか】ってご存知ですか?」
「最初は初めてのデートで連れて行ってもらったのですが、その後、友人達とも行くように
なって、私達の合言葉は『じゃ、吉祥寺【もか】でネ♪』だったんです。^^」
『そうなんですか!その店は、、、私の店ですよ^^』
「え~~っ!そうなんですか!」と絶句した私。
何という偶然! それも遠く離れたパリで!
その人は満面の笑みをたたえながら言った。
『いつか日本に帰られた時は是非!店にいらして下さいね。』
『これは店のマッチです。何もないのでお土産代わりにさし上げます』
版画家の作による懐かしい【もか】のマッチ箱だった。
聞けば、年に数度、こうやってヨーロッパ各地の美味しいコーヒー店巡りをしているのだと
言う。半分趣味、半分仕事みたいなもんですと、にこやかに語っていた。
それから、数年後、帰国した私は現在の夫となる若き?男性と一緒に【もか】を訪ねた。
あいにく、その日は休業の看板が出ていた(ーー;
そして月日は過ぎ、数年前、映画を観た帰り、現在の中年の?夫と一緒に訪ねたところ、
やはり閉まっていた。
その前から、喫茶店の営業は止めて、焙煎コーヒー豆の販売だけになっていたらしく、
夕方早い時間で閉店していたらしい。
ということで、あのパリの時以来、店に行き、お会いする機会もなく時は流れ・・・
「コーヒーの鬼がゆく」の本で再会するとは!!!
そして、その人は一昨年のクリスマス・イヴに亡くなっていたことを知った。
「コーヒーの鬼」の題名通り、まるで修行僧のように、ある時は哲学者のように、コーヒー
を追求し、その一生を焙煎コーヒーに捧げた人、【標 交紀】(しめぎ ゆきとし)
この本によれば、日本の焙煎コーヒー専門店の中で3本の指に入る店だったという。
日本各地から、彼の焙煎技術を学ぶ為に弟子入り志願者が訪れたという。
究極の焙煎コーヒーを求め、妥協を許さない厳しい人だったという。
私がお会いした時はプライベートな旅先だったせいか、穏やかな表情をしていたっけ。
あの満面の笑みからは、鬼とは全く感じられなかった。
旅先で会った、こんな若い娘(私です^^;)が、自分の店を知っていてくれた!
そのことがきっと、嬉しかったのだろうと、今になって思う。
そして、、、、さらに驚いたのは、その人の誕生日が私と同じ日だったこと!
一見人あたりが良さそうだけれど、かなりの頑固者?
自分の価値観がはっきりしていて、好き嫌いも激しいのだけれど、表には出さない。
自分が決めたことはお金にならなくても、のめり込む・・・
何だか、急に親しみを感じた(笑;
今日から2月。
もうすぐ誕生日がくる。
そうだ!久しぶりに井の頭公園に行こうかな~
そして【もか】の店の前に行こう。
店主のいない店だから、もう閉まっていると思うけれど・・・
私の青春の思い出の喫茶店【もか】に会って来よう♪^^