「3年越しでかなえた娘からの『宿題』事故現場に歩車分離式信号機」

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2022年03月14日

「3年越しでかなえた娘からの『宿題』事故現場に歩車分離式信号機」

(16)

カテゴリ：交通事故が起きないために

　今朝ブロ友さんからLINEを頂きました！！
「毎日新聞のネットニュースでさえパパさんとさえママさんが出ているよ」 と！？

実は先月末、毎日新聞さんから取材は受けていたんです。でも他の記事の関係でいつ出せるかわからないと言われていました。

それが突然今日出るなんてビックリしました＼(◎o◎)／！

　 3年越しでかなえた娘からの「宿題」事故現場に歩車分離式信号機 

（毎日新聞ネット記事より引用）2022/3/14 06:00配信

新設された歩車分離式信号機のボタンを押す坂田和彦さん（右）と栄子さん＝愛知県知立市で2022年2月24日午後0時1分、高井瞳撮影

　ピンク色の花束が供えられた信号機に、青いライトがともった。愛知県知立市の上重原交差点で2月24日、車の通過と歩行者の横断が交わらない「歩車分離式信号機」が新設された。3年前、同市の会社員、坂田紗愛理（さえり）さん（当時20歳）はこの交差点でトラックにひかれ、命を落とした。父の和彦さん（48）と母の栄子さん（54）は事故後、歩車分離式信号機の設置を呼びかけてきた。活動の原点には、娘からもらった「宿題」がある。

2019年6月。自転車に乗った紗愛理さんは青信号の横断歩道を走行中、左折してきた大型トラックにひかれた。頭がタイヤの下敷きになり、巻き込まれたピンク色の自転車は大きくねじ曲がった。

連絡を受けた栄子さんらが警察署に向かうと、薄暗い霊安室に紗愛理さんが横たわっていた。朝、ソファでくつろぎながら「今夜は私がカレー作るね」と言った娘の笑顔は、そこにはなかった。

たくさんの愛情を持って生まれた子だった。人を喜ばせるのが好きで、家族の誕生日には必ず、イチゴの乗ったチーズケーキやメロンパンを作ってくれた。2歳年下の妹が「お菓子が食べたい」と言えば、張り切ってポテトチップスを10袋も買ってくる。「ママ、あんまり無理して働かなくていいよ」と、パートで疲れた栄子さんの体をマッサージしてくれた。何より、いつも明るい紗愛理さんは家族のアイドルだった。

葬儀が終わると、悲しみや後悔が押し寄せた。栄子さんは家にこもり、仏壇の前で紗愛理さんに宛てて手紙を書き続けた。「一緒に死んじゃおうかな。でも、そんなことしても喜ばないよね」「事故に気をつけてねと言えばよかった」。どうしようもない気持ちが、紙を真っ黒に埋めた。

2019年3月27日、事故前最後に出かけた家族旅行で大好きなイチゴ狩りをする坂田紗愛理さん＝父・和彦さん提供

　前を向くきっかけになったのは、事故から約3カ月後に始めたブログだ。「紗愛理が忘れられることで、2度死んじゃうんじゃないかと思うと嫌だった。一生懸命生きた娘の20年間を知ってもらいたかった」。ブログには、紗愛理さんとの思い出や事故に対する気持ちをつづった。コメントをくれる人たちとの交流の中で、季節の花や外の景色にも少しずつ目を向けられるようになっていった。

事故から1年、トラックを運転していた加害女性に対する刑事裁判の判決があった。禁錮3年、執行猶予5年。「娘の命を奪った運転手にはせめて、刑務所で罪を償ってほしい」。執行猶予付きの判決に納得できず、検察に控訴を求める3600筆の署名を集めたが、控訴はかなわなかった。民事訴訟も起こした。訴訟に協力してくれた事故調査会社の男性が「この横断歩道に歩車分離式の信号があれば事故は起きなかった」と教えてくれた。

　信号について調べる中で、娘の言葉を思い出した。「どうして愛知は交通死亡事故がワーストなの」。県は18年まで16年連続で交通死亡事故が全国最多となっていた。事故の少し前の何気ない会話。栄子さんは娘の問いに曖昧に答えただけだった。

「なんで紗愛理はあんなことを聞いたのか」。あの日の言葉がずっと心に引っかかっていた。ブログや裁判を通じ、二度と同じ事故を起こさないようにと活動しているたくさんの交通事故遺族と接するうちに「あの言葉は、悲しい事故を無くしてほしいっていう紗愛理からの『宿題』」と思えるようになった。

20年9月、栄子さん夫妻は歩車分離式信号機の設置のため、県警本部を訪問。現場では他にも人身事故が発生していることを知った。県警からは、交通量が多いため渋滞が発生する可能性もあり、設置には「住民の合意が必要」と言われた。その後は地元市長と面会するなどし、交通安全の重要性を訴えてきた。

　交通安全の願いを込めた手作りのストラップの作製も始めた。21年7月にはボランティア団体を結成。娘たちに虹の上から活動を見守っていてほしいという願いを込めて「にじいろ会」と名付けた。思いに共感した人の輪は広がり、メンバーは約30人になった。ストラップは自動車学校や警察署など30カ所以上で配っている。