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☆*猫松屋☆本店*☆
☆短:覗き込めばそこはコバルトブルー
覗き込めばそこはスカイブルー
『ホントに青いの?』
『青いよ。覗き込んだら吸い込まれる感じ…』
電車の窓から濁って真っ黒に染まる海岸を見ていた。
まだ会話は頭の中で繰返される。
『青い海なんて想像できない…』
『たしかにね… この国の海は汚れているところが多いから…』
ぼーっと頭の中に響くのは懐かしい、優しい声。
もう聞くことはできないあの声。
真っ黒い雲が空を覆い、次第に雷が鳴り始めた。
ポツリ、ポツリ… 雨脚が強くなる。窓に叩きつけられる空からの雫。大地だけじゃなく濁った黒い海にも落ちていった。
―ご乗車のお客様に連絡いたします。視界不良のため一時電車を停車いたします。お急ぎのところご迷惑おかけします。―
アナウンスが流れて、電車が止まった。
真子莉(ますり)はふと車内へと視線を移した。
乗っているのは真子莉と疲れた顔をして眠るおばあさん、それに紺のスーツ姿サラリーマンの3人だけ。
サラリーマンはひたすらどこかに電話をかけている。その声が静かな車内に響いた。
『ねぇ真子莉、海に降る雨って嫌じゃない?』
対面式の座席、自分の目の前、懐かしい姿が座って窓の外を眺めている。
「どうして?」
目の前に座る人がこっちを向いた。
『だって、雨が降ると海が濁るでしょう? せっかく海に来ているのにもったいないじゃない。』
懐かしい笑顔。
「私は…」
『ん?』
「濁った海しか知らないから…」
目の前の姿を見つめた。
一瞬困った顔をした人、でもすぐに優しい笑顔になる人。
『じゃあ… 見においで…』
その優しい笑顔が妙に癪にさわったのだ。
「絶対に行かない!」
声は静かな車内に響き、懐かしい人の姿は消えた。
「…どうしたの? そんなに涙を流して…」
さっきまで転寝をしていたおばあさんがハンカチを差し出している。
手の甲に落ちたのは涙。知らないうちに泣いていた…
「誰と話していたのかな?」
電話をかけていたサラリーマンも気にして真子莉の側に寄ってきた。
「すみません…」
俯いた真子莉の隣で背中をおばあさんは優しく撫でてくれる。
向かいのさっきまで懐かしい人がいた席にサラリーマンは座った。
雨の降る音だけが響く…
『見に… おいで、真子莉。まってるから…』
雨の音に混ざって懐かしい声が聞こえた。
あの時… 反抗したことを後悔しているわけじゃない。
でも涙が止まらなかった。
おばあさんが撫でてくれる背中から伝わる体温。
忘れる事ない姿、声、笑顔…
後ろ姿が遠ざかっていくのを見なかった。
最後にあの人が言った言葉を今思い出した。
一緒に笑い会っていたあの人が…
スーツ姿で手を振るあの人が…
今頃はスカイブルーの海を覗き込んでいるあの人が…
「青い海なんて想像できない…」
『たしかにね… この国の海は汚れているところが多いから…』
「……それで…」
『だから行くんだ… 真子莉… わかってくれるよな?』
『スカイブルーの海は綺麗だろうなぁ。』
『楽しみだよ!』
「一緒に行こうって言わないんだね…」
『……』
― 見に… おいで、真子莉。まってるから… ―
「何か… 辛い事でもあった?」
サラリーマンは言った。
ただ首を振るだけで答えて、俯く。
辛い事じゃなかった。
本当のことを言えばあの人が行ってしまったのは嬉しいことだった。
目の前のサラリーマンのような窮屈なスーツを着たあの人がいつも辛そうだったのを知っていたから…
今でも時々こうして思い出して悲しくなっているけれど…
今は…
あの人の声 姿 笑顔…
癖 歩き方 横顔…
思い出せば懐かしい、優しい気持ちにさせてくれる。
悲しい思いよりも
優しい懐かしい気持ち
わすれない声も
笑顔も
姿も
忘れてしまった思い出も…
すべてがすべて
今の真子莉にとって優しい気持ちにさせてくれるすべてだから…
ふとこんな時に忘れた思い出を思い出して…
少しずつそれが大切なものになっていく…
だから
― 見においで… ―
あの言葉には捕らわれない…
一緒に行こうと言わなかったあの人の考えは今になったらわからないけれど、真子莉にはそれでもいいと思えた。
出かけて行ったあの人の姿が、とても嬉しそうだったから。
無理に引き止めなくてよかったと思う。
引き止めていたら… もっと後悔していたはず…
できればもう一度会いたい…
もう会えないかもしれないけど…
くじけそうな時にこそ。
思い出が優しい気持ちにさせてくれた。
スカイブルーの海は想像できないれど
あの人が覗き込んでいる姿は想像できた。
覗き込めばそこはスカイブルー…
もう大丈夫。
「ありがとうございました。ちょっと気分がのらなくて。」
サラリーマンとおばあさんに笑顔で返した。
「それはよかった。」
二人も笑顔でかえしてくれる。
ちょうどその時、電車が走り出す。
― お待たせしました。予定時刻より… ―
電車のアナウンスを半分聞きながら窓の外を眺めると、雨はみごとにあがって雲の切れ目から光が差し込みはじめていた。
これからどんどん空は青くなるだろう。
あの人が覗き込むスカイブルーの海と同じ色の空が…
「ほら、二人ともこれ食べなさい。」
おばあさんが饅頭を手にのせてくれる。
「元気だしていきましょうね。」
にこりとサラリーマンも笑った。
「ありがとうございます。」
もう悲しい気持ちにはならない。
― 真子莉!! 頑張れよ!! ―
そんな声が聞こえた気がした。
あとがき
2332番 感謝記念です。
お師匠さんのぶらんちさんに!! よろこんでくれるかな~(^^;
まぁよくわからない話だし… それなりの意図はあるんだけどね(^^;
主人公は女の子。
あの人は読む人によって性別かえてください(^^;
何も恋愛が絡んでるわけではないつもりです。
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