さがしもの

 さがしもの

2009.02.17
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小学校にあがる前後、私の家には心安らぐ場所はなかった。

あの頃からなのかもしれない。母親の顔色が何よりも

気になったのは。

いつも口うるさい父は不機嫌が当たり前だった。

むしろ母の笑顔が曇ることを恐れていたのかもしれない。


父母が別れる、別れないでもめていた頃

ある夜、ついに父母が決裂し、明日、父が家を

出るということになった…家の土地は母方のものだった

兄と弟は母に、私は父にと振り分けられた…



兄が「弟と別れたくない」と言ったのはおぼえている。

父母のもめごとの元を作ったのは父だったから、

父が明らかに悪者だった。父は女の子ひとりの

私の扱いが確かに違って特別扱いのところが

あった。だから自然な振り分けだったのかもしれない。

だが…私にとっては自然なことではなかった。

将来に暗雲しか予測できない瞬間だった。

誰も私と別れたくないとは言わなかった。

母がそれを決めた!


ランドセルに泣きながら教科書を入れ、

弟とだけ、身体をよせるように連絡をとる約束をした。





目に見える、見捨てられ感の原点。

近いと思っていた母や兄への克服できない距離感。

弟と私の自我が双子のようにくっついている感。

心の奥底に潜伏しているものと比べれば

父との断絶はむしろ原因結果がわかりやすい。




しばらくして五人家族が、形だけでももどる日もあった。


でもその時の跡が決定的に、それぞれの中に

刻まれてしまった。深い傷として…。


今ここまで来て、私はサバイバーとある意味で

言える歳まできてしまったのかもしれない。

受動的に起こることに身をまかせて来たにすぎないが

自分の中に湧き起る「否定的な感情」に居場所を

作ってあげていいはずだという意地みたいなものは

ずっと持ってきた気がする。くやしいじゃないか、

そこまでやりこめられたままなのかと…


動けない日はケセラセラ、成るように成る…

恥をかいても、ある意味でかき捨て…

ほめられた生き方でないが。



意地でも生き延びてやろうよ!人間失格と言われても…と。

心の底から吹きあげてくる。

それが私の原動力かもしれない。


はじめは復讐心だったかもしれないが、歳をとると

何かそれも形を変えてくる気がしている。

自分も大したことないが、憎しみの対象も

大したことないと…

年を取ると必ずしも順調な人が順調なままでは

なかったり、思わぬ結果が見えてきたりして

怒りが自然鎮火してくることがある…



いつのまにか峠は越えつつあるのかもしれない

がんばりもせずに…


若い日はつらい、身が焼かれるようにつらい…

心も身体も命が咲き誇ろうとするからつらい…

永遠にこの苦しみが続くように思えたその日々、

でも今振り返ると一瞬…いつのまにかもどりたくても

もどれない…





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Last updated  2009.02.17 22:55:37
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