勝手に最遊記

Making　―4―

今にも噛みつかんばかりの勢いで桃花が言う。

「へ～え、勿体ない。こんなにいい男が揃ってるのに？」
クスクスと嗤いを漏らしながら、桃花を挑発するように眺める。

「・・・アンタもイイ躰してるのにねぇ～。」
指先を桃花の胸元へ這わせた。

・・・ビシッ！
「―――――――あたしの躰に触らないで。」
鈴麗の手を払いのけて、氷のような視線を放つ。

その冷たい視線に、三蔵達も少なからずの驚きを覚える。
普段の桃花からは想像できないほどの冷たい視線。

何が原因で桃花にこんな眼をさせるのか・・・聞くことの出来ない過去に
原因があるのは感じている・・・・。

「ふん・・。お高くとまって。まぁいいわ。女に用はないから。
アタシの申し出を受けてくれるわよね？」
鈴麗が三蔵へと手を伸ばす。
「受けねぇよ。」即答されて、鈴麗の顔色が変わる。

「なんですって！？アタシの申し出のドコがっ・・・！」

「一つ、俺は人間だ。人間との禁忌は望んでないだろ。
二つ、俺は他人に利用されるのが大嫌いだ。利用されるぐらいなら、
舌噛んで死んでやるよ。そして三つ目。・・・コレが一番重要だ。」

「何よ？三つ目って・・。」

「俺の趣味じゃねぇんだよ。・・・お前がな。」

「よくもっ・・・！」ジャキンッと鈴麗の爪が鎌のように伸びる。
と、同時に三蔵も銃を抜いていた。

狙いをピタリと鈴麗の額に定めている。

「・・・アタシを撃ったら白竜も死ぬわ。」

「お前が俺に危害を加えれば、お前も死ぬ。」

緊迫した空気が大広間を包む・・・。

緊迫した空気が破られた。

「止めろよ三蔵！・・ジープが死んじゃってもイイのかよ！？」
悟空が三蔵の銃口を掴む。

「煩せぇ！お前も死ぬか！？」悟空の手を振り払い、三蔵が睨み付ける。

「・・・俺は、どんなに腹減ったって、ジープだけは食わないって
決めてんだかんな！！」

「足が無くなったら三蔵サマだって、困るだろ？」
悟浄が割って入る。

「・・・・・・チッ。」やっと三蔵が銃を下ろす。
鈴麗も爪を引っ込めた。

「なんとか話し合いで解決できませんかね？」
ヤレヤレという顔で、八戒が鈴麗を見る。

「だから、アタシ達の相手をしろって言ってンじゃない。
・・・そこのボウヤはどう？未だなんでしょ？？」
鈴麗が悟空を見る。

「ダメッ！悟空ちゃんにチョッカイかけないで！！」
桃花が悟空の前に立ちはだかる。

「も、桃花？」

「悟空ちゃんはね、ちゃんと女の子と恋愛して大人になるの！
そーゆー事に利用しないでっ・・・悟浄君ならともかく。」

桃花の最後に一言に、悟浄がズッコケ、八戒達が失笑する。

「ソレはないんじゃねーの？桃花チャン・・。」

「だって、悟浄君なら趣味と実益を兼ねられるかな・・・って。」
エヘッと笑う桃花。

「ふーん。確かに、女慣れしてそうよね・・アナタ。」

鈴麗が悟浄に歩み寄る。

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