白州次郎さん、ダンディー!というイメージしかありませんでした。
偶然にも、知り合い(もうお爺さん)が白州次郎さんと面識があって、
よく「格好良い人だったんだよ~」と言っていたのです。その印象が強くて。
外見だけではなくて、偉大な方だったのですね~!

サリィさんも楽しいゴールデンウィークをお過ごしください♪ (2006.04.27 23:13:16)

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カテゴリ: 本の話
随筆家として名高い白洲正子の著書は何冊も持っているけれど、その夫君である白洲次郎という人について、私はほとんど知識を持っていませんでした。

白洲次郎占領を背負った男 白洲次郎 占領を背負った男

今月の初め、NHK「その時歴史が動いた」で、この本の著者がゲスト出演して白洲次郎の特集が組まれたのですが、当時鼻炎の薬を服用していたせいか常に眠気に襲われていて、番組が始まってすぐにテレビの前でうたた寝してしまったのでした…
先日、図書館へ行ったときに、その時の反省も込めて(?)借りてきて読んでみたらなかなか面白く、興味深い人物伝でした。

ケンブリッジ大学での留学生活。ビジネスマンとしての筋の通った生き方。日本ではじめてジーンズを履いた男とも言われるダンディぶり…と、死後なお稀代の目利きとして人気のある正子の伴侶にふさわしい、一流の「かっこいい」男性。

しかし、私がもっとも夢中になって読んだ部分は、次郎本人のエピソードではなく、次郎が吉田茂の懐刀として深く関わった「終戦連絡事務局」とGHQとの壮絶な攻防を描いたくだりでした。

以前、憲法改正論議がマスコミで大きく取り上げられていた頃、新聞か何かで
「憲法改正は自民党結党以来の悲願」
というフレーズを目にし、え??そうだったんだっけ??と、とても不思議な思いがしたのですが、この本に紹介されている「新しい憲法を自分たちが作れるか、占領側に作られてしまうか」という駆け引きの壮絶さは、大変不謹慎な言い方ではありますが、とてもスリリングで、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。

様々な紆余曲折を経た末、GHQ主導による憲法案を日本政府の案として公表するに至るわけですが、閣議決定を天皇に報告した国務大臣の冒頭の言葉は

というものだった、というのが象徴的です。そして、「今回の憲法は、独立を回復した後にわれわれの手で改正すればいい」という思いが、首相の吉田茂以下関係者の共通の思いになった、と書かれており、先に挙げた「結党以来の悲願」という言葉は、なるほどそういう訳なのですね。

次郎が当時記した手記には
「斯くの如くして、この敗戦最露出の憲法案は生まる。「今に見ていろ」と云ふ気持抑へ切れす。ひそかに涙す」
と記されています。また、戦後20年以上を経て
「この憲法は占領軍によって強制されたものであると明示すべきであった。歴史上の事実を都合よくごまかしたところで何になる」
とも、述べています。

ただ、「終戦後、六、七年間小学校の子供にまで軍備を持つことは罪悪だと教えこんだ今日、無防備でいることは自殺行為だなんていったって誰も納得しない」と書いた彼が、一方では以下のように語っているところに、白洲次郎という人の本当の大きさを感じます。

「新憲法のプリンシプルは立派なものである。(中略)マックアーサーが考えたのか幣原総理が発明したのかは別として、戦争放棄の条項などその圧巻である。押しつけられようが、そうでなかろうが、いいものはいいと率直に受け入れるべきではないだろうか」

5月3日の憲法記念日を前に、あらためて多くを考えさせてくれた一冊でした。
皆様、楽しいゴールデンウィークをお過ごしください。

【読後、こちらを改めて読み返すとまた面白かったです】
白洲正子自伝 白洲正子自伝





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最終更新日  2006.04.27 22:53:04
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渋い  
abilitgrunavi  さん
本ですね。

私のジャンルとはかなり異なります。 (2006.04.27 23:03:42)

Re:「白洲次郎 占領を背負った男」を読んだ。(04/27)  
mayao5  さん

骨のある人  
まろ0301  さん
 憲法を巡る当時の論議百出状況を手際よく整理してくれた本としては『<民主>と<愛国>』(小熊英二 新曜社)がありますが、この白州さんの見方も一本骨が通っていて清々しいものがあります。
 いまどきの「改正論者」とのなんと大きな違い! (2006.04.27 23:27:56)

Re:渋い(04/27)  
サリィ斉藤  さん
abilitgrunaviさん

>本ですね。

>私のジャンルとはかなり異なります。

ご訪問&コメント、どうもありがとうございます。
読書はなるべくジャンルを決めずに、幅広く手当たり次第に読んでいきたいと思っています。こんな風に思わぬ見聞を広めたりも出来ますしね。
(2006.04.27 23:44:01)

格好良い人  
サリィ斉藤  さん
mayao5さん

>白州次郎さん、ダンディー!というイメージしかありませんでした。

あの正子さんが一目ぼれした男性、ですものね。
私は、遺言の「葬式無用、戒名不用」というのがなんとも格好良いなぁ、と。「寅さん」のタコ社長で有名な俳優の太宰久雄さんも、同様の遺言を残しているんですよ(タイプが違いすぎますが…笑)

>偶然にも、知り合い(もうお爺さん)が白州次郎さんと面識があって、
>よく「格好良い人だったんだよ~」と言っていたのです。

まぁ!なんと貴重な人脈でしょう。mayaoさんのシンジケートは侮れないなぁ~(笑) (2006.04.27 23:46:51)

Re:骨のある人(04/27)  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> 憲法を巡る当時の論議百出状況を手際よく整理してくれた本としては『<民主>と<愛国>』(小熊英二 新曜社)がありますが

ありがとうございます。脳内にメモして、いつか手にとってしっかり読んでみたいと思います。

> いまどきの「改正論者」とのなんと大きな違い!

自分も含めてのことですが、「戦争に負けて何にもないところから、一歩ずつ積み重ねて今がある」とおいうことを実感としてつかめないまま、頭でっかちのイメージだけで「わかったような気になっている」んですよね。この本を読み、反省も含めてそのことを痛感しました。
(2006.04.27 23:49:20)

こんばんは  
白洲次郎 かっこいいですよね。
今の政治家で彼のような雰囲気を感じさせる人はいないですよね。
マンガの主人公みたいな人ですね。 (2006.04.28 00:10:54)

Re:「白洲次郎 占領を背負った男」を読んだ。(04/27)  
紫0204  さん
激動の時代に本当にカッコ良く生きた方だったようですね。
白洲正子さんも素敵ですが、白洲次郎も素敵な方だったんだろうなあ。
これは読んでみたいですねー。
(2006.04.28 19:35:09)

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