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カテゴリ: お出かけの話
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朝から特急列車に飛び乗って、冷たい雨の降る中、二度目の国立文楽劇場へ。
今月は、“平城遷都1300年記念”で、大化の改新がモチーフとなったお芝居「妹背山婦女庭訓」が昼夜の通し狂言で上演されています。

前日に電話で予約したチケットでしたが、平日だからか一人だったせいか、一等の通し割引が楽に買えて、朝から晩まで劇場で過ごす一日を堪能してきました。
大阪は遠いけれど、「思い立ったら文楽」の気軽さにはハマってしまいそうです(笑)

「妹背山婦女庭訓」は歌舞伎でも有名なお芝居ですが、私は今までこの演目を舞台で観たことがありませんでした。

単純に、機会に恵まれなかったから…ということに加えて、どうもストーリーに拒否反応があって、見る気が起きなかったのも事実。

敵対する家に生まれたゆえに「ロミオとジュリエット」に例えられる雛鳥と久我之助の悲恋にしても、報われぬ恋の果てに嬲り殺しの目に遭うお三輪にしても…いくら何でもひどすぎる!と呆れるほどの気の毒さ。

「庭訓」というのは「教訓」という意味の言葉ですから、このお芝居は当時の“婦道の鑑”だったのでしょうが、現代人の私にしてみればあり得ない話で、感情移入するのは無理かも、と思っていました。
(義理や忠義にからめとられて、思うように生きることなどままならない登場人物たちの物語が、かつての日本人には強いリアリティをもって受け止められていたことを思うと、封建制の時代とはなんと息苦しいものであったか…と考えさせられます)



特に、昼の部最後の「妹山背山の段」。大夫、三味線、人形遣いで総勢5名の人間国宝が登場(!)という舞台で、見る側の気合いも一段と漲るような迫力。

親が子の命を奪い、死にゆく二人の祝言を遂げさせるという凄まじい物語ですが、心の底からほとばしるような大夫の語りが、これまた情念がにじみ出るような三味線の音色とからみあうと、まさに「宿業」としか言いようのない、人間の哀れさが伝わってきます(演じているのはお人形なのに…)。

様々な悲劇がミルフィーユのように積み重なったお芝居ですが、各段ごとに同じような感銘を受け、すべてが終わった時には、この演目をまた観たい、と思っている自分がいました。

テレビその他で拝見して、いつか生の舞台でお会いしたいと思っていた方々は、今回の公演ですべて拝見することが出来ました!
当然、これで“一丁上がり”ではなく、これからも私の文楽熱はしばらく続きそうな予感です。


劇場ロビーには、大神神社から贈られたという杉玉が飾られていました。

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最終更新日  2010.04.18 16:10:45
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