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カテゴリ: 映画の話
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普段、映画を観るとかなりの確率で「あと15分短けりゃよかった」と不満を漏らすことが多い私ですが、この作品に限っては、撮影されながら削ぎ落とされていったカットがたくさんあることが容易に想像できただけに、「あと1時間長くても良かったのに…」と思ってしまいました。

つまりはそれほど、この二人の作り出すイメージが 私自身の 好みに合っているということで、「好きだ!!」という感情は誰が何を言おうと、理屈を軽々と超えるのですね。

(思えば「ノルウェイの森」そのものが、理屈ぬきの感情に突き動かされる若者たちの群像劇でもあるわけで)

ワタナベ役の松山ケンイチ。ラストシーンの彼の表情に、ヴィスコンティの「若者のすべて」で観たアラン・ドロンを思わず連想。
男の子が男になっていく、人生のある瞬間を発見した思いでした。
菊池凛子の演技表現も見事で、原作を読んだ時にはわからなかった直子の、どうしようもない生きづらさを抱えてしまった苦しみが、夜明けの草原の場面では痛いほど伝わってきました。

この映画の原作が、書店に赤と緑の山を築いていた頃、私は18歳で、家族を相次いで喪い、家の中が丸ごと辛いような時期でした。

だから、映画で緑を演じた水原季子ちゃんがとてもチャーミングで、うれしかったです。

突撃隊(柄本時生、ハマり役)の登場場面が少なかったことは残念だったし、レイコさん(霧島れいか)との最後のシーンは原作に忠実にしてほしかった…

など、など、残念に思う部分は多々あるし、そもそもシネコンで観るような映画か?マスメディアでプロモーションしてみせるような作品か??と疑問。
なお、原作を読んだことのない夫には、さっぱりピンと来ない映画だったそうです…(涙)

トラン・アン・ユン監督の作品では主演女優として常連の監督夫人は、今回スタイリストとして参加。大学教授役の糸井さん、レコード店の店長役の細野さんなど、カメオ出演の面々がいい味を出してました。

あらかじめケチをつけられることが決まっているようなプロジェクトに、純粋な創作意欲をぶつけて挑んだ勇気にただただ、敬服。
もっとひそやかに生み出され、受け止められるようなあり方がふさわしい作品だと思うけれど、原作本の大ブームそのものが、考えてみたら作者の思惑とはまったく違うハプニングだったことを思えば、いたしかたなし…か。





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最終更新日  2011.01.10 18:26:19
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