夫婦なかよく楽しく夢実現!    かまくら便り

夫婦なかよく楽しく夢実現! かまくら便り

2004年09月27日
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それは学生のころバイト先で知り合った4才年下のTという男の子でした。
男の子というのがふさわしい位、あどけなさが残る、SMAP慎吾似の19歳。

当時遠距離恋愛をしていた私はその100Kmも遠くの恋人とくっついた離れたを5年も繰り返しており、心もカラダも疲弊していたときでした。

相手を好きになるより、好かれるほうが女の子としては幸せなのかもしれない。今にして思えば、安易な考えだったかもしれない。

そんな私を好きになってくれた年下の彼。
高校を卒業して東京のソフト開発会社に籍を置きながらも半ばフリーでの活動、大卒のサラリーマンよりも収入が多いことを自慢していて、子供っぽくはあったけどそんな気骨ある彼の姿に私も惹かれたのだと思います。



それからいつでも一緒にいたいという感情と私だけを見てくれているという安心感から、
私の両親が反対しているとはいえ、私が社会人になってから同棲するのは当然のなりゆきだったと思う。

でもそこからは私たちの試練の始まりだった。


彼は小さなころから腎臓が弱く、血圧が異常に高く、それが難治性のもであること

そのため小学校はまともに通えず中学校は病院から通っていた、高校生活も制限が多かったことを知った。

私は、そのとき「なんとか彼をささえていかなくては」
と思っていた。

しかし時はバブル崩壊の真っ只中。
彼のいた会社は給料の「遅配」をはじめ、さらには彼が会社からもらえるというお金(出資金のようなもの?)も戻くるメドが立たなくなり
とにかく生活を続けるため、会社員だった私の信用でローンを組み、サラ金まで借金をし・・・

自暴自棄になる彼と私との衝突も目立ち始めた・・・
ある日彼はストレスからか鼻血が止まらなくなり3時間もタオルを鼻に当て横になってた。そして白いタオルが真っ赤になった頃、

このままではまずい・・・

私は救急車を呼び、付き添いとして病院で夜を明かした。


私の力が及ばなかったのだろう。彼は喫煙はするし、仕事の多忙さにかまけて不規則な睡眠でも気にかけない、食事も気遣わない、病院へは、

「今、診察に行ったら、即刻入院になる」
といって薬もいいかげんな飲み方だった。

私たちは、同棲はしていても、入籍はしていなかった。
つきあって最初の頃、彼の田舎へ行って、ご家族に会った。


それでも、そのときから彼の家族に違和感を覚え、何かしっくり来ないものを感じていたのだろうと思います。

「オレは、いままでいいことなどひとつもなかった。オレの一生の中でsamukoに会えたことが一番の幸せな出来事だ。」

何度か私とケンカをしながらも、最後は決まってそういうのが彼の口癖でした。

それでも、すぐに自暴自棄な行動に出てしまう彼の弱さに、私の心は次第に彼を許せなくなっていきました。


そんな矢先、もともと肝臓を患っていた私の父がガンで入院し、余命あとわずかなのを、母からの電話で知りました。

母は、私が同棲を決行してしまったことを父には内緒にしていました。そして、もうこれ以上隠すことはできないといいました。なんとか別れるように自分で始末をつけなさい、と言い渡されました。


支払っても支払ってもなくなることのない借金、すぐに落ち込んでは倒れる彼氏。

あるとき、自宅のある中野坂上地下鉄駅の出口、ときどき机を構えている男の易者さんが、会社から家路を急ぐ私に、
「ちょっと、あなた、きなさい!」
と命令口調で声をかけてきて、私のジャケットを掴むなりその易者用の机の前に私をしゃがませたのです。そして、自分はイスに座り、こう私に言い渡した。

「あなた、いま、すごーく相が悪いよ、見過ごすことが出来なくて声をかけてしまったけど。」

そして、今の私の眉間に「色情の相」がでていること、なんとかそれを断ち切るために、決断しなければならないことがあるはず、と言われた。「色情の相」・・・何のこと?

「とにかく、すごく悪い。気をつけなさい・・・」

そんなこと言われたって・・・今思い出しても身震いするほど怖くなる!なんでそんなこと言われなくちゃならないの?とにかく、そのあと、何度かその若い易者さんが駅前で机を出しているときは、以後自分から話しかけ、心の迷いを吐き出したりしつつも相談料を払って憂さを晴らしたりしたものだ・・・でも、彼は決まって、きっぱり今の生活を止めなさい。と私に言った。

決断・・・父の入院を彼に告げ同棲生活を終わりにした。

私は自分のアパートへ戻り、そして同棲していたマンションを引き払った彼は会社で寝泊りするようになった。
でも、彼とはその後も会っていて、なんとか状況が良くなるようにと願いながら過ごしつつも、一度心に亀裂が入ってしまった私は彼につらくあたるようになって、彼の不摂生を責め続けた。

そして、別れたいと私から言っても、彼は
「絶対にsamukoとは別れない」
の一点張り。

いつものように私のアパートでケンカになってしまったある夜。彼は「もう。いいよ」私のアパートの玄関でそういい残して部屋を出て行った。

そのときの彼の表情に一抹の不安を覚えたが、それがあんな形で私の眠りを破った・・

ケンカをした翌朝、私は電話のベルで起こされた。
「何度電話をしても、でないんだから!!!」
その声は彼の会社の同僚だった。
「とにかくO病院に行って!救急の話だとsamukoのアパートの前の道路でTが交通事故にあったらしいよ!」
当時私の住んでいたアパートの前には青梅街道という交通量の激しい道路が走っていて、その夜私の家アパートをでてからその道路を渡っていたとき、バイクにはねられたらしい。
全くその間私は布団の中で眠っていて彼がそんなことになっていたとは夢にも思わなかったが・・・玄関で別れたときのあの彼の暗い表情を思い出し何か不吉なことが起こる予兆のようなものを感じたことがそのときはっきり理解できたのだ。

とにかく、彼は生きてる。
そう思い直して、自分の会社に半休の連絡をしたあと、急いでタクシーでO病院へ急いだ。

病室を突き止め大部屋のベッドの一つに横たわる彼を見つけ、彼に声をかけた。
「あー。samuko、やっときてくれたー。何度も呼んだんだよー。」
顔は包帯をぐるぐる巻きにされていて表情はわからないが、安心した様子だ。太ももから足先まで擦り傷で赤銅色の皮膚に変わり果て、体中の打撲とあごに骨折。

痛々しいかぎりだが、とにかく、生きてた。よく生きててくれた。


気が付くと、周りのベッドは老人ばかりだった。しかも男女一緒で、私の立っているベッドの横には小さくなったおばあさんがじっと天井を見たまま仰向けで寝ているかと思うと、彼のいるベッドの横には、横向きのままはだかでじっとしているおじいさん・・そのおじいさんのお尻がない・・・?!大きく赤茶けているのが見えた・・・あれは、床ずれ・・・かな。聞いたことがあったけれど本物は初めてみる。私は何故か恐怖が沸き起こった。なんでこんなところに私たちはいなきゃならないの?湿布のニオイに混じってなんともいえない荒廃したような異臭につつまれた病室の中で、私は悲しさいっぱいになってしまっていた。

「samukoがきっときてくれる、って思ってたんだ。ゆうべのことはほんとうに覚えてないんだ・・・なんであの道路を渡ったのかも・・・」

また不思議なことに、彼をひいてしまった方も都心から方向はまったく逆の千葉にお住まいの方で、その夜なぜかこちらへバイクを走らせてしまったのだという。

病院の談話室にある自動販売機に缶コーヒーを買いに行ったとき、
タバコを吸っていた中年のおじさんがガウンを着たなりをして私にこう言ったのを覚えている。

「ここの病院は救急に指定されてるからしょうがないけどよ、ヤブだよ。早いとこ転院させないとダメだよ。」

このままでいいのか・・・私といるから彼はダメになってしまうのか・・・それでも彼は、私を見るとうれしそうに顔をほころばせる。
彼が回復してまもなく、相変わらずの業績の悪い会社で悪戦苦闘している彼に朗報が入った。取引のある会社の社長からの、引き抜きである。多少の支度金も出してくれ、アパートも用意してくれたとのことで、これで彼も再出発のメドが立った。

それに前後して、私は彼にこう告白した。

「好きな人が出来たの。別れたい。」

彼は
「そんなの絶対に良くない!オレは認めない!」
私も意志を固くして、このまま彼が立ち直れば、私の気持ちも軽くなれる・・・との信念から、逃げるように喫茶店の店のドアを開け、駆け出した。その後、間もなく私の父の死。私はしばらく会社を休んで実家に帰省しており、彼ともそれで終わりになるかにみえた。

それでも、会社帰りに彼の待ち伏せに合い、こう説得された
「もう、オレとつきあわなくてもいいから、会ってくれ。借金も順調に返せるメドがたったんだ。給料の一部を毎月samukoに支払うから、月1回でいいから会ってくれ。頼む。」

私の借金は、彼との同棲生活で車1台買えるぐらい膨らんでいたし、私もそれが容易に返せるのなら、それが彼のハリになるなら、と本当に彼と会って、喫茶店で近況を報告し合い、それだけだった。そのあとゲームセンターに行くぐらいは、楽しんだと思う。

ときどき、つい、昔のお互い好きだった頃にもどってしまいそうな・・・雰囲気にもなったけど、ただ、毎月彼の仕事の話や私の仕事上の相談などをしあって別れた。<つづく>






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最終更新日  2004年09月27日 11時09分07秒
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