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2004年09月28日
愛することを学ばせてくれた彼へ(2/3)
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それから、私は全く違う相手と社内結婚することになり、彼にもそのことを報告した。
「よかったな。」
彼はいったかどうか・・・・今は覚えていない。そして、私は新居に移し、私たちがかつて過ごした町で会うことはなくなった。
私が結婚した年の夏、私の会社に彼から電話がかかってきた。
「samukoのとこでも社内メールぐらいやってるだろ、これ、オレのメールアドレス。開いてみてくれ。」
当時、パソコンが1人1台にようやく普及して、同時にメールも本格的に個人でやりとりできる体制になった頃だった。
私は早速、メールチェック。たわいもない挨拶メールだったと思う。今ではなんて書いてあったか記憶にない程度のことだと思う。
夏休みには新婚旅行前のプチ旅行、そしていつになく仕事に追われる日々。そして退社後はどこにも寄らず家で過ごしていたように思う。夫が帰宅するのを待ってただろうし、私が夫より遅い時は急いでスーパーで買い物を済ませ帰宅していたことだろう。彼のことは、そんなうきうきした生活の流れの中で薄れていたように思う。思い出したところで、彼はきっと難なく過ごしてることだろうと思いたい。そんな願望が、彼を気にかけることを打ち消していたのかもしれない。
その週、たしか夫は海外出張で家を留守にしていた。そしてその日の午前中、総務経由で私宛てに彼のもと同僚から連絡がはいった。
「Tが亡くなった。通夜をTの実家でやるから、行って欲しい。」
やっぱり・・・
私は心の中でそうつぶやいた。そして、なんてばかなやつだ・・・
そうは言ってもにわかに信じられない内容だった。
彼の同僚は私の心の中を見透かしてか、
「とにかく、このFaxを読んでくれ・・・」
そう言って電話を切った。
数分後には私の部署のファクスから案内通知が流れてきた。私はすぐにそれを手にとり、中身を読んだ。
「9月27日未明、株式会社XXXX ○×T司がくも膜下出血のためYYYY病院にてXX時XX分永眠いたしました。享年24歳。
彼のご冥福をいお祈りしますとともに、関係各位にご案内申し上げます。
通夜 :9月28日 6:00~ 静岡県 自宅 にて
改めて活字になってみると、信じられるようになるものだうか・・・とにかく上司に許可を取り、そのあとは取るものもとりあえず新幹線に飛び乗り、静岡までの車中、どうして・・・なんで・・・そんな気持ちの中諦めのようなものが私を支配していった。
静岡駅に下りると、私は売店でとあるデザイナーズブランドの刺繍が付いたハンカチを買った。グレーの、男物だった。これしかなかったのだ。それから最寄のファストフード店へ入り、コーヒーを買って啜った。手が震えている。寒さからか。それともずーっと行き来をしていなかった彼のご両親にこれから会うことに多少びびってるのか・・・
とにかく、コーヒーを飲み干した後はタクシーを拾って彼の実家に急いだ。車を降りると、玄関先にはすでに何人かの弔問客が列をつくっており、大きめの提灯だけが周囲をほの暗く照らしている。
私は、香典袋に嫁ぎ先の姓に代わった私の名前を記したものを受付に渡す。すると、受付の女の人は、
「もしかしてsamuko?さん?・・・T子さん!(Tの母親の名)samukoさんが来て下さったよ!」
「まあまあ、samukoさん、よく来てくれたわ。Tが喜ぶわ!お父さん、samukoさんが来てくれたよ!」
私は彼のお父さんと挨拶をした。彼は苦悩の表情をしながらも、なんとか笑顔をつくり、
「やあsamukoさんか、わざわざ遠いところから、よくきてくれました。」
と言った。お父さんは私を彼の棺の安置してある座敷に通してくれた。棺を前に、私の中で彼がなくなったという現実がしっかりしたものとなってきた。
「さあ、Tに会ってあげてください」
そう言われて、わたしは彼の亡骸と対面した。少しばかりやつれた顔だが、やすらかな寝顔のようだった。
棺の前にはおばあさんと妹さんも並んで座っていた。
「Tちゃんは、苦しまなかったですか?」
私の問いかけに、お母さんは、
「何でも夜中会社で仕事していて、倒れたらしくて、朝一番に会社に人がきたときには冷たくなってたっていうから・・・そんなに長い間苦しまなかったと思う」
そう言っていた。私は、
「そうですか、それはよかったです。」
とだけ言うと、その場を失礼した。私の背中ににおばあさんと妹さんのすすり泣く声が刺さった。
<つづく>
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最終更新日 2004年09月28日 10時41分38秒
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