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知らない世界に行っていた。
そこはTシャツの国だった。
色とりどりのTシャツがあっちこっちにあるのに、
人間の姿が見えない。
なのに、Tシャツは動く。歩いているようにも見え、
ジャンプしているようにも見える。
それはちゃんと膨らんで人間らしきものが着ているのに
人間の皮膚は見えない。
透明人間が住む世界に違いない。
わたしは、その国を自転車に乗り旅していた。
日差しが眩しかった。
その内夕暮れて、夜になると微風だけが頬を撫で、
どこからか、口笛が聞こえてきた。
誰が口笛を吹いているのだろう。
もう既に、Tシャツの透明人間は何処にも見当たらない。
わたしは自転車で一本の見知らぬ樹木の並木を進んで行った。
どれくらい走ったか・・・
目の前に真っ青な海が見えてきた。
自転車を倒し、わたしは波打ち際まで走った。
寄せ返す波に、白いTシャツがいっぱい浮かんでいた。
わたしは、異様に思った。
けれども、暫く見ていると、それは透明人間が海に浮かんで
楽しんでいるのだろうと思った。
わたしも、飛沫を跳ねながら波に乗っかっていった。
ふかふかと身体は浮き、浮き輪のような気分になり・・。
気が付くと、わたしの皮膚もいつの間にか消えていた。
< 絵 南風 加山雄三 作 ネットで見つけました>
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うっかり0303さん