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Jan 14, 2004
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さすがに13日分には収まらない。
よって、日付こそ違えどまだおんなじ日のハナシなのだ。

さて、板柳でカメラを見たがった大人4人は下りたシャッターの前で途方にくれたりせず、年長さんのAさんが「ああ、ここの名物の川口あんぱんを買って、そこで電話番号きいたらいいよ」・・で、そうしようそうしようと開店したばかりかと思われる「川口あんぱん」屋さんへ入る。週末は二割引。薄い小麦の皮でくるんだ白あんのお菓子。そうねえ、「ももやま」がもっと平たくなったような感じかな。これをふたつ、他のメンバーもそれぞれ思い当たる人に買い、おっと忘れちゃいけない「カメラ屋の電話」・・・・さっそく教えてもらい、かけてみる。が、出ない。
「カーテン、閉まってるときはお出かけかもしれないですねえ・・」店のおばちゃんが控えめに加える。
朝10時からどやっと来てカメラカメラって言う4人のほうがよほど興味深いらしく、「どっからきたの」ときかれる。「え~、今朝は青森から、ですが・・」それでも遠いとこから来たねえ、という。そりゃ、そうでしょなあ。自足140キロで飛ばしてきたのだもの。
なんだか、他にも面白そうなお菓子がああったけど先の道中を想うと荷物は軽くしておきたい。春になったら、また来よう。
カメラ博物館を諦めきれないわたしどもは、狭い路地をぐるっと回って裏口まで行く。しかし、本格的にお留守みたい。
「まあ、しょ~がないね」
さすがに諦めも早い、次の楽しみへ向かうことにする。


ここには、大小順にならんだやかんやなべぶた、ネズミ捕り器やなんかとともにいい形の竹篭が天井からぶる下がっている。Nさん、その中から楕円形をした持ち手のついたのを選ぶ。なかなかよい籠だ。「最近は、なかなか編める人もいなくなって・・」と店の姉さんが言う。実は、このお店も五能線の本の中の写真に登場するのだった。控えめなわれらがライター氏と編集者氏は、「あの、この本で見たんですがこれ、おたくですよねえ」かなんか言って姉さんにページを見せる。姉さん、はっと息を呑んでから反射的に「おかーさん、これ、これ!」と店の奥の方へ駆けていく。おかーさんも出てきて、うわあ、と云う。いいなあ、こういう反応。
中南米マガジンで、話を聞いて記事にしたキューバの人たちに本を持ってったときもこんな感じだ。なんというか、「この瞬間のために書いたのかもしれない」と思えるような。見ているほうも、なんだかうれしくなる。
それにしても、このふたりのお忍び具合はどうだ。ふふふ。
しかしこういう本を通した「うわあ!」な瞬間は、これが最後ではないのだった。
すてきな籠を手に入れて、うれしそうなNさん。
わたしも人がつくったものは大好きだ。盛岡の紺屋町にある籠&荒物屋さん「ござきゅう」の話などで盛り上がる。やはり、籠好きならいがねばならない店なのだった。(お向かいの通りにある、南部鉄器の店もわたしはお気に入り)

次なる目的地は五所川原。
何って、「五能線ガイドブック」の編集者&ライター自ら勧める「ここはいがねば」スポットだからだ。メンバーの2分の一がこの本に携わっており、活字にならなかった濃い話つきでの移動だ。ね、豪華でしょ。(・・・・)
まず、五所川原駅前の「平凡食堂」。
ここは見学のみ。なぜって、腹がすいてないからだ。
次は向かいの「バス待合所」。

編集者A氏、「いちばん濃いのは高校生の下校時刻なんだよ」という。何って、30年前の風景そのまま、なのだそう。
今日は休日だから、ちょっと「おめかし」で気合を入れたワカモンがバス待ちでテレビを見ている。ここでバスを待つ人々はほとんど全員、テレビのほうを見ているんだけどちょっと人が入ってくると「ぐわっ」と視線をまとめて向けてくる。なぜだ。寒くなるからか。そいづあ申し訳なぐ。ワカモン以外の年齢層はおっつあん、おばちゃんなのだけど雪のせいもあり「機能性重視」なイデタチがほとんどであった。そう、青森駅付近でわたしがはじめてお話したおんつあんの「タオルのほっかむり+正ちゃん帽(かあちゃんが太い毛糸で編んだのでなけれなならない。色は黒か茶色)+厚い眼鏡+ジャンパー+ゴム長・・・」である。確かに、のちに地吹雪にあった時そのスタイルが一番純粋に機能しうるものであることはよおおおおくわがったのであった。おばちゃんは、なぜか首にマフラーではなく薄いシフォンのような「まきもの」をぐるぐるして上着につっこんでいる。風が出たらほっかむりにもなるからね、これって。
そういえば。
この「ぐわっ」な視線には以前どこかで遭った気がする。
そうだ、メキシコシティ。

この、本気でバス待ちしてるか暖をとるだけなのかわからない人々の向こうには、カウンターだけの食堂がある。どんぶりものやうどんそばなど。その対面には煮しまった色の画用紙に「学生ラーメン 200円」の太マジックの文字が。
一緒に探索を始めたNさんと「あれ、やっぱり学生だけですかね・・倍払うから喰わせろ、ってのアリかなあ」これまたこってりとお煮しめにしたようなミシン用の気の丸椅子がちいさなテーブルを乱雑に囲む。カウンターからはみ出すほどのお客が食べているところを、ああ見てみたい。
さらに、その奥へ。
やってるかどうかわからない「手荷物預かり所」。
受付窓口という名の穴にはボール紙や模造紙がガムテープで止められ、かえってその窓口を狭くしている。
窓口には、人はおらずしかし手荷物を預かるらしい棚はちゃんとある。床に10キロ入り米袋、ふたつ。これは預かり品じゃないよなあ。ちなみに預かり所と学生ラーメン屋は、調理場でつながっているのだった。
この手荷物預かり所の背後は、雑貨や。
コンセプチュアル・アートであれば「純粋雑貨屋」と名づけなければならないようなお店だ。
品揃え、なぜバス待合所にこれが?という深い考察の淵に落ちそうなもの多し。
大小さまざま「カメヤマローソク」、同じ棚に「カミノモト」。ならびに台所用品。その背後にはラベルが消えかかったトイレ用消臭剤、ブルーのびん。その上段には端がくまなく黄色くなった便箋。その向こうには贈答用のクッキーやせんべいの見本。これまた懐かしいようなパッケージ。スゲえとこだなあ、と息を殺しながら(なぜか、面白がっているのが見つかってはイケナイような後ろめたい気がするので)笑う。苦しい。「だって、苦しいからさ。」ツシマくん改めダザイさんはそう言った。
店のおばちゃんは、わたしたちが息を殺してウケまくってるのなど知らん顔でお友達とのおしゃべりに励む。店のカウンター?とおぼしきものの前には、ダンボールいっぱいのにぼし。このへんは、何の魚で煮干を作るのだろう。アジかなにかのような見えた。
さらに、奥へ進む。
「←ゲームコーナー」の消えかかった文字も悲しいその空間は、コンクリート打ちっぱなし。半分ガレージのようでもある。その一番奥にはカウンターのみの喫茶店のような店があった。またまたボール紙に黒太マジックで「焼酎 三百円」と大きくかかれている。ちなみにビールは五百円。まだ朝の11時ではあるが、背中を向けてカウンターに座る男の前にはグラスに入ったビール。女将であるところの紅い髪とこってりメイクのおばちゃん、タバコ片手に紫煙の合間からこちらをデロリ眼で睨む。さっきの「ぐわっ」な視線に近い周波数である。
わたしはこういう「やる気ゼロ」な店が大好きだ。
ここの環境じたいが映画のセットのようで、いやほんとに2004年なのか、今は?と疑いたくなるような。
のちに、東京に帰ってからジプシーものギターのCDを好き勝手に編集していて、Django Reinhardtの”MINOR SWING"を選んで入れていたとき、ここ五所川原のバス待合所が脳裏いちめんに広がった。強くてうら哀しい太い音。ゴショガワラとジャンゴ。音感もなんだか仲間っぽいぞ。え、ジャイゴじゃないってば・・・。

さてさて、このあとまたもや五所川原の小さなマーケットのような市場に入る。お昼も近いせいか、惣菜や弁当の準備が進んでいた。それにしても。
鉄の串に大きなホタテが4つばかりささって、しょうゆとみりんか何かつけてあぶったのや同様の方法で串刺しになった白身の魚などがステンレスの大きなバットにどうだ!と並ぶ。
一個売りもしてくれるのだろうか。この惣菜やの傍らでは、ここの焼き魚を入れた弁当が仕込途中。菊の酢の物やおひたしなんか入っていて、基本アイテムだけ同じで魚は選べる、そんな売り方のように見えた。
ちょっと立ち止まると威勢のいい売り声をかけられる。
乾物、弁当、鮮魚、野菜、・・それから、どういうわけか昆布屋には毛染めが並ぶ。「かわきもの」ではあるが。よく見ればクラブ化粧品の「ホルモンクリーム」(・・・!)の瓶入りのもある。こういうの、並べておくと売れていくのだろうか。不思議な品揃え。威勢のいい現役が声を張り上げる隅で、ストーブにあたってアルミホイルにくるんだおむすびをあっためる番をしている先代とおぼしきばあちゃん。エプロン&薄物のほっかむりという基本的なアイテムで固めている。きっと、毎日家族総出でここで商ってるのだろう。人を眺めているだけでも楽しいし、おしゃべりもできるし。
ここでわたし、昆布三束お買い上げ。
東京の冷蔵庫に放置してきた、2週間ものの塩豚をこれでウチナー料理風に煮てやろうと考えていたから。帰ってからだって、楽しい事は続く。

市場を出てから、また五能線”沿い”ツアーの再開。
「木造町」の表示。
人気のない道に入り始めたあたりで、年長さんのAさん。
「ここの近くに、すごいお寺さんがあるんだけど、行く?人形が800体くらい安置してあってね~、それはもう壮観だよ」
例によって「いきたいいきたい~」と以下3名も騒ぎ、進路は一路「西の高野山 弘法寺」へ。






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Last updated  Jan 26, 2004 09:37:09 PM


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satchumino@ Re[1]:ぴー&ぷー(11/01) 木枯らし1号カウントされてからのほーが…
satchumino@ Re[1]:交差点(11/03) うん、多分この場所っていつもこうなんだ…
ぺんじ@ Re:交差点 空の交差点、きれいだね。 長野の方は、ア…
ぺんじ@ Re:ぴー&ぷー きれいな色。 木枯らしふいてから、紅葉す…

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