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Jan 17, 2004
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たつまきをさらに楽しもうと、黄金崎あたりで車を降りてみる。さすがにすごい風。色の少ない景色が新鮮だ。
「ほら、あのへん」
「どれどれ」
「あ、もう消えてるし」
出ては消えるのを繰り返すたつまきをしばし眺め、天候の悪さもまた一興。公共の施設がまたあるのだけど、どこから来たのか随分と軽装のまま途方にくれてる山帰りのおばちゃんが二人立っていた。タクシーでも待ってるみたい。
「ここらへん、タクシー1.2台しかないはずだから大変じゃないの」「いやあ、乗せてってやれたらねえ」「あのイデタチは地元じゃないな。首都圏から来たみたい」「ほっかむりしてないもんな」
などと、勝手なことを車の中から言い合い、また走る。

途中からどんどん、雪が降ってきた。
ついに地吹雪に突入か!と興奮していくのもつかの間、ガードレールに車の鼻先から突っ込んでしまい途方にくれてるおばちゃん4人組がいた。しかも、雪とけっこうな強風つきだ。

車は青森ナンバー。
滑ってつっこんで抜けなくなったらしい。
はじめは天気が良かったから油断したみたい。

しかし、おばちゃんたちは完璧にヒステリックな状態になっており心配な雰囲気だ。そこで車から降りた4人も加わって車を戻すことになった。
ドアを開けたまま(握るとこもないし)車を後ろに引っ張る。なかなか動かない。地面も当然、滑るし。
そこでわたしの右手に激痛があああ!!!!
おい、おばちゃんなんでそこに手があんのにドア閉めるわけえ??え、風だって?ともかく痛いぞ。
(こういうときは何割増しで大声を出す、というのは長年の闘争生活で身についてしまってはいるのだが。いや、マジ痛かったす)
幸い厚い手袋してたからよかったようなものの。すぐに地面に積もる雪で冷やす。お手伝い、リタイアする。
そのうち車、なんとか路上に戻ったのはいいがブチ切れたままのおばちゃん×4はご自分たちの安否のことしかご関心ないようだ。何で人助けして手を傷めなきゃなんないわけよ、えっ!という腹立たしさは隠せない。しかし、ここにいてもしょうはないので「能代についたら病院いってみてもらいましょう」てなことにする。それ以外、どうしようもないし。
どういうわけか今回、キューバヘ行くのに絆創膏ひとつもっていかないわたしが保険証を持っていく気になったのだ。ビョーイン、いつ行ってもいいぞ。

このまま、手だけはおとなしくしていく。

そうこうしてると、八森まで着てしまう。
ここでまた魚市場に立ち寄る。まだこれというオスの鱈にめぐり合えてないからだ。
それほど大きくはないけれど、魚の種類はそろってるし新鮮だ。魚の活きの良さがぴかぴかして、目に飛び込んでくる感じ。買い物を終えてすれ違う秋田ナンバーの車のおっちゃんが「こんなに降るって聞いてねえよな」と奥さんに話しかけているのを耳にする。

あれこれ眺めてから、やっとタラを買うことにする。タラ巡りもこれで終焉か。ああ。余り大きくないのを二本(匹、というにはでかい!)。魚屋のおんつあん、あれこれしゃべりながらあっという間にさばいてしまう。タラって可食部かなり多いみたい。廃棄率低い。脾臓、胆嚢・・・あと、どこらへんかな。投げた部分はとても少なかった。4人であざやかなさばきっぷりに見とれ、なべもの用の形になったのをビニールに入れてもらって、またクーラーボックスに追加。バラされてはいるが、旅の同行者がまた増えた。


なんだか、道路に灯りが増えてきた。町に出るのは何時間ぶりだろう。たいした時間ではないけれど、長旅をしてきたような気分になる。
「ビョーイン、もうすぐだから」年中組・Aさんが声をかける。あ、そうだった。わたし負傷者だったんだ。酒飲みの前には何とかしとかなきゃな。
町に入ってすぐ、でっかいビョーインの建物が目に入る。
農協の共済病院。3人に待っててもらい、救急の入り口から行く。受付で事情を話し、暫し待つ。今のところ、急患らしい人は来ていないみたいだ。
長いいすで待っていると、白衣の若い当直医師が出てくる。
「車のドアにはさまれまして・・・」
「とりあえずみてみましょう。それからレントゲン撮影しましょう」
曲げるとまだ少し痛む(ような気がする)。
内服用の消炎剤でも出しましょう、なんて言っている。
じゃあレントゲン室で撮ってきてください。
そういわれて、ひとりで薄暗く広いホールを歩く。
通りがかりなんですよ~、といったら看護婦さんがついてきてくれた。「また、なんで怪我を」ときくので一部始終を説明する。「人助けしてこれじゃあ、ワリ合わないすよねえ~!」話をきいて彼女はあはは、と笑う。この笑いで何か憑いてるものが落ちた気がした。指も曲がるし、たいしたことないじゃん。笑われるのって、嫌いじゃないからね。レントゲン室の前で別れる。(ああ、もう何でもないや。)
暇そう(ごめん)にしていた技師の青年の指示に従い、親指と人差し指でマルを作るショットと、指を広げたのと2つ撮る。
数分後、これをまた持ち帰る。
ひんやりした、広い廊下。
ラース・フォン・トリアーの「キングダム」の病院を思い出す。ドグマ95・・・。勝手な想像が広がる。
再び明るい急患の部屋に戻り、若い当直医にさっき渡された封筒を渡す。壁についたライトボックスにふたつ、並べてみる。
わたし:「わ、きれいなホネですね!」
ドク:「おお、わかります?」
なーんか、変な会話だなあ。
実は、歯医者さんか検診で肺を撮る以外に自分の骨を見たことってないのだ。何と今まで何事もなく過ごしてきたことか。そのホネは、贔屓目に見なくてもなかなか美しいものだった。なんだ、どこも悪くないじゃん。個人的には手を酷使しているからもっと関節がどうかなってるんじゃないか、と思っていたのだ。今回の怪我とは関係なく。
「まあ、ホネに特に異常はなさそうですから。湿布を出しときますからそれでいいでしょう」はっはっは、軽症でした。よかった、よかった。
ただ、このまま診てもらわずにいたら気分が落ち込んだろうから、安心料という意味でも大事なことだ。
ちなみに会計の段になって「いやあ、通りがかりのもんでして・・・」「こっちに来ることとか」「多分、暫くないと思います・・・」「じゃあ、後で金額をお知らせしますから」・・・てなことで、半月あまり経ってから請求書が来た。3030円。被保険者3割。これって、あとで戻ってくるとはいえその場で保険証無しだったらいちまんえんが飛んだのだ。ああ、保険証って役に立つなあ。
いろいろやって、受付の人に挨拶して出る。
外のみぞれはますます地面をぐじゃぐじゃにしている。早くサケ飲みたい3人のとこにいがねば。







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Last updated  Feb 12, 2004 08:40:42 PM


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Comments

satchumino@ Re[1]:ぴー&ぷー(11/01) 木枯らし1号カウントされてからのほーが…
satchumino@ Re[1]:交差点(11/03) うん、多分この場所っていつもこうなんだ…
ぺんじ@ Re:交差点 空の交差点、きれいだね。 長野の方は、ア…
ぺんじ@ Re:ぴー&ぷー きれいな色。 木枯らしふいてから、紅葉す…

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