のんびり、やさしく。

のんびり、やさしく。

PR

プロフィール

さつきのひかり

さつきのひかり

カレンダー

コメント新着

かずみ@ Re:☆ゲリラ開催☆ 1/10~1/15 はじまりのひかり&ロシレムヒーリング(01/10) かなりお久しぶりになります。 当時は、お…
悪女6814 @ Re:ブログお引越しのお知らせ(01/14) 「お気に入り登録」させていただきました…
ユウリ@ Re:【銀月物語 28】 消えない十字架(04/22) 私も。 必要であれば自分自身を斬れます。…
確かに。@ Re:【銀月物語 26】 哨戒空域(04/18) 必要ではない、というかその時ではないと…
Ving@ Re:天使夜話 ~暁の星~ 1(03/10) さつきのひかりさんへ 今日から天使夜話…
くまたろう@ Re:☆ゲリラ開催☆ 1/10~1/15 はじまりのひかり&ロシレムヒーリング(01/10) いつもありがとうございます。 どうぞよ…

お気に入りブログ

アシスタント吉田の… ヒーリングセミナー bulan・batuさん
天使と住む楽園 楽園に住む私♪さん
ぷち・すぴ ぴ子さん
なにが見えてる? umisora1897さん
おだやかに。 aki-☆さん
ミカエルブレイズ たんたん4531さん
虹をつかもう 双光 持元さん
神社☆エール!頑張れ… 瑚☆月さん

サイド自由欄

nmcard_128128.gif
トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年07月18日
XML


エル・フィンが、冷たい碧眼でトールを見据える。

「正確には、勝手に増えた、かな」

「同じです。どうしてあなたって人は……。やめてくださいよ、とばっちりがこっちに来るんですから」

「おや、その火の粉も受けてくれる気とはありがたい」

クリロズの端末を前に、穏やかにトールは笑った。周囲を寒冷地帯に放り込みそうな軽口の応酬だが、当人達はいたって平気である。
金髪の青年の後ろにちょこんと座っているレオンだけが、はらはらした顔で二人を見比べていた。

だいたいですね、とエル・フィンが口をきった途端に、端末の警報が鳴りだした。結界が破れたらしい。
トールが剣を手にして立ち上がる。

「いいです。ここにいてください」

エル・フィンは、自らも腰の剣を確認して走り出した。あわててレオンが追いかける。
ドラゴンに飛び乗った金髪の青年は、安全な場所でレオンのドラゴンに少年をそこで守っていろ、と命じると、自らは一人で破れ目を確認しにいった。

何か黒い邪なものが、外から結界を食い破って進入しようとしている。
大きさはそれほどではない。一人で可能と判断したエル・フィンは魔法を唱え、結界に張りついてさらに大き穴を開けようとしているそれを吹き飛ばし、仮補修した。

しかし第二陣の黒いものが、結界の外に迫っているのが感じられる。あれは仮補修では防げそうにない。すこし焦って他の結界と調和させようとしていると、横に追いついたトールの魔法陣が走って瞬時に結界を調和させた。

「すまないね。量が多いから、中で散られると面倒だ」

言われて見ると、確かにかなりの量があったようだった。いえ、と言葉少なに答えつつ、そこまで気づかなかったと内心舌打ちする。
レオンにいいところを見せられなかったな、と少し残念だったが、振り返ると少年は目をきらきらさせて尊敬する師を見つめていた。その顔に、わずかにエル・フィンの表情がゆるむ。


「で、どこで何をすればいいんです?」

部屋に戻るとエル・フィンは言った。

「手伝ってくれるのかい?」

「仕方がないでしょう。どっちみち、部下は巻き添えになるんです。それなら最初から把握していたほうがいくらかマシです」

「なるほど。それはありがとう」

トールは微笑んだ。エル・フィンの口調は辛辣だが、自分のことをとても心配して、つねに支えようとしてくれていることをトールは知っている。だからありがたく好意に甘えることにした。

ステーションの天使エリアで働き始めたこと、仕事内容はクリロズとそう変わらないこと、エル・フィンには遊撃隊長を頼みたいこと、などを伝える。
遊撃隊員となる、彼自身の部下を数人選ぶようにも言った。

エル・フィンはまだ分身できないし、レオンのこともある。
だから当然クリロズ中心の勤務にしていたのだが、くだんの技術主任の件もあり、日常業務がきちんと動いていないぶん、どうしても彼の出番が多くなってしまっていた。

上司のトールも寝る暇もないが、数日でエル・フィンにもだいぶ過労がたまってきたようだ。

「エル・フィン、そろそろ休みなさい。あまり寝てないんだろう、顔色が悪いぞ。こちらは大丈夫だから」

ある日の昼前、ステーションの執務室で、報告に来た彼を見てトールは言った。

「寝てないのは総指揮官殿も同じでしょう。上司をおいて部下が先に休むわけにはいきません」

「逆だよ。上が先に休んでは、部下に示しがつかないだろう。君に今倒れられては私が困る。一度クリロズに帰りなさい、レオンが待っているから」

トールが言うと、頑固そうに光っていた碧眼がいくらか和らいだ。そうだ、もう数日養い子に会っていない。

「あれくらいの子をあまり寂しがらせてはいけないよ。出勤は明日の午後からでいい。……ほんとうは連休をあげたいんだけれどね」

青灰色の瞳をすまなそうに伏せる。しかし今この状況で、24時間の休みがとれるだけでも奇跡的だということがエル・フィンにはよくわかっていた。
彼が休んでいる間の遊撃隊は、おそらくこの人が直接指揮を執るのだろう。ぎりぎりのシフトになっている他の人間の休みを減らすとは思えない。

まずたっぷり眠って、なるべく早めに出勤しよう。
さまざまな思いをこめて、エル・フィンは深々と頭を下げた。












*************

>>【銀の月のものがたり】  目次1  ・  目次 2

>> 登場人物紹介(随時更新)


苦労性の部下はやっぱり苦労性という話・・・あれ?^^;
おつかれさまですー。爆



コメントやメールにて、ご感想どうもありがとうございます!
おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪



拍手がわりに→ ブログランキング
webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→



7/21 クンツァイトヒーリング   やわらかなピンクをあなたに。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年07月18日 10時15分22秒
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: