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*第二章* 参



すると凪がふいに俺の転校の話題を持ち出した。
俺は驚いた顔で凪の方を向く。

なぜなら俺の転校は突然決まったもので、生徒はまだ誰も知らないはずなのだ。

「何で知ってんだ?って顔してんな。」

凪は予想どうりの反応をする俺を見て不敵に笑みを浮かべている。

「・・・俺を誰だと思ってんだよ?」

誰って・・・

一瞬、言葉の意味がよくわかんなかったけどよく考えたら。。。
そういえば凪ってこの学校の理事長の息子じゃん!?

そーいう事か。
普段あまりにも普通すぎて忘れてたよ・・。


「確か京都にいくんだっけ?」

「まぁな。」


俺は少し曇った声で返事を返した。

「んな落ち込むなってっ!!」

凪は俺の背中をバシッっと叩いてそういってきた。
でも、んなこと言われたって・・・。

そぅ思って返事を返そうと思った瞬間、凪の口から予想もしなかった台詞が聞こえてきた。


「俺も京都に行ってやっから!!」

「へっ・・??」

その言葉の意味が飲み込めず、俺は間抜けな声を出しちまった。

「だぁーかぁーらっ!!俺も京都に行ってやるっつってんの。
まぁ、そう言っても夏休みの間だけだけどな。
俺ん家京都にも別荘持ってるからさ。」

なんて言って凪は勝手に話を進めていく。
さすがは理事長の息子。
サラリとすごい事を言ってくる。

俺が少し嫌味も込めて、

「さすが金持ち・・」

と言うと凪は満面の笑みを返してきた。


そりゃあ、さっきまで一人で悩んでた俺にとって凪が来てくれるっていうのはありがたかった。
けど妙に劣等感とも悔しさとも言えない複雑な気持ちになった俺は愛想笑いを返しておいた。

そして、飯を食い終わった俺たちは食堂を後にした。


*第二章* 四へ

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