achromatic color

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*第二章* 五



つっても誰もいないんだけど・・・。

俺は玄関のドアを開け、リビングに入ってテレビをつけた。
ふぅ・・
やっと一息ついた俺はしばらく寛いでテレビを見ていた。

”ガチャ”

それから数時間してドアの開く音がした。
親父が帰ってきたのだ。

『・・・ただいま。』

「・・・・・・・・。」

俺は返事をせずに少し親父の方を振り向き、またテレビへと視線をもどした。

”トントントン・・”

親父が晩飯の用意を始めたらしく包丁の音が聞こえてくる。
しばらくするといい匂いが漂ってきた。

俺はテレビを消して立ち上がりテーブルに着いた。
親父が晩飯をテーブルの上にのせ、椅子に座る。

『すまないな・・・魁。』

すると親父がそう言ってきた。
たぶん転校のことをいってるんだろう。

「別に・・いつものことだし。」

親父が言いたいのはそういうことじゃないって分かってたけど、俺はわざとそれを気にしてない風に返事を返した。
親父が黙り込む。

そのあとはただ、箸を動かす音だけが聞こえていた。


*第二章* 六へ

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