†虹缶†

2014/05/11
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 平成13年3月31日早朝、大阪市此花区のベイエリアの一角は“その時”を待ちわびる約1千人の人だかりで熱気に包まれていた。

 「タイムマシンで駆けつけた」。現れたのは米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でおなじみのブラウン博士。続いて人気俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が登場し、大歓声を浴びながらテープカット。米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)の幕開けだった。

 米テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」が米国以外で初めて進出したのがUSJだが、誘致には曲折があった。計画が持ち上がったのは昭和60年代ごろ。その後、堺市で開業を計画した新日本製鉄(現新日鉄住金)も採算性の危惧から断念。他にも千葉県君津市などが候補に浮上したが、熱烈なラブコールを送った大阪市が誘致を決めた。

 開業時、運営会社のユー・エス・ジェイは、大阪市が25%の株式を取得する第三セクター。社長は4代続けて市OBが務める“天下り先”だったが、USJはすぐに冬の時代を迎えた。そして平成16年、米ユニバーサル社からグレン・ガンペル氏を社長に迎え、再生へ舵を切った。

 その後、市とともに出資していた米投資銀行大手ゴールドマン・サックスグループが影響力を強める中、市が保有株式を売却。皮肉にも、その「親離れ」が再建の起点となった。

 22年、大阪市は突然、USJに貸す土地の賃料引き上げを求めた。USJは市や民間企業から借りた土地に整備されたが、市の賃料が企業より2~3割安いためだ。両者の折り合いはつかず、裁判に発展している。

 市は「市民財産を適正に管理する必要がある」と主張する一方、市の請求をのめば賃料負担が年間で5億円程度増えることになるUSJ側は「投資に回す資金が減る」と反発。関係者は「金(出資)の切れ目が縁の切れ目か…」とぼやく。

 同じ22年、橋下徹大阪府知事(当時)は、府内の公立小中学校の全生徒をUSJに無料招待する構想を表明した。実現こそしなかったが、橋下氏は「大阪にUSJという施設があるのに子供が行けないなら、行政が親の代わりに連れて行くのも子育て支援」と述べ、USJとの共生を模索していた。だが、橋下氏が大阪市長に就くとUSJへの言及は聞かれなくなった。

 ユー・エス・ジェイは今後、大阪以外の国内やアジアでも新たなテーマパークを建設する考えを表明している。少子高齢化で人口減が見込まれる関西だけではこの先の事業拡大戦略が描けないことが背景にあり、「来場者の6割程度を関西在住者が占める集客体質からの脱却」を進める。



 関西大大学院の宮本勝浩教授らの試算によると、新エリアが誕生すれば、日本全国で10年間で5兆6千億円の経済波及効果が生まれるという。大阪観光局はUSJの集客効果も当て込み、32年に大阪を訪れる外国人旅行者を、23年の4倍超となる650万人に引き上げる目標を掲げる。

 関西ではいま、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を誘致する機運が高まっているが、「USJはIRの集客力を高めるためにも重要」(在阪の金融関係者)との期待も強い。

 にもかかわらず、大阪市との間にはすきま風が吹く。ある財界関係者は「市とのいざこざでユー・エス・ジェイが大阪離れを志向すれば、関西経済に大きな打撃」と懸念する。「世界のUSJ」への飛躍を目指す戦略を進めるなか、将来的に他地域に収益力のあるテーマパークが開業した上で、大阪に立地する魅力が薄れれば、拠点を関西の外に移す可能性もある。

 市、USJがともに満足し、関西全体のためにもなる「三方よし」の方向で再び協力関係を築くことはできないのだろうか。





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最終更新日  2014/05/11 09:55:17 PM
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