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Esprit*

Esprit*

2005.11.12
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テーマ: 愛しき人へ(901)
カテゴリ: カテゴリ未分類






彼が私に声を掛けながら玄関のドアを閉めて上がりこんできた

いつもならここで

「はーい。」と返事をする私

でも、今は返事ができない



先輩と電話はまだつながっている

「何?誰か来たの??」

先輩が私に言う

先にも書いたけれど、私の電話はミニコンポ内蔵型



私の部屋全体の音は

マイクを使ってまさにオンフック状態

彼の声も当然

先輩には丸聞こえなはずだった



私がおたおたと慌てて先輩に返答しようとしたのと同時に

彼が部屋のドアを開けて入ってきた

私は彼に向かって

「シー!!!」と

口の前に人差し指を当てて合図した



そしてなるべく冷静を装って

先輩にこう言った



 せっかくお電話いただいたのにすみません。
 あとからこちらから電話します。」

「・・あ、そうか、ゴメン、じゃあ・・。」


先輩の声が彼には聞こえていなかったのが幸いだった

とりあえず、先輩との電話を切った





「・・誰なんだよ?」

「ん、今、会社訪問してる人事担当の人。
 二次面接のことで、わからないことがあって電話してたの。
 男の人が出入りしてる・・って思われたら、印象悪いでしょ?
 ごめんね、出迎えしなくって。」

「・・ならいいけど。」


間一髪、何とかこの危機を乗り越えたとうに思った

でも私は先輩に嘘をついてしまった

感のいい先輩のことだから何かは感じ取ったはず

せっかく先輩が電話くれたというのに・・

ん?

でも先輩の用件っていったい何だったのだろう??

用件を聞く前に電話を切ってしまったから

どうしようもないことだけれど・・



彼のお兄さんは何とか退院することになったらしい

ともかく無事でよかった・・と思った

ここずっと就職活動やバイトなどで

彼氏ともすれ違うことばかりだった

「外にご飯でも食べにいこっか?今日は私、おごるよ。」

彼にちょっとだけ償いをしようと思った



「あのな・・、俺・・。」

外に出かける準備をしている私に彼がこう言った

「多分だけど・・ガッコ辞めるかも・・。」


留めかけていたコートのボタンの手が止まった







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Last updated  2005.11.13 15:01:51


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