ディサイション・パワード 3部第13話



ネアンとイェルが来る数十分前に、黒い機体が施設に降り立っていた。
やはりそれには仮面の女が乗っていた。
女は銃を手に取り、施設の中に入って行った。
そして、何か手帳の様な物を取り出し、起動する。
その画面にはここの内部の地図みたいな物が映し出されていた。
それを見て、女はすぐに一番奥の部屋へ向かった。
迷わずに扉を開き、地下への階段を探し出した。
女は地下へと降りて行き、その先にあった扉を開いた。
その扉の先には部屋があり、本棚に大量の資料の様な物があり、部屋の奥に1台のコンピューターがあった。
女はそれを起動し、中身を見始めた。
その中身は、この施設で行われていたと思われる実験の内容及び、結果だった。
内容を次々と見ていく。
強化人間、新人類、蘇生生体、クローン体など色々あった。
女は知らないので気付かなかったが、新人類には魁たちの名前が。
蘇生生体にはノゥ・アンノークの名前があった。
そして、クローン体の所に睦月 ヨウという名前があった。
「クローン・・・。ヨウはここに来ていた、か」
女がここに来た目的は、睦月 ヨウがここに来たという証明がほしかったのだった。
「何故、ヨウが政府と・・・。あの時、まだ関係があったのか」
その時、階段を下ってくる何者かの足音が、女に聞こえた。

ネアンたちは階段の先に扉を見つけた。
「ここから先に誰かがいるかもしれない。気を引き締めろよ」
「お、おう」
2人は思い切って扉を開けた。
そこには誰もいなかった。
「誰も・・・いない、な」
しかし、ネアンは気付いた。
「コンピューターが作動している。やはり誰かが来ているか、来ていた」
2人はコンピューターの方へと歩いて進んだ。
そして、ネアンがコンピューターの画面を見ようとしたその時、扉が勢い良く閉まった。
2人は反応し、そちらに振り返る。
すると、銃声が聞こえ、彼らに向かって銃弾が飛んできた。
二手に別れ、机やソファを盾に身を隠した。
「誰だ!」
ネアンが声を張り上げた。
そして、扉の方へ銃口を向け、そこにいた人影に向けて撃った。
そこにいたのは、仮面を付けた人間だった。
仮面の人影は、一瞬ハッと驚いた表情に見えた。
そして、銃を撃ちながらこう云ってきた。
「白髪の兵士」
ネアンは自分が呼ばれている事を察した。
「女?」
仮面の人影は女だった。
「お前は・・・誰だ?」
女は、質問を投げかけながら、撃ってくる。
机を盾に、ネアンは身を隠す。
「睦月 ヨウに似た顔をしているな。似過ぎている」
独り言のように女は喋り続ける。
「君とはまた遭いたいものだな、白髪の兵士」
「何をっ!」
ネアンは反撃した。
「てめぇ!!」
イェルも発砲する。
女は壁に身を隠し、そしてこう云った。
「私の名前はミイ・ウツミ。君の名前も訊いておこう」
ミイと名乗る女がネアンに訊いた。
「あんな奴の云う事!!」
イェルが立て続けに発砲した。
しかし、そこで弾が切れた。
「チッ」
イェルは舌打ちをし、マガジンの交換をした。
「ネアン・デルタールだ」
ネアンらしくない行動だった。
敵である人間に自分の名を晒すなどと。
「フッ、覚えておこう」
そう云うと、何かを投げてきた。
「手榴弾?!」
2人は咄嗟に伏せた。
部屋中は激しい光に包まれた。
「閃光弾か」
2人はミイと名乗った女を追おうとした、がすでに女が機体で去る音が聴こえた。
「もう脱出したのか?!」
イェルが驚いた。
ネアンは追うのを諦め、コンピューターの方へ歩いていき、画面を見た。
少し操作し、内容を見ていく。
そこには、無数の人名と、何か実験の内容のような物が書き込まれていた。
「これは・・・」
ネアンの反応が気になり、イェルもその内容を見た。
そして、絶句した。
「お、おい・・・本当に、俺らの軍がこんな事を・・・?」
強化人間、新人類、蘇生生体、クローン体など過激な実験内容が記されてあった。
2人は沈黙し、その場に立ち尽くした。

戦場では、アレンの出撃もあり、かなり有利に事を進めていた。
その時、味方艦からアレンに通信が入った。
「後方から敵艦とBM・ディスが数機です。戦艦は新型艦かと」
「了解した」
そしてアレンがリスとジロンドに別の命令を与えた。
「前方は俺たちに任せろ。お前らはあっち」
2人は了解し、足止めに向かった。

それは、エネミ侵攻時から自分たちの邪魔をし続けている集団だった。
「あいつら、こんな所まで」
リスは敵の集団に向かって行った。
それに続いてジロンドも行く。
「やらせるかよ、チクショウ!」
リオンがライフルで撃ってくる。
リスは素早く回避し、反撃した。
「リオン、下がって!」
ミリがハンドアックスで斬りかかった。
「こんのぉ!」
リスがスラッシャーで切り払った。
「まだまだぁ!!」
続けて、マヤがボールを投げてきた。
リスはギリギリで回避した。
「何なのよ、こいつら!」
彼女は3機相手に苦戦していた。

ジロンドはヴュルムとジミュートと交戦していた。
「クッ、落ちろ!」
ヴュルムがセイバーで撃ってきた。
ジロンドは斬艦刀でそれを防いだ。
その死角から、ジミュートがセイバーを突いてきた。
しかし、ジロンドはそれも切り払った。
「死角からの攻撃にも?!」
ジミュートも流石に焦った。
彼の戦闘能力はかなり高度な物のはずなのに、それにジロンドは対応しきれている。
この戦闘で、ジロンドの強さが見せ付けられた。
そこに、アレンから2人に通信が入ってきた。
『撤退だ。この機体のシステムを使ってみる』
「了解しました」「了解」
そして、2人は撤退して行った。
「撤退して行く?」
リオンたちは呆然としていた。
「『ビックバンシステム』を作動させる。出来る限り離れてろ」
アレンが全軍に通達した。
「さぁ、とくとご覧あれ」
海上に浮かんでいるアレンの機体から、膨大なエネルギー反応が確認された。
「まずい、出来るだけあの機体から離れるんだ!!」
春が全機に云った。
云われるがままに、全力で空域を離脱しようとする。
すると、後方から巨大な爆発音が聞こえた。
春はブリッジからそれを見て驚愕した。
「なっ・・・そんな馬鹿な」
彼が見たのは、その機体の周囲に大きなクレーターの様な穴が空いていた。
そこの海水は全て蒸発し、一瞬深海が肉眼で見えた。
射程内にあった物は全て消え去っていて、残っている物は色々な残骸だけだった。
「やはり最初はこんなもんか。撤退するぞ」
爆発の衝撃で大破している機体で、アレンは母艦に戻った。
世界政府はオーストラリア基地を陥落され、さらに不利な状況に陥った。

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