ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

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2019.08.28
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カテゴリ: 推理小説
お断り この推理小説はフィクションであり、実在の人物や団体等は一切関係がありません。

 山梨玲子は、依頼の女性にお茶を薦めてから言った。
「ご依頼の向きは、お電話で概ね分かりましたが、お引き受けする前に詳細をお聞かせください」
 横浜、山下公園の殺人事件から1ヶ月が経過した。依頼者の沢田淳子は言った。
「主人の死について不審なことがあるのですが、警察ではなかなか言えなくて。それで内々に調べていただきたいと思って」
「神奈川県警では聞いてもらえないということですか」
と、山梨は夏警部を思い浮かべながら聞いた。
「いいえ、そういうわけではないのですが、主人は最近急に帰りが遅くなり、私に内緒のお金を、しかも、かなりの金額を持ち歩くようになって。以前はそういうことはなかったのですが」
 沢田淳子は、悔しそうな表情に涙を浮かべて言った。

「ご主人にそういう変化が出たのはいつ頃でしょうか」
「半年ほど前からです。それに」
と、沢田は続けた。
「帰りが遅いときに限って、シャツに香水の臭いがするのです」
「問い詰められたのですね」
「ええ、女の勘で。でも所属の芸人さんたちの世話をする機会が増えて、何もやましいところはない、芸人は濃い香水をつけるから移るんだろう、というので、それ以上追求することはできないし、うやむやになっていたのです」
「ご主人のパソコンはどうなさいましたか」
「ええ、県警の警部さんからも同じことを聞かれたので、主人はスマホで何でもやっているので、パソコンをやっているのはあまり見たことがありませんとお答えしておきました」
「では、まだ誰もパソコンは見ていないのですね」
「はい、私はパソコンは使えませんし。そのままになっています」
 山梨はまだまだ聞きたいことはあったが、とりあえずパソコンを手がかりにして進めることにした。

と言って、沢田淳子を見送った。

 翌朝、10時に山梨玲子は沢田淳子のマンションを訪ねた。マンションは山手線の恵比寿駅の近くにあった。そしてパソコンの電源を入れた。ログインにパスワードは設定していなかった。保存用のホルダも作ってなく、最新版のウインドウズが、あまり使われた形跡はなかったが、観光地やグルメなどのサイトがブックマークされていた。気になるサイトもあったが、あとでゆっくり見ることにして、スルーした。
 メールはchromeで共有されており、フリーメールが使われていた。ざっと送受信メールを見ると、会社の仕事関係のものが多かった。芸能事務所のマネジャーが仕事だったと分かった。メールと閲覧されていたサイトは一括して、持参したUSBに保存して、持ち帰ることとした。なくなっていたスマホは、家中を探したが出てこなかった。犯人が持ち帰ったに違いなかった。
 山梨は、夏警部の娘の蜜柑との待ち合わせ場所へ向かった。藤堂麻里矢も来ることになっていた。山梨は二人が来るまで、USBをノートパソコンに差し込んで、送受信メールを見ていた。メールのパスワードは、ワードに記録してあった。山梨のノートパソコンは、通信衛星に対応できた。
(続く)




​『野獣の美学殺人事件』文芸社、2011年​

​『リオの蝶殺人事件』文芸社、2011年​

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最終更新日  2021.07.01 13:17:44


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