ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

2021.05.11
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カテゴリ: 芸能資本主義
筆者が静岡大学から東海学園大学へ移籍して間もないころ・・・1996年ころのことだったと思う。東海学園大学は、愛知県で女子短期大学を創設、この短期大学を母体にして東海学園大学経営学部を開学したのが1995年のことだった。その後、経営学部大学院修士課程、文学部、人間健康学部、教育学部を矢継ぎ早に創設し、中堅総合大学に成長した大学だ。京都の浄土宗・知恩院が経営するこの学園では、創設以来、入学者を新入学オリエンテーションの一環で知恩院へ連れて行き、入学報告をする日帰り恒例行事があった。
 バスを何台も連ねて知恩院詣でをするこの行事は大変なことでもあり、大変意義深いものでもあった。爾来、私は定年退職する2019年まで23年間、この知恩院詣でを皆勤した。今回の「芸能資本主義」のタイトルは、「京都八坂神社の小屋掛け・見世物小屋 ノスタルジア」だが、この小論を書くことにしたいきさつを少し披露したい。ノスタルジアというのは、もう身近には見ることができなくなった、過去の日本芸能文化に対する郷愁といった意味で使う。
 大学を挙げての知恩院参拝は、年によっても違ったが、だいたい4月の第1週の平日であったと記憶している。1995年ころは、まだ、そんなに地球温暖化の猛烈な影響が顕在化していなくて、桜の咲き始めるのが、京都では第1週過ぎたころではなかったかと思う。それが現在では、年によって異なるが、3月の下旬には咲き始める。円山公園中央の満開の枝垂れ桜に彩られた知恩院界隈は、平日ではあっても、人でごった返し、コロナ禍の今では考えられないような賑わいだった。
 知恩院参拝が始まって間もないころのことだった。参拝終了後自由散策の時間があって、私は仲のいい教授仲間を連れて、周辺を散策するのが常だった。円山公園の枝垂桜、清水寺、少し遠出して四条河原町方面へと、散策範囲を広げては自由時間を楽しんだものだ。
 そんな、知恩院詣での中で絶対に忘れることのできない光景があり、それが知恩院下の「見世物小屋」なのだ。何気なしに、下の大通りのほうに向かっていた時に目に入ったのが、小屋掛けの見世物小屋で、隙間から垣間見えたのが猟奇性のある見世物の風景で、木戸銭を払わなければ見ることはできないが、垂れ下がった筵の隙間から見えたのが、それらしき見世物の実態だった。「名だたる寺院や仏閣が並ぶこのような聖地になぜ」という素朴な疑問と違和感が脳裏をかすめるのだが、学生を引率しての年度初めの緊張に、そのような不協和音はすぐに打ち消された。寺院や神社が参道や境内でこのような興行を行っていたことは、よく承知していることではあったが、猟奇性のある見世物の堂々たる興行には違和感よりも、蔑視の念のほうが勝っていた。見世物小屋と縁日をごちゃまぜにすることはできないし、縁日はフーテンの寅さんの営業の場所であり、どこでもやっている日本の風物詩である。しかし猟奇性のある見世物の興行となるとちょっと話が違う。
 最初は知恩院の地続きで知恩院の経営かなと思い、あまり気にせずに数年が過ぎたころ、知恩院の土地で見世物小屋をやっていることが気になって調べ始めたところ、実は知恩院ではなくて、もっと西の八坂神社の境内(土地)での見世物小屋だと分かった。同じような記憶を持っている人が、何人かブログやsnsで投稿しており、八坂神社の興行だと分かった。
 それならば合点が行くはずで、東海学園大学を定年退職して、自分が八坂神社の見世物小屋を見ていたことを確認することになった。それが、いつ頃廃止になったのかは定かではないが、最後に知恩院へ行ったのが2018年、その時には見世物小屋はなかったと思う。でも、つい最近まで見世物小屋はあったのだ。見世物小屋は、私の故郷の津山市が江戸時代の森・松平藩だったころ、今の翁橋付近、たぶん泰安寺付近で小屋掛けが立ったことは、歴史に刻まれている。寺院や神社と見世物興業とが密接につながっていたことは、我われから親の時代の記憶を遡ってみれば鮮やかに蘇るだろう。
 私はここで、現代の様々な芸能活動、芸能ビジネス、さらにスポーツビジネスも、中世のこの見世物小屋にルーツを持っているのではないかとの仮説のもとに、分析を始めた。移動を経営形態とする見世物小屋とは異なり、能、歌舞伎など継続性を特徴とする芸能は、江戸では、常設子屋での営業だったようである。相撲も縁日形態で行われていたとされる。岡山県の津山市の西部に、相撲の土俵を備えた寺院がある。
 とすれば、現代資本主義の最高の発展段階の特徴として描き出すことのできる「芸能・スポーツ資本主義」と、そのグローバルな展開こそ現代の経済学が分析を深めなければならない分野だと言っても過言ではない。京都八坂神社の見世物小屋ノスタルジーから、趣旨がそれてしまった。中世の芸能に関する文献を多数買い込んだので、少しずつ分析を深めて後日披露したいと思う。(2021年5月14日)





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最終更新日  2021.05.14 09:52:14


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