2030
年には市場が 3
倍になるというが、収集運搬コストが高いことも、バイオマス発電が普及しない理由の一つとしてあげられる。家畜の糞尿や生ごみなどを集めるためには、コストがかかる。効率的に収集運搬できるシステムが構築されると、バイオマス発電はさらに普及していく。
また、バイオマス発電の需要が高まると、競合の用途の供給に影響を及ぼす可能性がある。例えば、食料供給です。食料供給と両立ができる稲わらを燃料とすると、トウモロコシや大豆などの穀物価格が上昇する可能性がある。このような課題が解決することで、バイオマス発電の市場はさらに拡大していくのではないか。
現在の市場規模は小さいが、 2030
年度には 3
倍以上に拡大すると予測されている。その理由は、食料供給と競合しない第二世代のセルロース系バイオマス原燃料や工業的に量産が可能な微細藻類などの新しいバイオマス原燃料の技術開発が進められているから。さらに、 2020
年の東京オリンピック、パラリンピックに向けてバイオジェット燃料の導入プロジェクトも進められている。こうした状況があるため、これからのバイオマス発電の市場は拡大していくことが期待できる。( PREGRIPエナジ―
)
③ ( 富士通経済研究所「日本におけるバイオガス利用の課題とチャンス 2014年」
)では、普及が進んでいるドイツの経験(仕組み、技術、現場ノウハウの蓄積によって一つの産業として確立しているドイツに事例)に学び、「地域の資産としてのバイオガス事業」という構想を上げており示唆に富む内容となっている。
④ バイオガス発電は地域の資源循環に貢献できる。
( 日経BP総合研究所
)
⑤ 以下の資料の4.3にコストダウン要素があげられている。
( 一般社団法人日本有機資源協会 バイオマス発電事業の持続的普及に向けてPDF 経済産業省
)
⑥ フジテックスエネルギー
バイオガス発電の課題があげられている。「バイオガス発電は、原料の確保と輸送、残渣物の活用をするというサイクルの構築が欠かせません。・・・輸送コストを減らすため、バイオガス発電所の近隣で家畜ふん尿、食品残さを収集するのが望ましい。また、発電後に残る残渣物は優良な液体肥料として活用できる。液肥を農家で消費するという循環が理想的。近隣の食品工場や農家、畜産家とネットワークを作り、互いにwin=winの関係を創ることが安定的なバイオガス発電所の運営につながる。さらに原料調達のネットワーク、バイオガス発電のワンストップサービス」があげられている。
内容は以下の通り。「事業計画の立案、原料の確保から、プラントの選定・設置、売電手続きまでワンストップで対応します。十分な情報共有がなく、原料と相性の悪いプラントを選定してしまう。プラント設計と売電手続きがばらばらで課題整理とスケジュール管理ができていない。ステップに合わせて様々な協力会社に依頼すると情報共有と各社の調整に一苦労することがあります。我々はプランニングから売電手続きまでワンストップで対応します。信頼できる専門家と協力したチームを作り、バイオガス発電のプラントを実現します。」
⑦ 日本有機資源協会『 バイオガス発電事業の現状と課題
』に具体的な課題と要望があげられている。
バイオガス発電の事例
・ YANMER
・
資源エネルギー庁バイオマス発電Q&A 利用できる補助金、工法などについて関係法令の解説や留意点が説明されている。
・ 全国のメタン化施設一覧はこちら。対象バイオマスごとの施設が掲載されている。ほとんどが家庭系、事業所系の生ごみを対象としており、42を数える。
・ シンガポールでは産業排水と食料廃棄物をガス化した発電を官民で開始した。
・ またシンガポール国立大学は、食品廃棄から発電する小型発電プラントを開発した。
・ 月島機械はFITを利用した下水処理場での消化ガス発電を全国で展開している(民設民営方式)。
西日本中心に17か所設備容量14600kW。
・アメリカワシントン州で稼働している The Horse
の紹介がある。一部を引用する。
「エネルギーの地産地消を目指す取り組みが世界各地で始まっています。ここ日本でも、これまでに greenz.jp
でも紹介した、「中之条電力」や「片浦電力」など、エネルギーの地産地消を実現させることで、地域内でのお金の循環が生みだし、経済効果につなげようとしているのです。アメリカ・ワシントン州に住む Jan Allenさん
も、そんなエネルギーの地産地消を目指し活動しているひとり。ジャンさんは、食糧廃棄物などの有機物を電力に変換することができる移動式バイオガス発電機「 the HORSE
」を開発。そしてこの発電機を広めていくことで、世界中の地域でエネルギーの地産地消を進めようと考えています。」なんと移動式だそうだ。食品残滓のネットワーク化と効率的な収集が課題だが、「移動式」でこの課題を克服しようとしているのだろうか。
移動式バイオガス発電機は小型のものはamazonですでに販売しているし、少し大きなもの(中型)は 大原鉄工所
が販売している。同社のHPには、「
本機器は食品工場、一般家庭生ごみ、家畜糞尿等から得られるバイオガスを燃料として発電を行うものです。また、各自治体の下水道施設から発生する未利用な消化ガスにも適応可能であり、クリーンエネルギーを得ることを目的としています
」とある。もちろん大型発電機も扱っている。バイオガスの前処理に使用する機械( セパレーションサイザー
)もイニシャルランニングコスト低減に役立つとしている。
・ P&G バイオガスプラントの計画段階(2015年)の報道
。
・最新の情報では「
食品廃棄物や紙ごみなどの一般廃棄物(バイオマス)をメタン菌により発酵させることでバイオガスを生成させ、このバイオガスを発電用燃料として利用する 再生可能エネルギー発電施設
」が、オリックス資源循環株式会社によって建設されることが発表された。(2021年6月)
・ 柏崎自然環境浄化センター
では、施設内使用電力の35%と熱を賄っている。また発電機からの排熱でメタン発酵施設の加温を行っている。
・コンビニエンスストアでは、例えば ローソン
では堆肥化、廃油のリサイクルを中心に行っているが、富山県ではバイオマス発電への食品路ロスの供給を行っている。
・ ファミリーマート
では、油のバイオ燃料化はやっているが、バイオガスはやっていないようだ。
・セブンイレブンも検索した限りではバイオガスには取り組んでいないようだ。
スーパーマーケット各社はどうだろうか?
・ 御影バイオガス発電所
(御影バイオエナジー 北海道十勝)、FIT対象事業。2系統750kw、1000世帯分の電力を売電。牛の糞尿、近隣農家に液肥を提供。
・ 土谷特殊農機具製作所の家畜糞尿バイオガスプラント
。
・ 養豚農家(豊橋市)のバイオマスプラント
。
・ 南オーストラリア州
で、コロナで余ったビールを使い、汚泥を温めると発生するメタンが飛躍的に増加し、発電量が増えたという。(2020年8月)
資料・文献
① 国内のバイオガス発電事業(日揮)PDF
② バイオガス発電事業Q&A(経産省)(畜産系バイオガスと食品系バイオガスに分けて進め方を解説している)
③ 発電事業を行う際のデューデリジェンス
④「フランスのバイオガス発電企業Naskeoが北海道に進出」Naskeoは従業員40人、17億円の年商を誇るフランスの事業リーダー。
設立した会社の概要はここをクリック。
設立実務はJETROビジネスサポートセンターが協力した。
NASKEOはこちらから
。
⑤ 『 ドイツ農業とエネルギー転換
』(岩波ブックレット)
⑥ 『バイオマス・ガス事業計画の立て方』環境ビジネス2017夏
⑦ 『
家畜排せつ物のメタン発酵によるバイオガスエネルギー利用
』
(農林水産省)は畜産業と農山村の振興の角度から興味深い。各地の事例が紹介されており、FIT価格39円が維持されるかどうかは不透明として、FITに頼らない取り組み(
JA阿寒
)
を紹介しており、参考になる。
⑧ 「再生可能エネルギーによる農業経営の多角化ー畜産バイオマス発電の可能性ー」
バイオマス発電機の事例
①
Yanmerが提供するマイクロ・バイオガス発電機
。原料は下水汚泥、家畜の糞尿、生ごみから生成するメタンから電気と熱を作り出す、コジェネレーションシステム。ひとつのコントローラで14台(400KW )まで設置可能。Yanmerがユーザーに代わって遠隔監視サービスを行う。 製品の詳細はここ
。
② シンガポール国立大学の自立型小型バイオガスプラント
。農業園芸用の飼料を生成。センサーが携帯のスマホにデータを送って来る移動型(20フィートコンテナに格納。)。熱はプラントの加温装置に供給1tの生ごみで200-400kw電力を作り、余剰電力は蓄え、小規模電力供給。公営住宅での運用可能性。2017年のシンガポールの生ごみは年間81万トン。
③ 大原電機(小型バイオガス発電機)
。食品工場、家庭ごみ、家畜糞尿等から出るバイオガス(メタンガス)を原料。下水道施設からでる消化ガスで発電。系統連系盤、排熱回収装置。
(本稿は予告なしに加筆修正することがあります)