ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

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2021.08.01
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カテゴリ: 推理小説
仲村は、真佐子と会う時間を利用して、ミュージシャンの光岡瑠偉と会うことを考えた。と言っても光岡とは面識がなく、いわば、いちファンに過ぎなかった。しかし用件を正しく伝え、誠実に申し出れば、面会を拒否するようなことはないと確信した。事件の直後に、光岡のフェイスブックにアクセスし、フォローして友達申請をしたら、礼儀正しく「よろしくお願いします。新曲を聞いてくださいね」といった返事が来ていたから、いまとなって時間が経過しているけれども、思い切ってメッセンジャーにメッセージを送ってみることにした。メッセンジャーは会話内容を他人に知られることはない。
「個人的な会話ですみません。私、西教大学の仲村と申します。単刀直入にご用件を申します。甲州街道でのあなたの事故のことです。復帰できて何よりです。新曲も気に入っています。ところで、神奈川県警の夏警部と娘さんの蜜柑さんは親友です。少々伺いたいことがあるのです。あなたや事務所に決して迷惑がかかるようなことではありません。もう一人の女性のファンとお目にかかりたいのですがいかがでしょうか。東京都内におります。」
 仲村は率直に用件を告げた。するとすぐにメッセンジャーに返事がきた。
「仲村先生のことは存じ上げております。エンタメ関係の研究をされているということで、雑誌記事を拝見し恐縮しております。こちらこそお会いして、ご教示賜りたいと思います。最近、事故のことで思い出すことがあります。時間と場所を指定ください。」
 誠実な人柄が出ている。仲村はさっそく会うことにした。
「お忙しい中、ありがとうございます。それでは新宿京王線の改札口でいかがでしょうか。午前11時では」
善は急げと返信した。
「はい、事務所の打ち合わせで渋谷へ行きますので、ご指定の場所と時間で承知しました。何なりとお尋ねください。」
 若者らしい屈託のないメッセージだ。

「はい、よく寝れたわ。あなたの夢も見なかったわ。ぐっすりよ」
と、相変わらず減らず口を聞いている。若いころからそうだったが、言葉に棘はない。
「11時に原口駅前で光岡瑠偉さんと会います・・・その通りです。夏警部にはお世話になっていますから。一肌脱ごうかと思って。真佐子さんにも知恵を絞ってもらいたいと・・・」
「そんな予感がして、母にうそをついて東京へ来たのよ。いよいよ私の出番ね」
 蜜柑の、アガサクリスティ―顔負けというお世辞が利いている。
「アポは11時なので、10時にホテルへ行きます。チェックアウトを済ませておいてください。」
 仲村は電話を切った。
「いよいよ事件解明の方向へ舵が切られたわ」
 真佐子は満足げに微笑んで電話をしまった。
(​ 続く ​)





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最終更新日  2021.08.04 11:45:50


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