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世説新語(陸家編)
今回は陸機の逸話を中心にいくつかご紹介。
この他にもまだたくさんあったので、世説新語内での人気者のようです。
言語第二(二六)陸機が王武子(王済)を訪問した。
王武子は数斛の羊酪(ヨーグルト)を前に置き、陸機に指し示して言った。「君の郷里の江東では、何がこれに匹敵するだろうか」
陸機は言った。「千里湖の蓴菜(ジュンサイ)のスープがありますよ。ただまだ味付けがしてないだけです」
★陸機は陸遜の孫。
呉出身者は洛陽では田舎者扱いされてたそうで、負けず嫌いの陸機がやり返した話が他にもまだあります。蓴菜ってぬるぬるしたあれですよね。。陸機好きだけどヨーグルトの方がおいしそうだな。
と思っていたら一番下の話では・・
方正第五(一八)盧志は人が大勢集まっている席で、陸士衡(陸機)に尋ねた。
「陸遜・陸抗はあなたの何にあたるのか」
答えて言った。
「きみの盧毓(ろいく)盧珽(ろてい)に対する関係と同じだ」
陸士龍(陸雲)は真っ青になった。
門を出てから兄に言った。
「どうしてあそこまで言ったのですか。彼は知らなかったのかもしれません」
陸士衡はきっと態度を改めて言った。
「われわれの父祖は、名声が天下に知れ渡っている。どうして知らないはずがあろうか。幽霊の末裔めがわざとそう言っただけだ」
論者たちは二陸の優劣を決めかねていたが、謝公(謝安)はこれによって判定をつけた。
★盧志は盧植の曾孫で、陸機と盧志は成都王司馬穎に仕えていてライバル関係だったそうです。
陸雲はおろおろしてるけど絶対この発言はわざとだと思うぞ。
解説に、その人の前で父祖の本名を呼び捨てにするのは、大変無礼なことだとありますが、現代日本でもかなりぶしつけだと思うので、別段わからない感覚でもありませんね。
それより注「孔氏志怪」の、盧志は盧充という人物が幽霊とまじわってできた者の子孫だとされる。
・・ここのもっと詳しい解説が欲しかった。
聊斎志異に出てきそうな人ですね。幽霊になっても子孫を残せるなんてずるいな。こういうのもリア充と言うのでしょうか。
賞誉第八(三九)蔡司徒(蔡謨)は洛陽にいたとき、参佐の役所内にある、間口三間の瓦屋根の家に住んでいる陸機兄弟を訪問したことがあった。
弟の士龍(陸雲)は東のはずれに住み、兄の士衡(陸機)は西のはずれに住んでいた。士龍は文弱で、愛すべき人柄だったが、士衡は身長が七尺以上もあり、声は割れ鐘のようで、発言は激情にあふれていた。
★兄弟で同居していたんですね。強気なお兄ちゃんとちょっと弱気な弟良いな~。
尤悔第三十三(三)陸平原(陸機)は河橋で敗北し、盧志に讒言されて、誅殺された。処刑されるにあたり、ため息をついて言った。「華亭の鶴の鳴き声を聞きたいと思っても、もう二度とかなわないのだな」
★華亭は呉郡由拳県にあった陸家の別荘だそうです。
排調第二十五(一〇)陸太尉(陸玩)が王丞相(王導)のもとを訪れると、王公は彼にヨーグルトを食べさせた。
陸玩は帰宅してから病気になり、翌日、王導に手紙を送って言った。「昨日、ヨーグルトを少し食べ過ぎて、一晩中苦しみへとへとになりました。私は呉の人間なのに、すんでのところで北方の幽霊になるところでした」
★陸玩は陸機兄弟のまた従弟にあたるそうです。
解説に権威をものともしない率直な人となりで人望があった。と書いてあるので陸氏らしい人だったようですね。
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