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お金の流れが変わった!
新興国が動かす世界経済の新ルール
レビュープラスで献本を受けた本について書きます。著者は有名な 大前研一 さん。学生時代に話題になっていたので 「ボーダレスワールド」 を読んで全然理解出来なかった記憶あり。(笑)
[目次]第1章 超大国「G2」の黄昏
1. アメリカ~「唯一の大国」はいかにして崩壊したのか
2. 中国~バブル崩壊はいつやってくるか
第2章 お金の流れが変わった
1. 「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
2. EU~帝国拡大から防衛へのシナリオ3. 新興国~二十一世紀の世界経済の寵児
第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
1. マクロ経済政策はもう効かない
2. 市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
1. 新興国で成功するための発想
2. 日本経済再成長の処方箋
日本にいるとアメリカの情報はたくさん入りますし、最近は何かと「ビジネスは中国向け」と言った風潮が強いように思われます。前半ではそのアメリカ・中国の「G2」偏重に疑問を投げかける内容。
今後の世界を動かすのは4000兆円に及ぶ「ホームレスマネー」。
[3の源泉からなるホームレスマネー]
(1) 欧米先進国の余剰資金(年金・貯金・保険)(2) 中東のオイルマネー
(3) チャイナマネー
この大きなお金のうねりは、常に世界中で高利回りの市場を血眼になって探している。高利回りの市場・商品を見つけ出したり、時として創り出したりすると一気に資金投下し、値上がりが確認されたり、危険性を連想させる風評が聞かれるとサッと資金を引き払う、節操の無いお金。
ホームレスマネーの投下先は様々ですが、新興国の株式、商品、資源、不動産など多岐に亘ります。投資対象となる新興国の定義は平均年齢が若く(25~30歳)、教育レベルが高く優秀な労働力が豊富であり、それでいて資源が少ないこと。機械的に条件に合致する市場に資金が投下されて、次々とバブルが膨らんでいくことになります。
新興国について、BRICs、VISTAと言った用語とあわせて、大前氏は VITAMIN なるものを提唱しています。
BRICs - Brasil, Russia, India, China
VISTA - Vietnam, Indonesia, South-Africa, Turkey, Argentina
VITAMIN - Vietnam, Indonesia, Thailand/Turkey, Argentina, South-Africa, Mexico, Iran/Iraq, Nigeria
これらの新興国の目標は先進国に追いつくこと。ボーダレスになった世界で、上手くホームレスマネーと付き合うことで豊富な資金を手に入れて自国の生産力を喚起することが可能となります。
そして先進国として成熟し切った今後の日本政府の経済政策は、 この巨大で節操のないホームレスマネーを念頭に置いたものにしなければならない との主張が後半で展開されます。
現状を振り返ると、債務残高の対GDP比でブッチ切り1位を誇る日本の政策は相変わらず金利を引き下げて市場に資金を供給すると言った時代錯誤のもので、効果は出ない。明確な成長の方向性を描けない日本企業は、いくら金利が低くても新たな資金需要が発生しないから。
にもかかわらず民主党政府は92兆円を超える過去最大の政府予算を計上し、およそ半分の 44兆円は赤字国債の発行に頼る。 税収は40兆円前後。 ようは収入よりも借金の多い予算。
一般家庭で考えても、 稼ぐ以上に支出が決まってて、足らない分は借金で埋め合わせる予定だったら、将来が大変になるのは目に見えてるはず。 経済が成長していて収入が増える見込みがあれば借金をして投資をしてもいいのかもしれませんが、、、どう考えても支出を見直しして減らすしかないですよね。
興味深く読めた部分は、 日本財政破綻のシナリオ。 現在は日本の赤字国債の購入者はゆうちょ銀行をはじめとする日本の金融機関であり、そこにお金を預けている預金好きな日本の国民。もしも日本経済が破綻した場合には、3つの選択肢とその組み合わせが発生すると説きます。
・国債デフォルト(債務放棄)
・ハイパーインフレ
・預金封鎖
それぞれについてアルゼンチン、ウクライナ、ブラジル、トルコなど、財政が回らなくなったときに、政府が何をするのかが過去の実例に沿って解説されています。銀行に預けていても、手元に現金で持っていても、結果として国の浪費の埋め合わせに国民の財産が召し上げられるシナリオになります。 日本はこの個人資産が1400兆円 もある。
ギリシャを遥かに越える対GDP比借金大国の日本が世界市場から格下げを現時点でされていないのは、 この国内での持ち合い関係と個人資産と言う担保があるから。
国内で大きな借入れを使った不動産投資をしている自分として、上記のシナリオの際にはどのようになるのかを考えました。色々な可能性はありますが、貯蓄をしているよりはよっぽどマシだなと言うのが現時点での結論です。
預金封鎖を喰らったとしても、借入れがメインですので預けていて召し上げられる金額は多寡が知れています。インフレに関しても短期的な金利上昇は契約での取り決めが一応はあります。(それが反故にされるようであれば話は別ですが。)
課題は、 不動産から産み出される資金を、今後はどのように海外へ移行して現地で増やすか。 この辺を来年の後半から学んで実践をしていかなければならないなと強く感じました。
後半では 今後の日本の成長戦略 に対するいくつかの具体的な施策が提案されます。
所得税を減税して政府の税収が増やす方策など、いずれもムダや不安をなくして、国力を刺激して、内外からお金を集めて、企業は新興国の成長市場で戦い、国内は海外の顧客を獲得出来る開かれた国にすること。
中でも 減価償却期間を短縮 して企業の設備投資や建設を活性化する策や、 土地の用途変更や建物の容積率緩和 を通して新たな富を作り出す策などは、以前に決められた仕組みを変えるだけでお金を使わずに簡単に出来る施策で、具体性があり面白いと感じました。
個人レベルでお金の勉強をして来て、それなりにアンテナを立てている気分にはなっているんですが、大きな流れを理解するのは中々難しい。この本は世界の最新の状況を広く浅くではありますが関連性を持ちつつ説明し、その中での日本の置かれた現状に言及、問題点を浮き彫りにし、最後に解決の為の施策の提案までを行っていて、新書のサイズでよく出来たなと感じます。今自分が知りたいことをまとめてくれている感じで、楽しんで読ませてもらいました。
反面、コンパクトにまとめるために語られていない部分や、恣意的に一部の情報しか書かれていない部分もあるのではないかと想像しつつ、今後は疑問点を自分でアンテナを立てて検証していく必要があるように感じました。
セコイアの木の下で 伊藤 潤
[東京セコイアキャッシュフローゲーム会]
http://sequoia.seesaa.net/
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