英知を磨くは何のため

英知を磨くは何のため

月刊『潮』5月号 池田大作の軌跡


ドキュメント企画・連載 第5回

中南米の旅
 孤高の指導者、フィデル・カストロにもたらした劇的な変化。
 無名の庶民という”表敬先”から開かれていった池田会長の民間外交

背広を着てカストロ議長が現れた
カストロの軍服を脱がせた男
 ニュースを見たハバナっ子が、口笛を吹いた。
 「おいおい、どうしたんだ、フィデル!」
 ブラウン管に映っているのは、国家評議会議長フィデル・カストロにまぎれもない。188センチ。分厚い胸板。濃いあごひげ。
 しかし、見慣れたモスグリーンの軍服姿ではなく、青い背広を着ているではないか・・・。
 同時刻。テレビ局のディレクターが、頭の中の映像データを引っくり返していた。”ない。ない。これは公式行事では初めてじゃないか”
 後にカストロはローマ法王を背広で迎える(1998年1月)。それより1年半も前のことだ。トレードマークの軍服を脱ぐとは、よほど特別な心情を込めたに違いない。
 ”フィデルの軍服を脱がせるとは、いったい何者だ・・・”
 視聴者は、カストロ議長と会っている東洋の男性を不思議そうに見つめた。映像の場面は、1996年6月25日午後7時半(現地時間)。キューバの首都ハバナ。夕日に照らされた革命宮殿。
 カメラマンやテレビ局クルーが囲んでいるのは、池田大作SGI会長であった。

ベールに包まれた会見
 会見の冒頭。池田会長が口火を切った。「お伝えしたいことがあります」報道陣はシャットアウトされた。残ったのは5人。議長カストロ。文化大臣ハルト。副大臣マルティ。会長。通訳のクリスティーナ・モリナガ。会見場の音までもが、完全に遮断された。
 どのような会見がなされたのか?確かなことは、会見後のカストロが、いつにも増して上機嫌だったことだ。
 不思議な変化である。当時のカストロには、不機嫌にならざるを得ない課題が山積みだった。同年の2月、キューバは領空を侵犯したアメリカ民間機を撃墜している。アメリカは、経済制裁強化法で報復した。いわゆるヘルムズ・バートン法である。経済制裁は、ボディー・ブローのように効いてきた。両国の緊張関係は”第2のキューバ危機”と囁かれるまでに高まっていた。
 その渦中、強面で、負けず嫌いな彼が会心の笑みを見せたのである。会見後、宮殿ロビーで行われた創価大学の学位授与式。カストロのスピーチは、立ったまま40分間。絶好調である。さらにパーティ会場でも、長時間、池田会長と語り合った。
 何があったのか?
 会長が黙して語らない以上、真相は今後とも容易にわかるまい。ただ当時、キューバを取り巻いていた外交的、経済的環境から考えれば、アメリカとの関係改善に直結する語らいだったと見るのが妥当だろう。
 いずれにしても、国家レベルの隠密裏の対話である。断るまでもないが、会長は民間人である。
もう一つの”中ソ対立”
 キューバは特異な国である。

更新途中ですm(_"_)m

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