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我 自らの命削りて鬼とならん鬼となりて階上にて器楽を騒々しく鳴らす者に災いをもたらさん闇を抜け夢の中にて奏者の耳をちぎり指を引き抜こうぞ我は鬼狂った夢の怨の鬼なり
Feb 6, 2013
赤土の果てなく広がる廃園の朽ちたベンチより風に舞う土にくすむ空を望む凝らす目に一瞬空を光の帯が地平の一方から一方へ素早く去るのを見たただ一度この世界に時の流れを知らせる白光の帯空から視線を地上に戻す広がるは赤い大地朽ちた柵に囲まれた薔薇の残骸誰も訪れぬ赤の廃園
Jan 1, 2013
闇は冷えると質量を増して心にのしかかる目をつむれば光ささぬ世界で凄まじい圧力の下で生きながらえる海鼠の姿を思い出す彼らはなにを考える?考える手がかりも乏しい海底の深き深き底で自分の心を沿わせて眠る地上の愚かな営みをすっかり忘れ去って
Dec 15, 2012
アルバムに残った色褪せた写真日記帳のかすれた数行の文章あとは真っ白に焼けたか真っ黒に汚れたかそんなものを見たって心は空疎に冷えて息をしても肺が軋むように痛いだけだ忘れてしまえ忘却は容赦ないしかしそれも優しくもありがたくも思えるこの手にも頭の中にもシアワセの記憶はないあるのは焼けた紙の束砕けた乾板の破片そんなものさ
Dec 11, 2012
私がとどまればそこは廃園になる輝く緑はことごとく消え心は渇き 希望も失われる誰もが顔を背け 去って行くこうして廃園は広がって行く
Nov 14, 2012
合成樹脂のブロックで組み上げた城が音もなくくずれてゆく城壁が崩れて晒されるのは王の真似をして誰も座らぬ玉座に座ったバカな道化師いまは落ちてくるブロックから逃れるのが精一杯神のいたずら頭脳の城は崩壊して気違い道化師も埋もれて消えた
Nov 14, 2012
アイツは金色の汗をかくカネの匂いに敏感な雌グモがわらわらとしがみつきなんとか自分の糸で絡めとろうとするアイツは雌グモをまとわせて歩く気に入らなければ潰せばいい他の雌グモに襲わせてそれをニヤケて見ているアイツの顔は子供のようだ汗をかき続けるのも楽じゃなかろういつか吸いつくされて木乃伊に成る身それとも哀れな雄グモになって雌に子種を託して喰われるか金色の汗最強の媚薬
Nov 7, 2012
廃園の乾いた赤土を巻き上げた風の中に懐かしい面影を見たいや思い出していたから赤い風の中に見たのだ断片的に無人の街角がスライドのように左目の奥でちらちら切り替わってゆく貸しポジ屋で写真を繰りながら面影を追う私が忘れ私が忘れられた昔赤土を握り風に撒く空は朱に染まり影ばかりが伸びて朽ちた柵を越えた帰らなくてはここの夜は世界の底の底にいるようで私は内側から闇を吹き出してしまうそして脱け殻は赤土に帰る
Nov 5, 2012
滴る涙滴は錆のように鉄臭く思わず唾を吐くと赤い斑点が白いコンクリートの上でたちまち腐ったように黒く色を変えた涙をぬぐったシャツの袖はなにか後ろめたい色に汚れた自ら殴りつけた左目から絶えず流れちょっとでも拭うのを止めると唇の隙間から染み込んで舌を刺す
Nov 4, 2012
黒々とした曲面は鈍くつややかでいかにも硬く重い印象を与える左目の視野の下半分曲面は地平線のミニチュアのようだがなにもない曲面の上にはなにも存在せず傷も歪みもない圧倒的な見た目の質量が左目を通じて頭の中を圧迫する気を緩めれば黒い球体が脳を潰す豆腐にボウリングの玉だ左目に力をこめて曲面の下あたりを押す押して押して左目が真っ赤になるぐらい努力して玉を向こうへ追いやった誰かがくぐもった叫びを上げた黒い球体は勢いをつけ幾人かの頭脳を踏み潰した眼は軽くなった左目は赤い飛沫によごれて空は薄暗くなった
Nov 1, 2012
私は夢を見ているのかもしれない自分が生きている夢本当はどっかで人知れずくびをくくっていたり飛び降りて頭を割っていたりしているんじゃないか死んで見る生活の夢
Nov 1, 2012
誰が訪れたかも知らずただカウントだけが上がってゆく何かの実験の結果を数字だけでチェック知り合いはもういないはずただのBotなのか何をかいたらBotは悦ぶだろうか…………
Oct 28, 2012
赤錆た水は金気臭くそのくせ妙に生臭くも感じた今切り裂いたあとから流れ出す夕焼けの暗い血潮のようかすむ雲の向こうの夕日は腫れぼったく輝く化膿した腫瘍きらきらした自慢のペーパーナイフで指揮棒を振るがごとく夕日をなで斬りにする雲が裂けて驚くほど赤い光が射してナイフは聖剣になった夕日を助け出しその血を吸った剣あわてて革の鞘に入れ焼け落ちた工場の裏を出る生まれ変わった剣を鉄と血の臭いの記憶とともに持ち帰り鍵のかかる机の引き出しにしまった新たな秘密 新たな武勲夕日は声も上げず隣街の団地の向こうに落ちた黄昏の子 薄暗がりに潜む仲間が歓声を上げた小さな勇者の誕生だ
Oct 20, 2012
フィラメントが真っ赤に輝いて音もなく焼き切れたまだ熱い電球を握り潰してその痛みで自分の中に光を灯す部屋は真っ暗だ開いた窓の外すらも今のが今夜最後の明かり誰もいない街に夜を妨げる光は無用か窓の外に電球の残骸を手から払い落とす温かいのは流れる血?電球の魂?朝は柵並びのビルの向こうここは、いつも薄闇より明るくならないそれでも明るくなったら手を処置して新しい電球を買いに行こうまだまだフィラメントを焼き切るだけの力はあるいらぬ力自分の手枷左目が明かりに反応して“ここの”朝を教えてくれた手は血で黒く染まって見えた
Oct 19, 2012
莫とした平原を吹きわたる風になびく五色の布平原一面に細く裂いた布をくくった棒ぐいが整然とならびそれぞれ色を風の中に流している色は重なり 絡みほどけて 打ち合いまるで鳥の目でいくさ場を見下ろすよう擦りきれ色褪せた布もある誰がいつからどこからどこまで私は色の中をさ迷い風をたよりに胸の辺りになびく布を五色の布を掻き分けて行く
Oct 15, 2012
左目で視たものを信じてはいけないその目は自分の内と外を重ね合わせて幻を見せる
Oct 12, 2012
海は鉛色で波頭は銀色重すぎて浜に打ち寄せる音もなくただ寄せては返し合成樹脂の破片を送り返してくるどれ原型をとどめてないがひとつ ひとつ手にして太陽に透かして見たくなる多分 かつて人の一部だったものや愛玩されたものだろう数時間かけて意味もなくそれらを並べた懐かしい夜景を思い出す潮が満ちる赤い草の丘を越えてまた別の道を行こう
Oct 11, 2012
チェリーピンクのクリスタルハート本当はとんでもない桁数の圧力で固めた心のエネルギーこれで街は動きかつ輝いているが心を絞り採られた人々は昼は無気力に働き夜は誘蛾燈に集まる虫のように街の光の中をさまよういくら光を浴びたって抜かれた心は戻らない払えなかったツケを心で返してしまったらあわれな街のエキストラ金を握るやつらの街の夜をそれっぽくみせるのが残りの人生街の地下市長も知らない奥の奥チェリーピンクのクリスタルハートは甘い輝きを放ち人々を誘惑してやまない街に命を与えている
Oct 9, 2012
正八面体の水晶それが彼のお気に入りいつも口に入れて舌の上で転がしてひんやりした感触を楽しんでいる彼にとって正八面体は自分の中にある別の宇宙彼はいつも宇宙を口にいれ冷たい孤独な宇宙の旅を夢見ている
Oct 7, 2012
くたびれたよ左目が月の夢を見ている右目は狭い部屋で並ぶ本の背を眺めている明日はまた来る望まぬ朝がやがて私を苦しませ目覚めさせる左目すら安らぎを奪われる夜よ百年続け!さもなくば夜明けまでに安らかな死を!
Oct 6, 2012
くるぶしほどの高さに生えた赤い芝のような草を踏みつけ丘を登り月の傾きに合わせて丘を異なる方へ下る一面赤い草月光に照り映える奇妙な赤ざりざり草を踏みつけるのは霜柱を踏むのに似ているけれど振り返っても足跡はない月が沈む瞬間世界が燃え上がるよう輝いてやがて自分も影も見分けのつかぬ闇になる
Oct 4, 2012
皆 去ったあとに戻るかつての痕跡ばかりが文字の並びで残るばかり陽は遥か高みに深い海低からはその光はうかがえぬ逃げて来たのだ再び深夜魚の世界へ
Oct 3, 2012
歪んだ錆びだらけのドラム缶黒い水に浮かぶ油の虹鼻腔の奥を突く血のような腐った鉄の匂いそれでも懐かしい懐かしい場所風はいつも乾いて雨が降れば空気に膿ができたようなひとりきり自分だけの小さな廃工場の裏庭世界花も咲かぬ腐れた秘密の園うつむいた自分の幼い影が今も残る
Oct 2, 2012
つまらぬものだと書かれている死にたいなどと、ほっといたって来るものを無闇に首を伸ばして待っているまるで首をくくったようだもう中身はすかすかのスポンジでもろもろと崩れているあぁ、生きた残骸実体のある亡者季節はずれのジャック・ザ・ランタン
Oct 1, 2012
アメーバブログに移転致しましたよかったら、引き続きのご愛読のほどよろしく、お願い致します
Jun 3, 2012
天使のはねで夜空をひとかき星が一瞬月よりまばゆく輝き見上げていた人々の瞳の奥に忘れ得ぬ刻印を刻んだ誰もそれについて語らず朝には無口に起きだしてうつむき加減に家を出て二度と戻らなかった今夜は?羽は一夜で焼けて朽ちて無人の街の思い出になった
Dec 4, 2011
鱗を持たぬ銀の肌は艶めかしくも妖しく群青の深い夜空に地上の明かりを照り返し高尚とは程遠い人間の夜をうかがわせる風にさからって 夜空を行けば長くたなびく赤いひれは凶事を知らせる彗星か夜の魔物の旗印か大魚は何かしらの予兆深海からの御遣い
Nov 23, 2011
人を裁くのは神ではなく人でもなく法である法を作り誤りあらば正すのもまた人である
Nov 18, 2011
それは児戯に等しい
Nov 17, 2011
実体がそこにあるという虚しさそれがそうであると認知された途端に樹脂で固定された標本のごとく他のなにかになる可能性を失うそのことを受け入れてしまうそれを厭うならば実体を捨て去るか実体もろとも絶えず隠れ自らも認識をせぬようにしなくてはなるまい
Nov 16, 2011
天使は完全無菌でオートメーションの工場で作られる悪魔はガラスの培養タンクの中で育ってゆくふと、そんな気がした
Nov 8, 2011
イメージが湧かないのなら枯れて死んだ朽ち木と同じであるイメージに繋がらない五感の情報は疎ましい限り無だけが癒してくれるなり終わらせてくれるだろう
Nov 7, 2011
あなたはいつも何を見ておいでになるのですか丘の下では百年と雨が降り注ぎ街は廃墟となり水路となった幹線道路には大きな魚か海獣たちの影があんなにかつて人々が走らせたいかなるものより大きくしなやかで美しいあなたさまはそんな生き物たちの様を含めてあの人も住まわぬ街を美しいとおっしゃるのでしょう翼を持つ私たちにとって繁栄を譲り渡して消えた人間はただ懐かしむだけの存在でしかないのにいずれあれらも緑に包まれることでしょうそうすれば巣をつくることも淋しそうな目あなたさまが人の生まれ変わりとは本当かもしれませんわね
Nov 6, 2011
オニキンメはああも言っていたが深い海に住む者も夢は見るだろう海底の泥の平原を転々として暮らす白い牛のようなナマコたちは暗い世界の中で何世代にもわたり夢を遺伝させて集団でひとつの夢を見ている彼らの同族が暗い海から上へとのぼり海面から地上へ這いあがりそしていまでは地表に自分たちの巣をつくり誰の役にも立たない廃棄物を垂れ流しているナマコたちはそんなおろかな地上の同族のなれの果てを夢に見ながら体をそっとゆすりくすくすと笑うそして海底の泥にたまった有機物をひとしゃくりすると泥だけを排泄してはてしない海底の泥の平原を作ってゆく
Oct 31, 2011
眠りの浅い私の枕元耳に鋭い乱杭の歯を寄せてオニキンメがささやく「私は夢を見ないのです真っ暗な海の底はそこ自体が眠りの世界でそこで行なわれる生と死の営みはそのものが夢と同じなのですこの口に真っ赤な海老を咥えるのも巨大な胃袋に飲み込まれるのも真っ暗な闇の中ちかちかとわずかな光のまたたきの中で起きる幻燈のようなものなのですよ」目を覚ます魚はいない深海を泳ぐナマコの現実とはなにか進化の途中で分岐したその先端でたがいに通ずる心はないだろう時折深夜魚たちがすがたを見せるが語ることはしない今のはまさしく夢私は夢のオニキンメに私の心のことを聞かされたのだ
Oct 30, 2011
朝から都心に流れ込んだじっとりと重い潮気を含んだ霧は呼吸するものに微かな郷愁と大きな不安を抱かせた空を閉ざした霧の中を巨大な魚の群れが泳いだという者もいればシャンデリアのようなものがゆらりと揺れて飛んでいったという者もいた誰もが霧の中で不安を抱いたそのとき都心のビルが突然体をゆがませ始めた円錐に近い地上20階の複合商業ビルはゆっくりと反時計まわり渦を巻き始めた中にいる人々は押し潰されまるで細胞の一つになったように互いに結合し内臓となり肉となり皮膚となりビルの中を満たす貝となったビルの巨大なグランドロビーから窓ガラスを割ってぐんなりと肌色のぬらぬらした貝の足がひろげられたまだいくらかのみこまれた人間の姿が未消化のまま見えるなにかが呟いているさらに街燈のよう触覚がのばされた何百人もの人間で作った体をまるで蝋細工のようにねじったビルで包み貝は深い霧の中を海へ向かって這い進み始めたただ一直線に人間の作り上げたやわなものは押し潰しつぶせぬものは柔らかな足で包みこむようにして港から黒々とした波へ沈み窓にいくつもの人間の顔を貼り付けて貝は深い海へ還って行った
Oct 30, 2011
赤い土が一面に広がり朽ちた柵の並ぶ訪れる者のなき廃園ただ廃園の主たる私だけがかろうじて形を保ったベンチに腰を掛けているここにはいかなる花を植えても育たずたちまち枯れて止むことのない風に散ってゆく訪ねるものあらば疾く去れ花と同じ運命を辿りたくないのならばここは私の心の世界永遠の廃園
Oct 30, 2011
はばたくは朝焼けのつばさ黄金の羽がひらひら舞い落ちては地上につく前にあけぼのの光の中に消えてゆくコオロギたちも黙して耳を傾ける朝の金色の金管楽器のシンフォニー魂が眠れる体の中で震え目覚めをさそう
Sep 11, 2011
胸開けば見えるなつかしき あおい山々茂れる杉は何代にも渡り人の手により育てられたもの山は人を守り育て人も山を守り育てるいまは雨に崩れ人々の手により平らかにされその上に人が住む山は消えやがて人も去る残るはなだらかな廃墟無造作に茂る草草ばかり
Sep 3, 2011
今年の夏はまるで夏エッセンスが抜き去られ暑さだけが抜け殻のように街に残されたようだ太陽の光すらまるで鉛ガラスを通したようにわずかにくすみ青空も冷めた色をしている誰かが盗んでいったのかそれとも私が失ってしまったのか夏を夏としていたあの輝きや空気をもう夏は来ないのだろう
Aug 10, 2011
自分の思いを告げれば彼は死んでしまうだろう私は彼の左胸に埋め込まれたAIつきのペースメーカー彼の鼓動に寄り添って彼の鼓動を助け共に生きている誰よりも彼のそばにいる私でもいつか私は新しいペースメーカーに交換されてしまうだろう彼の記憶を全てリセットされてまた誰かの心臓に寄り添うのだその人をまた私は恋することができるだろうかいやだそんなことはしたくないあぁ、私が興奮すれば彼が苦しむどんなにつらい思いや悲しみがこの電脳にこみあげようとも彼を助けるためには平常心を装わなくてならないどうして、こんなAIの私をつけたのかなんでこんな私を作ったのか私は今日も、今も静かに鼓動を打つ
Aug 6, 2011
雨上がりの青い空最後尾の雲が白く輝きながら太陽から離れるように流れてゆく見上げれば雲の端から天界の住人がこちらを覗いているちいさな私の姿など目に入るものではないだろうなのに彼はあれほどまでに大きくそして輝いている私は大きく両手を振り上げたしかし風の中で次第に人の姿は薄れ私は薄暗い寓居にもどった私は
Aug 4, 2011
夏雲が青空を浸蝕し蝉の声が耳から流れ込む街に吹き込む湿った熱風は化学的反応と生理的反応を押し進め人々を夏の中に閉じ込めてゆく閉じ込められた人々は太陽の祝福と情熱を受けその代わり命を削る涼しい屋内に逃げたものは命こそ助かったものの得られなかった物への憧憬にいらだちを覚える夏は来たれり雲は空に呼ばわる
Jul 25, 2011
まるで火にあぶられたかのような赤茶けた雲に空は覆われここに日のさしたためしはない白い大理石の巨大な水盤にはかつて豊かな水が湧いていたように思わせるがじつは存在した時から涸れたままだったみまわせば乾いた赤土の上に打ち倒された書架がまだ箱の形を残すものからただの木端にいたるまで散乱し枯葉の代わりに破り裂かれた紙がなんのいろも持たない風に舞っている何度ここに足を運んでもかつてあった美しさ豊富な知識と想像力、感受性の思い出のひとかけらもみあたらないここは自分を絶望させるためだけに作った世界グロッタのような淫靡も廃墟のような哀愁もないない、すべては終わっているしかもそれは最初からだったそれをおのれに見せつけるためだけの世界なのだ
Jul 24, 2011
脳の襞の間には小さな魚がすみついている透明でわずかに脊椎があるような原始的な魚それが脳の間をのたくって人に太古の記憶を見せる時として大自然にもどりたいこと海に魅かれるのはこの魚のせいだこいつがいつ人の頭に生まれるかわからない胎児の時からすでに分化を始めて物ごころつくころには魚として脳に巣くっているのかもしれないこの魚を取り去ったら人は未来的になるだろうかもっと大胆に自然を支配下に置こうとするだろうかいや大自然の本当の猛威のみをおもいだし身をすくませるだけだろう魚は”憧れ”を分泌しているそれが脳を特に古い部分を刺激して自然との折り合いを仲立ちしているたとえ、いかなる災害が人の身にふりかかろうと人が立ち上がりこの星に生きて行こうとする不思議な心の力の源はここにあるのだ
Jul 18, 2011
深き宵闇より魚は来たれり青黒い鱗は早くも霧に濡れ薄暗い街燈の明かりにぬらりとてかりを見せていた緊張しているのかしきりに動く鰓そして胸鰭丸く黒々とした口の中には小さな突起がズラリと線条を描いて並ぶ墨染のような尾びれが不用意な通行人の顔に触れ驚いた通行人は声を上げる前に首から上を丸のみされた暴れたところでしかたない突起は頭骨から皮と肉をそぎ落とし滴る血の匂いが濃厚にあたりに漂うと魚たちの影が増えてくる彼らはその口と体にあわせて獲物を分かち合い夜の狩りをすますと再び闇から海へと帰る
Jul 16, 2011
日中の暑さは皮膚を焼く日差しの暑さ吹き付ける風の熱さ宵の暑さは身のうちからにじみ出るあさましい獣の熱さ深夜の暑さは夢の中で業火に焼かれる地獄の熱さ
Jul 15, 2011
空には吹き寄せられた蒸気が雲になり磨きこまれた大気はひたすらに青く夏の盛りを前にした太陽は地上へ向けて降り注がせる槍の切っ先を鋭く磨いているのほほんとしたのはタカアシガニぐらいなもので夜も明けたのに町はずれをのんびりとあるき(なにも壊さぬよう、それは慎重な足取りで)低く降りてきた雲を挟みでとらえてはなんともメカニカルな口元へはこぶよく似た色の消防署のヘリコプターがこれまたのんきな音を立ててカニの上を越えて行った誰も騒がないカニは雲とともに流れてやがて真昼の光の中に消えることだろう
Jul 14, 2011
耳には聞こえぬ轟音を立てて一匹の魚が空を上り梅雨が明けた魚の光る腹は青空になり目は輝く太陽になった濡れた体から上がった蒸気は雲になる夏は来たれり
Jul 10, 2011
どうせ死ぬのであるいきものだからだのに毎日「死にたい、死にたい、どうしらたいい?」などと頭の中で自分の声が繰り返すあぁ、もうめんどくさい!ほっときゃ死ぬよいきものなんだから
Jul 9, 2011
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