こうこの手紙

こうこの手紙

2024年06月20日
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「旦那、香取神宮にはいついかれるんですか?」

「ふむ、実はどうやって行くのかわからないのである」

「私はカエル、旅の安全と無事の縁起物です。

心配しないでお出かけになるといいですよ」



ということでハンサム団は成田にやってくるのでした。

「とうちゃん、バスはダメか?」

「土日は数本あるようであるが、普段はほとんどないのである」

「降りる駅は香取か?」

「徒歩三十分と書いてあるのである」

「佐原からバスがいいんじゃないか?」



ということで一時間に一本しか出ていない電車に乗るのでした。

「とうちゃん、幸いあと十分で発車だぞ」

「ふむ。行ったばかりだったら大変だったね」



ということで佐原駅にやってきたのでした。

「球磨之介、バスの時刻表がよくわからないのである」

「よし、それなら駅員さんに聞いてやるよ。

とても素敵な駅員さん。香取神宮に行きたくて渋谷からきました」

「香取神宮ですか?……今日は日が悪いですね」

「香取神社には行ってはいけない日があるんですか?」

「そうではないんですが、巡回のバスは火曜日と木曜日だけですし、

神宮に行くバスも土日祭日だけなんです。

これからですと一時四十分のバスを待たなくてはなりませんよ」

「そうなんですか?」

「歩いて行くとしても香取駅に行く電車は今出たばかりです」

「球磨之介、今出た電車とは拙者たちが乗ってきた電車ではないか」

「噂通り一時間に一本だな」

「丁度昼時であるから食事をして待とうではないか」

「とうちゃん、駅の周りにお店がないぞ。

それにお参りを終えたら三時くらいになるぞ。

バスも電車もあてにならないし、歩いて三十分だぞ」



ということで相談したハンサム団はタクシーでやってくるのでした。

「とうやんの一週間分の米代がなくなったぞ」

「ふむ。昔はどこでもタクシーだったのであるが、

最近は両替所勤めで貧乏なのである」



「とうちゃん、立派な鳥居があるぞ」

「ふむ。なんだか有難いのである」

「これで三大神宮にすべてきたな」

「ふむ、伊勢はお参りをしなかったが五十鈴川も綺麗だったのである」



「球磨之介、神宮というのはどこもこういう参道なのかね?」

「そうなんじゃないか。明治神宮もこういう感じだよ」



「とうちゃん、ここは来にくいから逃さずお参りをしようよ」

「ふむ。難儀なところであるな。そうそうこれないであろう」



ということで奥宮と要石を目指すのでした。

鳥居の横には護国神社とあるのでした。



階段をのぼっていくのでした。



鳥居をくぐっていくのでした。



「とうちゃん、ここが奥宮だそうだぞ」

「手前にあるのに何故奥宮なのであろうか?」

「鹿島と同じで昔と参道が違うんじゃないか」

後でわかるのですがやはり旧参道があるのでした。



奥宮にお参りをして要石を目指すのでした。



要石があるのでした。

「とうちゃん、鹿島の要石の下にはなまずがいて

地震を抑えているそうだけれど、ここも何かあるのか?」

「ふむ、なんでも香取様凸型、鹿島様は凹型だそうであるぞ」

「どんな意味があるんだ?」



要石の前のお稲荷さんにもお参りをするのでした。



再び参道に戻って拝殿を目指すのでした。



「おい、とうちゃん。大きな鳥居が見えるぞ」

「ふむ。あちらが本殿と拝殿であるな」



みんな大きくて見上げているのでした。

「とうちゃん、俺たちは大きな鳥居には慣れているよな」

「ふむ。東京なら靖国に明治神宮だね」



門が見えてくるのでした。



手水舎でお浄めをするのでした。



「球磨之介、門が修理中なのである」

「この時期はみんな修理するのか?」



「とうちゃん、茅野輪があるぞ」

「はらえたまいきよめたまえかむながらまもりたまいさきわえたまえ」

「やっぱり三唱なのか?」



末社にもお参りをするのでした。



割と早くお参りを終えてしまうのでした。

「とうちゃん、バスどころかタクシーもいないぞ」

「ふむ。なんでも団子屋や蕎麦屋で呼んでもらうか

タクシー乗り場の隣の公衆電話で呼ぶそうである」

「観光地でも平日はそんなもんか?」



祥之介は歩くことにするのでした。

「とうちゃん。三十分も歩けるか?」

「何を云っているのであるか。

御嶽のお山だって大山だって歩くのである」



道すがらの神社にお参りをするのでした。

「ところでとうちゃん、道はこっちでいいのか?」

「よくわからないがたどり着かなかったらどこかでタクシーに乗ろうではないか」

「タクシーは田舎だから手をあげても乗せてくれないぞ」



「とうちゃん、二十分くらい歩いているけれど何も見えてこないぞ」

「いいではないか。まだ昼過ぎである。

一時四十分のバスに乗っていたらまだ駅前なのである」



「とうちゃん。標識があったぞ」

「ふむ、二キロで三十分であるか?」

「ここからすごい階段か急な坂が続くんじゃないか」

「大山寺や愛宕神社よりはマシであろう」



「とうちゃん。確実に駅に近づいているようだぞ」

「ふむ。なんでもっと最初に出してくれないのかね?」



「球磨之介。懐かしいな里芋である」

「芋煮が名物の米澤が懐かしいか?」

「違うのである。里芋などどこでも売っているのである。

拙者は手作りの芋がらが食べたいのである」

「ズイキとして売っているじゃないか」

「ああいう上品のじゃなくて、あく抜きが悪くて

喉がイガイガするようなのが食べたいのである。

芋がら干しは子供の仕事なのである。夕方入れ忘れると怒られるのである」



こちらは入ったら長くなりそうなので

体力温存のため礼をして先に進むのでした。



神社がふたつ並んでいるのでそれぞれお参りをするのでした。



伊邪那岐さんと伊邪那美さんのようなのでした。



こちらにもお参りをするのでした。



中はこんな感じなのでした。



「おい、とうちゃん、鳥居が見えるぞ」

「球磨之介。歩いてきてよかったのである。

これは香取様の思し召しだと思うのである」

「とうちゃん。これは噂の一の鳥居、津宮鳥居か?」

「そうである。ふつうに電車できたらここは通らないのである」



「昔は船でここからきたんだね」

「そのようである。与謝野晶子の歌碑もあるのである」



「とうちゃん。電車もバスもなくてよかったな」

「ふむ。偶然がなかったら絶対ここにはたどり着けなかったのである」

「今度もしくることがあったらちゃんとここからお参りをしようではないか」

なんだかとっても有難いのでした。



素敵な鳥居を見られたのはよかったのですが駅がわからないのでした。

花に水をあげているお婆さんにきいたら、

「そこの信号を曲がったらすぐです」

と教わったのですが十五分くらい歩くのでした……

「とうちゃん、香取駅は無人駅だぞ」

「ふむ。誰もここから歩いてこようとは思わないのではないか?」

「どうやって行くんだよ」

「車がないとお参りがしにくいね」



ハンサム団は駅の標識を見て二番ホームで座っているのでした。

「とうちゃん、なんだか電車がこっちにこないぞ」

「ふむ。なんであろうかね。もう一度見てみよう。

なになに、基本的に電車は一番ホームにしかきません……」

なんとか成田にたどり着くのでした。

「球磨之介。せっかくだから新勝寺にもお参りしていこうかね」

「やめておけ。明日起きられなくなるぞ」

無理すると寝込むので帰路をとるのでした。



帰りの電車が上野行だったので相談するのでした。

「とうちゃん、この間買った黑米が美味しかったから買っていったらどうだ」

「ふむ。赤米というのも食べてみたいのである」

下りたら上野公園の前だったのでちょっと寄り道をするのでした。



西郷さんを見ながら鳩に餌をあげて

「球磨之介、上野の東照宮にいきたいのである」

「相当歩くぞ。それにもう夕方だ」

「それじゃまたにしようかね。急に具合が悪くなるからね」



千手観音様にお参りをしてアメ横に向かうのでした。

アメ横は信号を渡ったらすぐなのでした。

「お兄さん毎度!きびと黑米はとても美味しかったです」

「そうでしたか、それはよかったです」

「今度は煮干しを入れて炊いてみようと思うのであるが」

「煮干しはやめた方がいいですよ」

「ふむ、そうであるか」

「豆を入れる人は多いですよ。大豆なんかよくでます」

「大豆であるか?黒豆なんかどうであるか?」

「好き好きですよ。煮干しよりはおすすめできます」

ということで、赤米、黑米、黒豆、クコの実などをもとめるのでした。



摩利支天さんには表からお参りをして帰路をとるのでした。

ハンサム団は早速帰って

白米、黑米、もち麦、キビとクコの実、黒豆を入れたご飯を炊いてみるのでした。

かば姐は豆入りご飯をたいそう気に入ったようですが、

祥之介は豆はいらないと思うのでした。

そうしてハンサム団は再度鹿島神宮に行く計画をたてるのでした。






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最終更新日  2024年06月22日 14時30分20秒
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