月の雫

月の雫

その2

祈り



「現世の苦しみは 前世からの因縁だから
それを清めないと 状況は良くなっていかない
相手との関係も 
前世ではこちらが迷惑をかけた側だったのかもしれないから

とにかく前向きに頑張って 
自分を変えていきなさい」




精神的にいっぱいいっぱいになっていて
発作的に 子どもを抱きかかえたまま
高いところから飛び降りてもおかしくないと
思えるような状態だった


正直 もう自分は生きているのがしんどくて
終りにしたいくらいだったが
巻き添えにされる子どもは
いい迷惑だと考える程度の理性だけは残っていたので
この状態が少しでも良くなるんだったら・・と 
藁をもすがる気持で 
祈りの世界に入った
祈るしかなかった



出口の見えない 暗くて長いトンネルを
手探りではいつくばって進んでいた


それでも立ち止まっているよりは良い
この先をちょっと曲がれば
出口に繋がる明かりが見えるところに
出られるかもしれない


暗闇だった
光りを求めていた



信心と言っても
基本は日常生活をきちんとすること
なので
特に生活が変るわけではない

ただ 考え方
物事の受け止め方が 違ってくるだけ

毎日を とにかく感謝して生活する
がんばれ がんばれの日々が 
更に続いた




夫だけを見つめて
夫の機嫌に一喜一憂していた生活から
徐々に 解放されていった

夫も少しずつ変化してきた
家の中の空気が穏やかになった



信じるものは救われる?
とにかくありがたいこと
もっとがんばらなくては


更に教えに従う気持が強くなっていった
義務感も
責任感も


でもそれは
前と同じ繰り返し


自分を認めてもらうためには
変らなくてはいけない
努力し続けなくてはいけない


認められたいと思う対象が変っただけ

しかも今度は 神さまだ


まだ夫のほうが厳しくないだろう・・・(苦笑)


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